ゴールデン高校美食倶楽部 新・文化祭カレー!

銀河星二号

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第1章「ゴールデン高校美食倶楽部」

出店申請

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 学校裏には並木がある。あの辺りなら!僕は歩いた。
「どこまで行くの?山野君?」
「ちょっと学校の裏まで!」
「うん……」

 しばらく歩くと、並木の辺りに着いた。木漏れ日がサワサワと鳴っている。静かだ。ここなら誰も来ない。
「ここ?」
「うん、人もいないし。ここでいいかなと」
「いったい、急にどうしたの?花咲さんとケンカ別れでもした?」
「いや、そうじゃなくて、昴ちゃんにお願いがあって。いや、もしかしたら、ダメかもしれないけれど」
「……それは聞いてみないと分からないと思うよ。言ってみて」
「あのさ……」
「……うん……」
「出したいんだ」
「……えと……何を?」
「お店を!」
 彼女は一瞬固まった。
「店?えと、将来の話?」
「いや、あの……文化祭の。……あ、ちょっと待って!文化祭の出店申請って生徒会で合ってる?間違った?」
「いや、合ってるけど……うん……なんだ、そんな話か。そうね……ちょっと待って」
 彼女は手帳を取り出すとパラパラとめくった。
「今日、もう9月の25日だよね」
「そう。……まだ、間に合ったりする?」
「一応今日までってことになってるけれど」
「え。ホント?」
「……ちょっと付いてきて」

 彼女は僕を生徒会室へ連れて行った。周りが静かなせいか、妙に緊張のする空気が漂っている。
 昴ちゃんは辺りを一瞥して、凄い段数のある書類棚を探し始めた。
「確か……ここ……あれー、もうしまっちゃったかな?」
「え……やっぱもう締め切り?」
「うーん……あった!」
 そして一枚の書類を棚から取り出すと、僕の前に置いた。
「これ。文化祭の出店申請書」
 そう言って彼女は僕に書類を渡した。
「やったー!」
「でも今日中に出せる?」
「今、サラサラっと書いちゃうから!」
「そうもいかないでしょ。倶楽部のみんなに了承得ないとダメなんじゃない?あと先生も」
「あ!……そうだね……」
 僕は考えた。そして時計を見た。十二時四十分。あと二十分は昼休みがある。メンバーは一言後で会った時に声をかければ多分大丈夫として……一番の難関は酒田先生か。良し。
「ちょっと、酒田先生に許可取ってきます!」
「うん、じゃ、放課後にここに持って来てね」
「分かったーっ!」

 返事と共に僕は学校中を駆けめぐった。先生、先生はどこだ?……しかしなかなか見つからなかった。

 あ、もしや駐車場!僕は駐車場へ走った。
 あった。オンボロの赤いアルト。中を見ると、先生がスヤスヤ眠っていた。僕は聞いていたのだ。先生がここが落ち着くと言っていたことを。
「先生!先生!」
 窓ガラスをコンコン叩く。
「何~?」
 寝ぼけて起きた先生に僕は事情を話した。
「いいんじゃない?詳細はあとでね~」
 先生はまた寝入ろうとしたが、何とか止めた。
「サインを!書類のここに!」
「めんどくさいな~」
 そしてサインを貰った。良し。
 そして先生はまた寝入ってしまった。授業大丈夫なんだろうか……と思ったが、とりあえず放っておくことにした。
 と言う訳で、先生の許可は取ったので、あとは放課後にメンバーに話し、書類を提出すれば完了と言うことになった。

 放課後、美食倶楽部の部室にメンバーが集まった。
「と言う訳で!文化祭に出店しようと思います!」
 パチパチパチパチ。思った通り、誰も反対はしなかった。ヨーコちゃんは微妙な表情だったが、多分別な理由だろう。昼飯の。あとで経緯を説明しておこう。

 先生の許可を貰い、メンバーの了承も得た僕は書類を持って生徒会室へ向かった。そこには昴ちゃんが待っていた。
「来たわね。書類ちょうだい」
 彼女は僕から書類を受け取ると、端から端まで目を通した。そして、ハンコをポンポンと何カ所か押した。
「はい、完成したわよ」
「やったー!」
「ただし……」
「ただし?」
「出店内容が『軽食店』になっているじゃない」
「うん」
「少しあやふやだから、早めに何を出す店なのか教えてちょうだい。場合によっては取り消しもあるから」
「わ、分かった……ところでどんなのがダメなので?」
「巨大な器具が必要だったり、高火力のバーナーとかね。火気の使用許可はまた別に書類があるから、決まったら出してね」
「了解!」
 と言う訳で、九月の末、僕は急遽文化祭へ向けて出店することになったのだ。
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