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第2章「メニュー」
何のメニューにしよう?
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ガタンゴトン。次の日の朝、電車に揺られながら、僕は文化祭に出すメニューを考えていた。
まず考えたのはパスタ。作るのは比較的簡単だ。ペペロンチーノとか、カルボナーラとか。ペスカトーレは貝を使うので、予算的に少し無理があるかもしれない。
ペペロンチーノはニンニクと唐辛子。とても安く出来る。しかしだ、簡単に出来るだけに、文化祭のメニューとしてはどうなんだろう。
カルボナーラも似たようなもので、簡単に言えば、ペペロンチーノを作って最後に溶き卵を混ぜればカルボナーラである。ネットのイタリア人の動画で見たから間違いない。僕は知らないがけっこう有名な料理の人らしい。
日本だとカルボナーラに牛乳を入れることが多いらしいが、彼いわく、それは邪道らしい。もしかしたらレシピが伝わる途中で、クリーミーの意味を牛乳に取り違えたのかもしれない。つまり、卵で乳化するのが本場のやり方と言うことだ。
「……くん……君、聞いてる?……タッくんってば!」
「ああ、ごめん聞いてなかった。何だっけ?クリーミー?」
「クリーミー?……いや、違うよ。クリーミーって何よ?今日のお弁当のテリヤキの話だよ」
「いや、何でもない。ちょっとパスタについて考えてた」
「パスタ?」
「あ、うん」
「何の話?」
「あー、えーと、後からまとめて話すよ。今はちょっと一人で考えたい」
「ふーん……いいけど」
現国の授業中。教科書を眺めていたら、頭の中にクレープが思い浮かんだ。白いクリームとフルーツが入ったクレープだ。縁日とかにあるあれだ。思わず口の中がクリームの味を想像して甘さでいっぱいになった。クリームいいな……。
しかし。僕はクレープについて殆ど何も知らないことに気が付いた。知っているのは生地が小麦粉で出来ていること……待てよ、小麦粉だよな?トウモロコシの粉じゃないよな……まあ、それは置いといて。
その生地の中に生クリームまたはホイップクリームを充填して……いや違うか。それはクリームパンとかの方法かな?平べったい時にクリーム塗る?そして何か具を乗せる。そして巻く。
中身は普通はチョコとか、チーズとか。あとフルーツか。僕の知識の範囲内だとそんな感じだ。
「……そこ、山野。続きを読みなさい」
フルーツは高いから、この際、梅干しを……え?
「はいっ!」
隣の席の吉田が53ページを指している。そこか。ありがとう。僕は読んだ。
「春はあけぼの。ようよう白くなり……なり……」
待て、もしやこれは古典の本……そして今は現国の時間。
その後、教壇まで「こっち来い」と呼ばれ、本で頭をはたかれた。
授業が終わり、僕は部室へと向かった。
歩いている途中、サンドイッチが思い浮かんだ。思いっきり軽食である。軽食店にぴったりだ。間違いない。パンに具材を挟むだけの料理。普通はハムとかキュウリとかトマトを挟んでマヨネーズとかのソースをかける。それだけだ。
フルーツサンドイッチと言う手もある。ソースが生クリームとかになって、具材がフルーツになったアレンジサンドイッチだ。これも簡単だと思う。
いや、やはりフルーツがやはり難点……いや、この際、梅干しを……とか考えていたら、声をかけられた。
「……聞いてる?……おーい」
ゴローだった。
「あ、うん。ごめん。聞いてなかった」
「……ひどいな。えーと、昨日の出店の話はその後どうなったんだ?いつまでに用意とかすんの?」
「ああ、うん。今日はこれからそれについて話そうかと。まずやることがある」
「あ、タッくんいた」
ヨーコちゃんが現れた。
「あとはレーコちゃんと先生か。あー、じゃ軽く話しておくか……」
「何?」
「昴ちゃんに言われたんだけど、早めにね、メニューを決めろって」
「あー、朝言ってたやつか……」
「うん」
「で、何やんの?」
「それをこれから皆で話そうかと。僕もいくつか考えたんだけれど……どれもイマイチで……」
とか言っている間に部室へと着いた。ガチャガチャと鍵を開ける。
「まあ、すぐにレーコちゃんも来ると思うんで。とりあえず中へ。詳しい話はそれからかな。先生は……来るかなぁ?気まぐれだからな。まあ、入って入って」
部室の中で無駄話をしていると、部室の扉が開いた。
「あ、もう皆集まってる」
レーコちゃんだった。
「お、来たね」
「ごめん、授業長引いてて」
「全然大丈夫」
「今日は何をやるの?」
「えーとねぇ……あ、これを使うか」
僕は部室の隅にあったホワイトボードを中央に引きずり出し、ペンで『祝・美食倶楽部、文化祭出店!』と書いた。
「えー、我がゴールデン高校美食倶楽部は、文化祭に軽食店を出すことに決まりました」
パチパチパチパチ。時ならぬ拍手が起こった。
「つきましては、生徒会の方に、『軽食店だけだと何のお店かわからないじゃない』と言われまして」
レーコちゃんがなぜかクスクス笑っている。似てたかな?
「で、『早めに決めて』とのことなので。そのメニューをこれから皆で決めたいと思います」
パチパチパチパチ。
と言うわけで、メニュー決めの会議が始まった。
まず考えたのはパスタ。作るのは比較的簡単だ。ペペロンチーノとか、カルボナーラとか。ペスカトーレは貝を使うので、予算的に少し無理があるかもしれない。
ペペロンチーノはニンニクと唐辛子。とても安く出来る。しかしだ、簡単に出来るだけに、文化祭のメニューとしてはどうなんだろう。
カルボナーラも似たようなもので、簡単に言えば、ペペロンチーノを作って最後に溶き卵を混ぜればカルボナーラである。ネットのイタリア人の動画で見たから間違いない。僕は知らないがけっこう有名な料理の人らしい。
日本だとカルボナーラに牛乳を入れることが多いらしいが、彼いわく、それは邪道らしい。もしかしたらレシピが伝わる途中で、クリーミーの意味を牛乳に取り違えたのかもしれない。つまり、卵で乳化するのが本場のやり方と言うことだ。
「……くん……君、聞いてる?……タッくんってば!」
「ああ、ごめん聞いてなかった。何だっけ?クリーミー?」
「クリーミー?……いや、違うよ。クリーミーって何よ?今日のお弁当のテリヤキの話だよ」
「いや、何でもない。ちょっとパスタについて考えてた」
「パスタ?」
「あ、うん」
「何の話?」
「あー、えーと、後からまとめて話すよ。今はちょっと一人で考えたい」
「ふーん……いいけど」
現国の授業中。教科書を眺めていたら、頭の中にクレープが思い浮かんだ。白いクリームとフルーツが入ったクレープだ。縁日とかにあるあれだ。思わず口の中がクリームの味を想像して甘さでいっぱいになった。クリームいいな……。
しかし。僕はクレープについて殆ど何も知らないことに気が付いた。知っているのは生地が小麦粉で出来ていること……待てよ、小麦粉だよな?トウモロコシの粉じゃないよな……まあ、それは置いといて。
その生地の中に生クリームまたはホイップクリームを充填して……いや違うか。それはクリームパンとかの方法かな?平べったい時にクリーム塗る?そして何か具を乗せる。そして巻く。
中身は普通はチョコとか、チーズとか。あとフルーツか。僕の知識の範囲内だとそんな感じだ。
「……そこ、山野。続きを読みなさい」
フルーツは高いから、この際、梅干しを……え?
「はいっ!」
隣の席の吉田が53ページを指している。そこか。ありがとう。僕は読んだ。
「春はあけぼの。ようよう白くなり……なり……」
待て、もしやこれは古典の本……そして今は現国の時間。
その後、教壇まで「こっち来い」と呼ばれ、本で頭をはたかれた。
授業が終わり、僕は部室へと向かった。
歩いている途中、サンドイッチが思い浮かんだ。思いっきり軽食である。軽食店にぴったりだ。間違いない。パンに具材を挟むだけの料理。普通はハムとかキュウリとかトマトを挟んでマヨネーズとかのソースをかける。それだけだ。
フルーツサンドイッチと言う手もある。ソースが生クリームとかになって、具材がフルーツになったアレンジサンドイッチだ。これも簡単だと思う。
いや、やはりフルーツがやはり難点……いや、この際、梅干しを……とか考えていたら、声をかけられた。
「……聞いてる?……おーい」
ゴローだった。
「あ、うん。ごめん。聞いてなかった」
「……ひどいな。えーと、昨日の出店の話はその後どうなったんだ?いつまでに用意とかすんの?」
「ああ、うん。今日はこれからそれについて話そうかと。まずやることがある」
「あ、タッくんいた」
ヨーコちゃんが現れた。
「あとはレーコちゃんと先生か。あー、じゃ軽く話しておくか……」
「何?」
「昴ちゃんに言われたんだけど、早めにね、メニューを決めろって」
「あー、朝言ってたやつか……」
「うん」
「で、何やんの?」
「それをこれから皆で話そうかと。僕もいくつか考えたんだけれど……どれもイマイチで……」
とか言っている間に部室へと着いた。ガチャガチャと鍵を開ける。
「まあ、すぐにレーコちゃんも来ると思うんで。とりあえず中へ。詳しい話はそれからかな。先生は……来るかなぁ?気まぐれだからな。まあ、入って入って」
部室の中で無駄話をしていると、部室の扉が開いた。
「あ、もう皆集まってる」
レーコちゃんだった。
「お、来たね」
「ごめん、授業長引いてて」
「全然大丈夫」
「今日は何をやるの?」
「えーとねぇ……あ、これを使うか」
僕は部室の隅にあったホワイトボードを中央に引きずり出し、ペンで『祝・美食倶楽部、文化祭出店!』と書いた。
「えー、我がゴールデン高校美食倶楽部は、文化祭に軽食店を出すことに決まりました」
パチパチパチパチ。時ならぬ拍手が起こった。
「つきましては、生徒会の方に、『軽食店だけだと何のお店かわからないじゃない』と言われまして」
レーコちゃんがなぜかクスクス笑っている。似てたかな?
「で、『早めに決めて』とのことなので。そのメニューをこれから皆で決めたいと思います」
パチパチパチパチ。
と言うわけで、メニュー決めの会議が始まった。
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