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第3章「カレーなる試食」
タイカレー?
しおりを挟む次の日の土曜日。休みと言うこともあって、僕は文化祭のややこしい事務的なあれこれを放り出し、スパイスについて調べていた。
カレーの基本はクミンシードとターメリック。クミンシードは香り用。種を丸ごと使う。粉じゃない。
ターメリックは日本語だと「うこん」と呼ばれているもの。カレーの黄色はこれで出るらしい。
加えてチリペッパー、コリアンダー、粉のクミンなどを使う。
まあ、基本さえ押さえておけば、あとはアレンジと言うことだろう。チリペッパーとコリアンダーは辛さ調節用だと思う。
作り方としては、クミンシード、ニンニク、ショウガなどを炒めて香味油を作り、最後に具材を炒める。あとは残りのスパイスを加えて軽く炒め、水を加えて煮込む。そんな感じ。
これが普通のスパイスカレーを作る時のやり方。基本中の基本。
あとはどのスパイスをどれぐらいの割合で入れるか、具材を何にするかで味が全然変わってくる。具材は色々あるので、バリエーションは無限大だ。
あとは理論の実践と経験だな。作ってみないと分からない。
昼過ぎ、スマホにメッセージが来た。ゴローだった。内容はと言うと「タイカレーの店を知ってるから行こうぜ?」と言うものだった。
タイカレーか。僕の知識だと、グリーンカレーにレッドカレーぐらいしか知らないな。行くか……?参考にはなるかな。しかし待てよ。ゴローはお洒落で流行の店が好きな男だ。つまり、値段が高いかも知れない。
「おいくらほど?」
「そうだな、安くて千円。コースとかにすると二千円ってとこかな?」
うーん、出ないことはないが、ちょっと財布に痛いな。
「安くなったりは?」
「あー、クーポンとかあるかもね。調べてみる」
と言う感じで、いったんメッセージのやり取りは途切れた。
その間に僕はネットでタイカレーを調べた。
グリーンカレーとは……材料は、レモングラス、コブミカンの葉、青唐辛子、ナス、鶏肉などなど。レモングラス……まるで分からない。コブミカン……ミカンの類だと言うのは分かるが……。
青唐辛子、ナス、鶏肉は当然分かる。しかし、玉葱とかジャガイモとかは入って無いんだな。入れても構わないのかな?
あとはレッドカレー……レッドと言うくらいだから辛いに違いない……。と、そこでメッセージが帰ってきた。
「お客様、ラッキーですね」
「おい、口調が詐欺っぽいぞ……」
「おめでとうございます!」
「……まあ、話を聞こうか」
「うん、あったよクーポン。普通のメニューは二百円、コースは五百円安くなるらしい」
「二百円に、五百円か……まあ、それぐらいならいいかな?」
「あ、待って。時間の指定があるわ。午後1寺から5時まで」
「ああ、人が来ない時間の販促なのかな?」
「遅い昼飯になっちゃうけど行くか?」
「そうだな……他のメンバーは?」
「聞いてみようか?」
「場所は?」
「一番町」
一番町と言うのはターミナル駅である鳳来駅から続くアーケード街近くにある繁華街だ。飲み屋が多い。まあ、昼なら特に問題はない。
「聞いてみて」
「了解」
こういう時、ゴローは嫌がらない。人に連絡を取ったりするのが好きなのだ。マメな男だ。
「あ、明日で良い?拓海?」
「いいんじゃない?日曜だし。今日はもう昼過ぎだし」
「じゃ、それで聞いてみるわ」
しばらくしてメッセージが返ってきた。
「陽子ちゃんは行くってさ。豪炎寺さんは用事があるとかで無理だって」
「ああ、レーコちゃんダメなのか。じゃ、三人で行くか」
「オッケー。じゃ、明日、鳳来駅前に1時ぐらいな。着いたらメッセくれ」
「分かった」
と言うわけで、タイカレーの店に行くことになった。あ、店の名前聞くの忘れた。まあ、いいか。ゴローが知ってるし、名前は重要じゃない。
しばらくするとヨーコからメッセージが来た。「明日、二日町の駅で12時半に待ってるね」と書いてあった。よし、オッケーと……。連絡はいいな。
タイカレーか……もう少し調べてみるか。
まず食材を。えーと、レモングラスとはハーブの一種。見た目がネギっぽいなこれ。名前はレモンと同じ香り成分を持つことから来ているらしい。エスニック料理によく使われる。東南アジアやインドに生える植物。
コブミカン。タイ、マレーシアの柑橘類。やはりミカンか。ああ、表面がボコボコしているからコブミカン。なるほど。味は分からないが、ミカンに近い味がするに違いない。日本のポンカンやいよかんみたいなものだろう。差があってもその程度だと思う。知らないけれど。生で食べる機会もあまり無さそうだし。あとは……。
いつの間にか夜が更け、スマホ片手にベッドで寝入ってしまっていた。
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