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第一章:世界を旅する準備
ベッドの中での現状確認
しおりを挟むさて、そろそろ落ち着いてきたし決意も新たにしたところなので現在までの10年間の状況を確認していこう。
まず俺の名前はアレクトス。
他の人からはアレクと呼ばれる。
なお、目を合わせて呼んでくれるのは大抵一人だけなんだけどね。
陰口ではよく呼ばれてるんだよな......は!?危ない危ない、危うくまた心に多大なるダメージを負ってしまうところだった。恐るべし、幼少期の俺の記憶!
さて、気を取り直して状況確認の続きをしよう。
今俺が住んでいるのは三つ存在する大陸のうち2番目に大きいドゥバイ大陸にあるメルヴィ王国だ。
メルヴィ王国は大陸のなかでは2番目に大きく、兵士も精強なため国境付近でなければ基本的に平和な国である。
また、西側は海に面し、南には鉱山が多数存在し、北は冬になると吹雪の厳しい時はあるが春になると雪は溶けてなくなりその水が起点となって国内を北から南まで枝分かれしながら流れていくため、農作に適した陸地が多く存在する資源豊かな国である。
しかし、その豊かさ故に東北に国境を接しているフォルムカ帝国から度々侵略戦争を仕掛けられているという。
そのため毎回少なくない数の孤児が生まれてしまい、王国はその孤児を国内の孤児院に分配する政策をとっている。
なぜそんなことを話したかというと俺自身5歳の時に住んでいた村が帝国との国境に近かったために戦争に巻き込まれ、孤児として南西にある中規模の街の孤児院に引き取られて来たのだ。
前世とあまり変わらない展開に既視感を覚えるが、既に前世でボッチを極めていた俺にとっては慣れたも...の......グハッ!?
しまった、またダメージを負ってしまった。
しかし俺は変わると誓ったのだ!
この程度でへこたれてなどいられない!!
そして孤児院にやって来た俺は五年間スクスクと育ち、先日満10歳になった日の朝に前世の記憶を思い出した反動で寝込んでいたというわけだ。
ん?
大陸の情勢ばかりで俺自身の説明が少ないって?
バカ言っちゃいけねぇなぁ...俺は今日までずっと生粋のボッチだぜ?
他の孤児と遊んだ記憶はないし、親兄弟もいやしねぇ。
それだけでなく、精霊と話していたために気味の悪い子と思われていた俺はほとんどの奴らから避けられていた。
ヤベッ、自分で言ってて泣きそうになってきた。
まあ正直こいつら精霊は俺の大切な友人たちであり恨みなんて更々ないんだけどな。
でもそれはそれ、これはこれだ。
気づいたときにはボッチ街道まっしぐらだったことは素直に悲しいです...うぅ。
しかし、そんな俺の心の支えというか唯一の縁が孤児院を経営しているシスターだった。
シスターは人族ではなく森の賢者と言われるエルフの女性で、前世の祖父のように俺に愛情を注いでくれる大切な存在だ。
まあ、見た目はしわくちゃの老人とピチピチの美女で全くの真逆だったが、それでも同じように愛情を向けてくれている。
ただ、エルフであるため実際の年齢は祖父以上かもしれないのだが、以前やって来た筋骨粒々な男性がぼこぼこにされていたのを目撃したため怖くて聞こうとは思えない。
さて、一応これまでの10年間をざっと確認できた。代償として残りのライフポイントは5くらいしか残っていないがな。
ここからは今後のことを考えていこう。
目的は世界中に友達を作ることだ、そのためには世界を旅しなければならないのだが、この世界は前世ほど治安が言い訳でもなく、また文明も遥かに遅れているため利便性は格段に劣っている。
そして一番の問題は魔物と呼ばれる生物の存在だ。
魔物は通常の野性動物とは違い体内に魔石と呼ばれる高密度の魔力結晶体があり、そのため常に好戦的で狂暴な性格をしているものが多く、特に街道沿いや森の中などの街から離れた場所では良く人が襲われている。
つまりは世界を旅するにはその魔物たちに負けない強さが絶対条件なのだ。
正直サバンナやアマゾンが可愛く思えるほどに危険な世界であるため、生半可な強さでは直ぐに死んでしまうだろう。
しかし、俺には希望があった。
それは...魔法だ!
そう、この世界には空想の産物だった魔法が存在するのだ!
これはもう魔法を極めるしかないだろう。
幸い、魔力の動かしかたや簡単な生活魔法の使い方はシスターから教えて貰っていたため、あとはそれを応用すればいいだろう。
まず、魔力は普段体の中心、心臓付近に停滞している。その魔力を感じとり、意識して動かすことが出来れば魔法を使うことができる。
生活魔法であれば短い詠唱を行うことで誰でも使うことができるが、戦闘用の魔法などの高度なものになると杖などの発動体や魔方陣等の媒体が必要になるらしい。
俺も以前に他の孤児たちと一緒にシスターから教わって魔法をつかえるのだが、1つ気がかりというか疑問があった。
それは、どんな人でも魔力を動かして体外に放出したときには周辺の精霊がその人物の方向を向くのだ。
そして、呪文の詠唱を始めると火なら赤髪の精霊が、水なら青い髪の精霊が近寄っていき、詠唱が終わり魔法名を言ったときに合わせて近寄っていった精霊が両手を魔法が発動する場所に向けているのだ。
ということはだ、もしかすると魔法とは魔力を使って精霊にお願いして発動するのではないだろうか?
まだ仮説にすぎないが、十分有り得ると思う。
そしてもしこの仮説が正しければ俺は他の人に比べて格段に有利になる可能性が高いのだ。
俺は胸の高鳴りを自覚しながら今日の現状確認の時に負った精神的なダメージを回復させようと眠りについたのだった。
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