輸送艦オリオン~SF異世界に転生したら、女体化したうえ大型輸送艦の艦長になりました!最強輸送艦で商人プレイ!~

黴男

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γ-クラリウム星系群編(後編)

143-死者へ贈る協奏曲

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ミサイルの束が、罪深き船へと向かう。
それはまるで、咎人を罰そうとする天使の軍勢のようであった。
そして、ミサイルを越えた速度で、光が駆け抜ける。
オリオンの砲撃が、一基ずつ砲台を破壊しているのだ。
手を奪われていくオブリビオンは、その名の通り残骸という忘却へと変わろうとしているのだ。

「主砲塔、全損!」
「戦闘機甲板使用不能! 第一格納庫に火災発生!」
「敵輸送艦、距離を詰めてきます!」
「あ、ああ....ああ........」

ウエジは絶望して、膝から崩れ落ちていた。
ハゾーダもまた、恐怖を初めて感じていた。

「バカな....あってはならない.....ただの輸送艦に.....ただの輸送艦ごときにいいいいい!!!!! 私は、私は王になるのだぞ、許されていいはずがない!」

オリオンは最大船速でオブリビオンに迫る。
それは、乗務員たちに多大な恐怖を与えた。

「お、俺は逃げる! し、知るかってんだ!」
「俺も!」
「給料分働いたんだ!」

ブリッジから人が逃げ始めた。
ウエジは悩んだ。
この期においてもなお、彼は保身を考えた。
そして。
ブリッジに銃声が響く。
誰が撃ったか? 当然のように、ウエジだった。
彼は銃を振り回して喚く。

「ひ.....」
「に、逃げるなああ!! 逃げれば撃つぞおおおお!!」
「クソがぁ!!」
「ぎゃああっ!」

あっという間に、ウエジは部下に撃たれて死んだ。
人望のなさ故であった。
そして、誰も気づかなかった。
オリオンの主砲が、正確にオブリビオンのブリッジを狙っていることを。

『ロックしました』
「撃て」

葛藤、憎しみ、嫌悪、後悔。
それら全ての感情を押し込めて、艦長としてリリーが命じた。
六つの砲撃が、シールドのなくなったブリッジを撃ち貫く。
死のたった一瞬、ハゾーダは自らを悔いた。
だがそれは、自らが愚かだったことではない。
輸送艦ごときに後れを取った、自らの人選のミスを。
ブリッジが破壊された後、オリオンはオブリビオンの後方に回り込み、推進器を主砲で破壊した。

『お、おい! ハゾーダ様がやられて....』
『案ずるな、たかが一隻沈めて、俺たちが宇宙を征服するんだ!』

そして、残った艦隊は逃げなかった。
全艦がオリオンを狙って――――

『本部に打電。騎士の葵咲く』

ペルソナの冷徹な声が響いた。
そして。
宇宙の果てより、大艦隊がワープアウトした。
指揮官は誰か?

「全艦、指揮はない! 敵を撃ち漏らすな! ――――このビュッケツァイン子爵が命じているのだ、オリオンを援護せよ!」

決して、ビュッケツァイン子爵はオリオンを見捨てたわけではなかった。
コンタクトを取ってきたオリオンに対して、子爵は暗号文を教えた。
補給と兵站を無視し、星系中からかき集めてきたありとあらゆる戦力。
過熱でオブリビオンと同じようにシールドを失ったハダルレイン艦隊に、勝機など少しもあるはずがなかった。

『ヒャハアアアア!! 仇討のチャンスだああああ!!!』
『オリオンの艦長に救ってもらった恩を忘れんな、突撃いいいいい!!』

当然、指揮の放棄を子爵が決断したのには理由がある。
一つは、傭兵が混じっている事。
二つは、死にたくなければ帰っていいという事。

「君は、恐怖すると思っていたのだがね」

ビュッケツァイン子爵は、古い付き合いの副官にそう問いかけた。
副官は、それに微笑みで返す。
十億人を超える死者への手向けが、今始まる。
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