輸送艦オリオン~SF異世界に転生したら、女体化したうえ大型輸送艦の艦長になりました!最強輸送艦で商人プレイ!~

黴男

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Δ-ハスラパル戦域編(前編)

172-決死隊

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『じゃあ、自分の意思でそれやってるのかよ』

イルクの声が、風呂場に響く。
それを聴きながら、俺は排水溝をゴシゴシ洗う。

「うんっ、そーだよ?」
『凄いな...艦長自ら風呂掃除か』
「カードで負けたからね」

やってる事は地球とあまり変わらないが、風呂場は広い。
自己清掃システムで掃除しきれない、細かい部分が重要になる。
すでにペルソナが汚れやすく洗いにくい箇所を見つけてくれているので、俺はそれに従えばいい。

『ははは、カードか。俺もよくやるよ、全然勝てないけどな...』
「今度勝負しようよ」
『ああ、いいよ。賭けるか?』
「賭けるなら、何がいいの?」

俺はちょっと挑戦的な質問だったかと思って、風呂釜の下の清掃を開始する。
風呂場につけられた機能を使って風呂桶を持ち上げて、洗剤で浮かせてこそぎ取る。

『賭けるなら...そうだな、一緒に飲みに行きたい。どっちが奢るか賭けよう』
「へえ、そういう気があるんだ」

イルクとならいいかな、と思ってしまうのが嫌にならない。
俺までおかしくなってしまったかな。

『俺も男だから...それより、君って好きな人いるの?』
「いないけど?」
『丁度良かった』

完全にその気じゃないか。
俺は罪な奴だと自惚れて見せて、すぐに恥ずかしさに気付いた。
中身が男の女が、ちょっとモテてイキってるのは恥ずかしすぎる。

「まあ、段階を踏んでからね」
『うん、分かっているさ』

俺は雑巾を絞る。
ここはまだ女湯だから、次は男湯の方だ。
使用頻度はもっと低いから、そっちの方が楽だろう。
男湯の風呂釜の底を掃除していた時、イルクが急に態度を変えた。

『...今日は、もう一つ伝えたいことがあるんだ』
「なに?」
『ゲートを突破するための突撃艦隊、それに俺が選ばれたんだ』
「...えっ?」

それって、死ぬ可能性もあるって事ではないか?
俺は、スポンジを取り落とす。
右頬にスポンジが落ちて、嫌な音を立てた。

『心配しないでくれ。死ぬようなことにはならないし、なりそうになっても逃げる』
「うん、そうして」
『君がいるし、死ねないよ』

俺はスポンジを拾って、再び仰向けになった。

『故郷で待ってる友達もいる、俺は絶対に生きて帰る』
「それ、フラグっていうんだよ、死亡フラグって」
『じゃあ、死んでも帰るよ』
「なにそれ」

俺はくすっと笑った。
そして、伸ばしたシャワーで風呂釜の底を洗い、丁寧に乾いた布で拭った。
あとは、シャワーヘッドを交換して、古い方を完全洗浄へ出す。
それをやってる間に、給湯口を掃除しておく。

『生きて帰ったら、俺の私物の酒を開けるよ。付き合ってくれ』
「それも死亡フラグ」
『げっ...難しいな』

これはなにを言っても死亡フラグになる流れか。
俺は溜息を吐いて、それから笑った。

『ロケットに写真を入れたらダメだよな?』
「うん」
『だよなあ、お守りって何でこう面倒なんだ?』
「でも、それに宿る力はもしかしたら凄いものかも」
『...かもしれない』

気付くと、完全洗浄は終わっていた。
俺はシャワーヘッドを予備ボックスに入れると、持っていた携帯端末を手に取る。

「そろそろ切るよ?」
『ああ、また会おう』

俺は通信を切った。
いよいよ明朝、作戦開始だ。
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