輸送艦オリオン~SF異世界に転生したら、女体化したうえ大型輸送艦の艦長になりました!最強輸送艦で商人プレイ!~

黴男

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Δ-ハスラパル戦域編(前編)

173-シュツクスの槍

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集結を終えた王国艦隊は、ゲートへ向けての突撃作戦を開始した。
この作戦は、一番足の遅い船に合わせて行われる。
防御陣を船そのもので組み上げ、鈍重かつ戦略的に重要な船を守りながらゲートへ接近するのだ。
どのみち、先行して突撃する駆逐艦隊ではゲートを覆っているだろう妨害フィールドを破壊出来ない。
司令部もまた、捨て駒であると理解はしていた。
しかし、伝えるわけには行かない。
家族や友人に送り出されてきた兵士たちに「君は時間稼ぎで死ぬのだ」とは言えないだろう。
指揮官があまり優秀ではないため、王国軍は指揮AIの立案する残酷な計画を幾つか受け入れざるを得なかった。

『第一次突撃隊、ゲートへ到着。映像来ました!』
「おお...何ということだ」

指揮官は嘆息する。
ゲート前には、ゲートを覆い尽くすほどの大艦隊が待ち構えていたためである。
主力艦五隻もまた、そこへ鎮座している。

『装甲突入の陣へ陣形変更、後にワープする!』
『司令、それでは駆逐艦隊が全滅します!』
『ワープ角度を読まれている、このままではワープした瞬間に集中砲火へ晒されるのだぞ』
『...承知しました』

艦隊は再び陣形を組み直す。
観艦式のような光景だ、入り混じった大艦隊が大きく動いていく。
だが、そこに美しさはない。
むしろ、見る者が見ればその練度の低さに嘆息するだろう。
王国軍は少数での駆け引きには強いが、集団を指揮・統率するのを苦手とする傾向がある。

『陣形変更、98%完了。ワープを推奨、このままでは作戦の行動フローに大幅な修正が必要です』
『全艦隊、ワープせよ!』

先行で突撃した駆逐艦隊は、圧倒的な大艦隊を前に擦り減りつつあった。
指揮AIのツァスパーは、彼らが全滅すれば突撃させる意味は無いと言った。
それに従い、大艦隊がワープへと入る。
大軍をかき集めて総勢800余隻の一斉ワープコア連動である。
本来のワープ性能より大幅に強化されたワープは一瞬で終了した。

『艦隊をシュツクスの槍陣形へと移行。このまま一気に突き破れ』
『了解!』

艦隊はシールドの厚い艦を前へと展開する陣形へと移行する。
先程の陣形変更は、シュツクスの槍陣形への移行をスムーズに行うためのものだ。
前面に突出した艦隊はシールドが厚く、ビーム砲撃の雨を何とか耐える。
シールドを回復させる間、後列にいた予備が前面へと出、初撃を受けた艦はシールド艦の最後尾まで下がる。
こうすることで、立体的な前面への攻撃を完全に防ぐのだ。
だが、今回は様々な要因が防御を困難なものへとさせていた。

『隊列変更が遅い! 訓練で何やってきた!』
『C-45番がシールドに接触している! 至急離れろ!』

一つは、やはり練度の低さ。
密集し、シールドの密度を出来るだけ厚くするというこの陣形を維持するには、王国の激戦区で戦っているような本物のエリートと、優秀な指揮官による息の合った連携が必要不可欠であるが、そのどれもがこの戦場では欠けている。

『うわあああああ、隣がやられた!』
『3枚抜きされた! 補充を求む!』

そしてもう一つは、敵艦隊には主力艦が含まれるということ。
超強力なビーム砲撃が、たった今もシールドの低下した数隻を一気に貫き、槍の「柄」に位置する部分の艦隊にも損害を与えた。

『シュツクスの槍の防御効率は82%まで低下。現在、補充艦が前面部へ移動中、効率は15分で2%回復するものと思われます』
『最悪、我等が盾になっても構わん。戦艦と重巡洋艦、輸送艦隊だけは何としてもゲートへ辿り着かせるのだ』
『了解。旗艦を中心とした最終防御陣形を立案します』

主力艦五隻による予想外の威力の砲撃によって、既に艦隊の前面部には大きな被害が出ていた。
だが、ここで事態は動き出す。

『敵駆逐艦、高速巡洋艦の混合艦隊が両翼に展開! コルベット、フリゲートの高速艦隊がまっすぐ突っ込んできます』
『両翼に展開した艦隊に対して核融合ミサイルの使用を提案、コルベット、フリゲート艦隊の対処にはシャードミサイルを提案』
『許可する!』

砲雷撃戦の始まりである。
水雷艇が艦隊の内部で、射線の通りやすい位置に移動し、一斉に核融合弾頭のミサイルを連射する。
前衛をかわして突っ込んできたコルベット・フリゲート艦隊は、フレンドリーファイアを厭わないシャードミサイル(近距離散弾ミサイル)による攻撃で程なくして壊滅した。
シャードミサイルは一定の距離が離れれば影響がなくなるほか、仮に当たったとしても大型のシールドであれば威力が分散するため、ツァスパーはそれの使用を提案したのだ。

『核融合ミサイル、第一次攻撃総数1600のうち82%が迎撃されましたが、17%が直撃、残りは効果ありませんでした』
『撃ち続けよ』

いかに核融合弾頭であっても、シールドのある相手には決定打にはならない。
それを理解していながらも、ビームの撃ち合いでは近距離に強い敵側に利がある。
ならば威力の強いミサイルを大量に打ち込んだほうがマシだという結論である。
戦闘は始まったばかりだが、早くも艦隊はジリ貧に追い込まれていた。
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