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Δ-ハスラパル戦域編(後編)
183-人生初の大爆笑
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リリーの部屋から銃声が響いた。
それを、ペルソナとアルは同時に聞きつけた。
最高速度で急行するペルソナと、部屋から飛び出してきたアルがリリーの部屋の前に着くのは同時だった。
「リリーさん!」
「リリー様!」
部屋に飛び込むと、二人が見たものは。
レーザーガンを取り落として、死んだ目でベッドに佇むリリーの姿だった。
ペルソナは素早くレイザーホークスに目を向ける。
購入時の演習出力のままになっていて、当たっても貫通はしなかったようである。
どこに当てたかは、リリーの右耳の少し上から湯気が立っている事からすぐにわかった。
「ッ!」
ペルソナは一瞬でリリーを取り押さえ、レイザーホークスを足で蹴っ飛ばしてアルの方へやった。
「リリー様、何を!」
「ふふふふ、アハハハハハハハハ! ヒヒヒヒヒヒ、アハハハハハ!」
ペルソナの言葉が聞こえていないかのように、リリーは笑う。
その不気味さに、アルはたじろぐ。
ペルソナは構わない、抑えているうちは自死はさせないからである。
「リリー様!」
「アッハッハッハッハッハ!」
おかしくてたまらないというふうに、リリーは笑い続ける。
だが、その目は死んでいた。
暗闇でないからこそ、アルにはよくわかった。
底の見えない穴のような瞳に、笑いやおかしさは何もなかった。
虚無である、ただ虚無がそこにあった。
「...致し方ありませんか」
ペルソナは、ポケットから取り出した注射器をリリーの首に当て、レバーを押し込んだ。
リリーはまだしばらく暴れていたが、やがて眠り始めた。
「...リリー様を医療ポッドに入れてきます。...アル様は、食堂へ来てください。お話があります」
「...わ、わかった」
医務室にある医療ポッドに入れれば、栄養を与え、老廃物や疲労を取り除きつつ身体も清潔にできる。
多用はできないが、だからこその一回の使用で全てを解決できる。
ただ、傷の応急処置はできても治療までは出来ないのが一つの欠点である。
そして、心の傷を治せるほど万能でもない。
「アル様」
「う、うん」
リリーを医療ポッドに預けたリリーは、アルの元へ向かった。
アルもやつれていたが、こっそり持ち込んだカロリーバーを食べていたようで、ふらふらとはしていなかった。
「リリー様がこうなった原因は、イルク様の死なのでしょうか?」
「わかんないよ、そんな事...」
アルはイルクの存在を知らない。
だからこそ、リリーが急におかしくなったとしか思えないのだ。
「イルク様はリリー様と仲睦まじくされていらっしゃった男性です。彼が先日死亡したとの報を受け取った直後から、リリー様は塞ぎ込み始めました」
「...そうなんだ」
アルは納得して、同時に安心もした。
彼は気付いていなかったが、彼はリリーに男がいるという事実と、その男が死んで、再びリリーが自分だけのものになった事が嬉しかったのだ。
無論、無意識下の事であり、本人も未だ気付けない感情ではあったが。
「リリー様はもう、修復不能な状態の可能性もあります。そうなると、この船には指示を出してくれる方が居ません」
「うん...うん?」
ペルソナが急に話を変えたので、アルは目を見開く。
何か変な流れだと察したのだ。
「代理艦長をやってみませんか、アル様」
「えっ、僕が...? でも、ペルソナが居るし」
「私の補佐で構いません、私は人間の指示がないと、重要なことは決められないので...」
「わかった、やる」
アルは即答した。
ペルソナが実質一人で船を支えている状況を、彼なりに拙いと判断したのだろう。
それから、リリーに対する負い目もまた、無意識に彼を追い立てていた。
「...リリー様は、常にアル様の前では立派な大人であろうと頑張っていらっしゃいました。ですから、アル様が気に病む必要はありません」
「わかってるよ、ペルソナ」
子供は聡い。
リリーが無理をして振る舞っている事くらい、アルにもお見通しであった。
けれど、自分にそれを言う権利はないと、アルも分かっていた。
自分は転がり込んで、勉強中とはいえ居候である。
だから、リリーに立派さを求める事などないし、むしろ弱さを見せてほしいとまで感じていた。
「リリーさんが回復するまで、僕が頑張る。リリーさんが一人で頑張らなくていいんだって、僕が...」
「わかりました、ありがとうございます!」
かくして、オリオンの一時艦長にアルが就任した。
それは、これから激化するハスラパルという戦場において、オリオンに大きな影響を与えるのであった。
それを、ペルソナとアルは同時に聞きつけた。
最高速度で急行するペルソナと、部屋から飛び出してきたアルがリリーの部屋の前に着くのは同時だった。
「リリーさん!」
「リリー様!」
部屋に飛び込むと、二人が見たものは。
レーザーガンを取り落として、死んだ目でベッドに佇むリリーの姿だった。
ペルソナは素早くレイザーホークスに目を向ける。
購入時の演習出力のままになっていて、当たっても貫通はしなかったようである。
どこに当てたかは、リリーの右耳の少し上から湯気が立っている事からすぐにわかった。
「ッ!」
ペルソナは一瞬でリリーを取り押さえ、レイザーホークスを足で蹴っ飛ばしてアルの方へやった。
「リリー様、何を!」
「ふふふふ、アハハハハハハハハ! ヒヒヒヒヒヒ、アハハハハハ!」
ペルソナの言葉が聞こえていないかのように、リリーは笑う。
その不気味さに、アルはたじろぐ。
ペルソナは構わない、抑えているうちは自死はさせないからである。
「リリー様!」
「アッハッハッハッハッハ!」
おかしくてたまらないというふうに、リリーは笑い続ける。
だが、その目は死んでいた。
暗闇でないからこそ、アルにはよくわかった。
底の見えない穴のような瞳に、笑いやおかしさは何もなかった。
虚無である、ただ虚無がそこにあった。
「...致し方ありませんか」
ペルソナは、ポケットから取り出した注射器をリリーの首に当て、レバーを押し込んだ。
リリーはまだしばらく暴れていたが、やがて眠り始めた。
「...リリー様を医療ポッドに入れてきます。...アル様は、食堂へ来てください。お話があります」
「...わ、わかった」
医務室にある医療ポッドに入れれば、栄養を与え、老廃物や疲労を取り除きつつ身体も清潔にできる。
多用はできないが、だからこその一回の使用で全てを解決できる。
ただ、傷の応急処置はできても治療までは出来ないのが一つの欠点である。
そして、心の傷を治せるほど万能でもない。
「アル様」
「う、うん」
リリーを医療ポッドに預けたリリーは、アルの元へ向かった。
アルもやつれていたが、こっそり持ち込んだカロリーバーを食べていたようで、ふらふらとはしていなかった。
「リリー様がこうなった原因は、イルク様の死なのでしょうか?」
「わかんないよ、そんな事...」
アルはイルクの存在を知らない。
だからこそ、リリーが急におかしくなったとしか思えないのだ。
「イルク様はリリー様と仲睦まじくされていらっしゃった男性です。彼が先日死亡したとの報を受け取った直後から、リリー様は塞ぎ込み始めました」
「...そうなんだ」
アルは納得して、同時に安心もした。
彼は気付いていなかったが、彼はリリーに男がいるという事実と、その男が死んで、再びリリーが自分だけのものになった事が嬉しかったのだ。
無論、無意識下の事であり、本人も未だ気付けない感情ではあったが。
「リリー様はもう、修復不能な状態の可能性もあります。そうなると、この船には指示を出してくれる方が居ません」
「うん...うん?」
ペルソナが急に話を変えたので、アルは目を見開く。
何か変な流れだと察したのだ。
「代理艦長をやってみませんか、アル様」
「えっ、僕が...? でも、ペルソナが居るし」
「私の補佐で構いません、私は人間の指示がないと、重要なことは決められないので...」
「わかった、やる」
アルは即答した。
ペルソナが実質一人で船を支えている状況を、彼なりに拙いと判断したのだろう。
それから、リリーに対する負い目もまた、無意識に彼を追い立てていた。
「...リリー様は、常にアル様の前では立派な大人であろうと頑張っていらっしゃいました。ですから、アル様が気に病む必要はありません」
「わかってるよ、ペルソナ」
子供は聡い。
リリーが無理をして振る舞っている事くらい、アルにもお見通しであった。
けれど、自分にそれを言う権利はないと、アルも分かっていた。
自分は転がり込んで、勉強中とはいえ居候である。
だから、リリーに立派さを求める事などないし、むしろ弱さを見せてほしいとまで感じていた。
「リリーさんが回復するまで、僕が頑張る。リリーさんが一人で頑張らなくていいんだって、僕が...」
「わかりました、ありがとうございます!」
かくして、オリオンの一時艦長にアルが就任した。
それは、これから激化するハスラパルという戦場において、オリオンに大きな影響を与えるのであった。
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