輸送艦オリオン~SF異世界に転生したら、女体化したうえ大型輸送艦の艦長になりました!最強輸送艦で商人プレイ!~

黴男

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Δ-ハスラパル戦域編(後編)

195-引き渡し

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「捕虜の引き渡しに感謝する」
「ええ」

俺は、ラストアーク星系のストラクチャー内部でハウマと話をしていた。
現在は封鎖は完全に解かれ、前線としてこの星系は復興が始まっている最中らしい。

「あれはこれからどうなるんでしょうか」
「どうなるも何も、帝国人ではないのだ、強制収容所送りとなるであろう...何か、心残りが?」
「いえ、別に」

イルクを殺したその罪を、せいぜい償ってもらう。
そんな憎しみさえ込めて、俺は連行されていく敵の司令官を睨み付けた。
こんな恨みなど、向こうは屁とも思っていないだろうが。
むしろ、輸送艦に拿捕されたことの方が効いたに違いない。

「時に...シノ艦長、貴殿は心を病んでいたとのことだったが...経過はどうかね」
「すっかり元気ですよ、くだらないことで悩んでたのが嘘みたいです」

あの神もどきが俺に何をしたのかは分からないが、俺はもうイルクを想って泣く事は出来なくなった。
悲しみや虚無感は、イルクという存在に関連づけられた瞬間に波のように引いていく。
不気味だったが、どうしようもない。

「貴殿の艦にはとても世話になった。背景がどうあれ、私は貴殿に好意を持っている...無論、異性としてではなく、人として」
「はあ...それは、どうも?」

何が言いたいんだろうか。
俺は分からずに、困惑する。

「...時に、軍属になる気はないだろうか? 高待遇と、高給が約束されるだろう。私が推薦するので、無視されるという事はないはずだ」
「...いえ、お断りさせていただく事は出来ませんか?」
「何故だ? いや...これを聞くのは私の領分ではないが、カストル伯爵家に恩があるのか?」

全然違う。
そもそもフレデリカ・カストルは今回俺に五体投地して感謝するべき関係だ。
金は払うから死地へ行け、と言ったも同然なのだから。

「子供を抱えて軍属にはなれません、せめて子供が成人してから考えさせて頂きます」
「そうか...いや。これは私のアイデアではなく、秘書のものだ。断った事を気にする必要はない、何かあれば連絡をくれたまえ、力になると約束する」
「はい」

俺はまた、強力なコネを手に入れたのかもしれない。
ハウマと別れ、俺は車椅子に乗ったままオリオンへと戻る。

「おっす!」
「...こんにちは」

そして、ナスカに出迎えられた。
気に食わない整った顔に、ボサボサの濃い紫の髪、同じく紫の瞳。
肌色は濃く、そして俺を見てヘラヘラと笑っている。
胡散臭い。

「まあまあ、そうツンツンしなくてもいいだろ?」
「客なら大人しくしていてください」

俺は車椅子を操作して、オリオンと桟橋の段差を乗り越える。
そして、艦内へと入った。
後ろから、ナスカが付いてくるのが気配で分かった。

「付きまとうのをやめてください、警備を呼びますよ」
「いや、そうじゃなくて...シノさんは、なんで俺を助けたんだ? 改めて気になったんだ」
「何故? 金を貰った以上は運ぶだけですよ」

うざったくなってきた。
助けたのに理由はない。
ただ放り出すのは心象が良くないと思っただけだ。

「そうじゃない、俺の体を検査して、それでなお放り出さないのかって聞いてるんだ」
「全身の刺青、去勢されている事、それに何の問題が?」

どうせ性犯罪か何かをやらかして追放されたんだろう。
危機感を抱かないのは、俺が押し倒されたとして艦内の監視網に引っかかって、10秒足らずで戦闘用ドローンが突っ込んでくるからだ。
そうでなくても1分もすれば、センチネルかスコーピオン...いやそれより早くペルソナが襲いかかってくる。
このお下劣で品性の感じられない男を撃退するには充分な時間がある。

「いや...その、よ」
「下心が見え見えなんですよ、話しかけないでください」

俺は容赦なくそう言い放った。
その語気の強さは、あの時SELLで言い返せなかった俺の弱さへの怒りもあった。

「...悪かった」

そう呟く声が遠くなっていく。
俺はエレベーターに乗り込んで、素早くドアを閉めた。
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