輸送艦オリオン~SF異世界に転生したら、女体化したうえ大型輸送艦の艦長になりました!最強輸送艦で商人プレイ!~

黴男

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ε-エストジール帝国編(後編)

245-不相応な栄誉

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奇妙な感覚だ。
俺は化粧室から出て、溜息を吐く。
こんなコスプレのような衣装を着てパーティーに参加して、誰もいないとはいえ女子トイレで用を足す。
つくづく、奇妙な体験だ。

「(寒々しいな)」

俺は内心そう思う。
大理石で作られた、落ち着きのある廊下。
照明は原理不明の光るクリスタルがブロックのように埋め込まれている。
そこを歩くと、石とは違う音がした。

「......!」

角を曲がった俺は、同じ角を曲がってきた誰かとぶつかった。
相当急いでいたようで、俺は跳ね飛ばされて床に転がる。
受け身は取れた、ありがとう、柔道の授業。

「いてて......大丈夫ですか?」

俺は慌てて起き上がり、ぶつかった人物を視界に捉える。
そして、目を見開くことになる。

「....大丈夫だ、リリー殿」

最初、俺の視界には胸板が見えた。
次に上を見上げると、見慣れた、といっても、至近距離で見たのは一度だけの顔があった。
......皇帝陛下、自身がそこにいた。

「こっ...皇帝陛下、すみません!」

まずい。
このままここに居たら、何か言われる。
俺は急いで反対方向へ向かおうとして、腕を掴まれた。

「.....?」
「待って欲しい、折角会えたのだから、少し話を」
「....話?」

話は特にない。
ただ、掴まれた以上振り払うのは無礼だろう。
俺は諦めて、皇帝の方を向く。

「それと、他国人とはいえ女性が一人で会場に戻るべきではない。.....私がエスコートしよう」
「そうですか.....」

俺は皇帝と共に廊下を歩く。
これも二度とできない経験だな。

「皇帝陛下が何故一人で?」
「君の姿が見えなかったから、シラルドに聞いて追ってきたんだ」

よく聞くと、口調が違うことが分かる。
砕けているのか?

「...陛下、口調はいいのですか?」
「君こそ、ここには誰もいない。リアシュと呼んでくれてもいいのだが」

そんなに親しくなった覚えはない。
ナスカといい、皇族は距離感がぶっ壊れてるな。

「まあいい、話というのは...その、シラルドが遮ってしまった、話を聞きたくてな」
「ああ、その事ですか...」

相手は正真正銘のトップだ。
隠し立てするのは怖いが、色々伏せて話をするべきだろうな。

「実は...」

俺は、クーデターを踏まえた事件の中での話をする。
そして、ハフニマル英雄爵を助けた時の話も。

「おお...成程、縁も所縁もない者たちを、君は救おうとしたわけか」
「見捨てれば寝覚めが悪いと、思っただけです」

事実、見捨てた方が寝覚めは良かったかもしれない。
あの時と、戦場で...助けられなかった人たちに這い上がられて、首を絞められる夢を何度か見る。
いい夢は、自分が主人公じゃない時だけしか見ない。
それ以外は、あのアルケーシアとかいう謎の世界の夢だけだ。

「だが、それこそが英雄だ。敵の攻撃に晒されながら、君は勇気を出して人々を救うために尽力したはずだ」
「結局、助けきれませんでした」
「いいや、君はまさに救世主だった。ハフニマルも懇願書の中で綴っていた。全員を救えないとしても、何のメリットも無いとしても、ただ暴力に屈服しようとしている人たちの為に手を伸ばすことは、自分には出来ないと」

褒められているのか?
だったとしても、俺にそんな価値はない。
オリオンに位相装甲があったから、あの場は挑めた。
正直、分の悪い賭けで、死んでいてもおかしくなかった。
ステーションが爆発すれば、全員無事では済まなかった。

「断言する。君は救世主だ」
「そうですか」

やはり、皇族とは気が合わない。
自分の感情を優先し、他者に望まないものを押し付ける。
ナスカのせいかもしれないが、それは確かに思えた。
為政者も大変なんだろう、こんな小娘と話す必要もないだろうに。
もうすぐ会場だ。
俺はやんわりと手を離し、歩幅を広めて歩き始めた。
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