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ε-エストジール帝国編(後編)
246-刃の様な男
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パーティーも更けて来たな。
俺はそう感じた。
テーブルから離れて、俺が皇帝と話すようになってから、主役不在のパーティーはただの食事会になってしまったようだ。
酒が回り、口数が少なくなる貴族たち。
「それで、騎兵隊が敵を打ち破ったというわけか...」
色々伏せて話しているが、概ね本来と変わらない「物語」だ。
オリオンで逃げながら耐え、アルデランが敵を怒らせ、最後には到着した艦隊が反逆者を討った。
王国にいても知ることができる話だ。
とっくにハフニマルが把握しているだろう。
「私が討ったわけでもない話ですから」
「いや、やはりそれも...そなたの勇気だ」
勇気、か。
勇ましい事と、死にに向かうのは違う事だ。
あの時の俺は謎の自信に満ちていて、出来ると思っていた。
だからうまく行った。
失敗したら死んでいたのだ。
狂っていた。
「それより、そなたは酒は飲まないのか?」
「いえ、遠慮しておきます」
酒は飲まない。
思えば、酒はクラリウムで飲んだきりだ。
アルコールテストで、この身体でも強いとは判明しているが、それでも俺は酒は飲まない。
答えは単純、翌日に響くからだ。
どんなに酒が強くても、毒を呷っているのと変わりはない。
「そうか...こういう場であればこそ、といいものを揃えたのだが」
「包んでくださるのであれば、後で一人で楽しむのですけれど」
「ふむ...ロデア、給仕に頼んでおくのだ」
「はっ」
俺たちの会話を観察していたロデアという男が、命令を受けてどこかへ去っていく。
いつの間にか近くに寄って来ていたグラハムは動かない。
そろそろ理由をつけてお暇するか...と俺が思っていた時。
「陛下、ご歓談の所失礼致します」
喧騒のベールを破って、冷ややかな声が響いた。
俺は思わず、そちらを振り返った。
そこには男が立っていた。
長身の、銀髪が目立つ男だ。
服装のセンスがないが、そこは放っておくことにする、俺も無いからだ。
「どうした?」
心なしか不機嫌そうな声が、背後から聞こえた。
どうやらこの男は、皇帝とは仲が良く無いようだ。
「カスター伯爵、何用か?」
「そのように睨まれずとも良いでしょう」
まあ、物凄く怪しいものな。
とはいえ、それは見た目だけの話。
もしかすると、信頼できる相手かもしれない。
「もう時間も過ぎたことですし、お開きにされてはどうでしょうか?」
「それを決めるのは陛下だ」
「お気に入りの花を愛でるのも良いでしょうが、他の者には明日があります故に」
...いや、前言撤回。
確かに嫌なやつなのは間違いない。
少なくとも、この男は俺が救世主だとは微塵も思っていないようだ。
侮蔑するような目、態度として批判できない領域で、人として信じられないオーラが噴き出しているのがわかる。
口調も、冷笑混じりで苛々するものだ。
ただ、それを咎めるほど神経の尖った者もこの場にいないらしい。
...いや、ロデアとかいう側近がそうなのかもしれない。
今まで近寄ってこなかったのは、彼が居なかったからか?
一触即発、その空気の中で男が口を開いた。
「私の名前はカスター・リドル・ジェイラム・デュリオンです、陛下はご存知でしょうが、“花”の方は一応はお見知り置きを。早く花瓶に入れた方が良いと存じますが」
何か嫌なことを言われているのは間違いないだろうな。
結局、皇帝かグラハムが追撃を入れるより前にその男は立ち去っていった。
そんな事はつゆ知らず過ごしていたアルに影響がなかったので俺はどうでも良かったが、俺はパーティーを通しても、いまいち楽しむ事は出来なかったのだった。
俺はそう感じた。
テーブルから離れて、俺が皇帝と話すようになってから、主役不在のパーティーはただの食事会になってしまったようだ。
酒が回り、口数が少なくなる貴族たち。
「それで、騎兵隊が敵を打ち破ったというわけか...」
色々伏せて話しているが、概ね本来と変わらない「物語」だ。
オリオンで逃げながら耐え、アルデランが敵を怒らせ、最後には到着した艦隊が反逆者を討った。
王国にいても知ることができる話だ。
とっくにハフニマルが把握しているだろう。
「私が討ったわけでもない話ですから」
「いや、やはりそれも...そなたの勇気だ」
勇気、か。
勇ましい事と、死にに向かうのは違う事だ。
あの時の俺は謎の自信に満ちていて、出来ると思っていた。
だからうまく行った。
失敗したら死んでいたのだ。
狂っていた。
「それより、そなたは酒は飲まないのか?」
「いえ、遠慮しておきます」
酒は飲まない。
思えば、酒はクラリウムで飲んだきりだ。
アルコールテストで、この身体でも強いとは判明しているが、それでも俺は酒は飲まない。
答えは単純、翌日に響くからだ。
どんなに酒が強くても、毒を呷っているのと変わりはない。
「そうか...こういう場であればこそ、といいものを揃えたのだが」
「包んでくださるのであれば、後で一人で楽しむのですけれど」
「ふむ...ロデア、給仕に頼んでおくのだ」
「はっ」
俺たちの会話を観察していたロデアという男が、命令を受けてどこかへ去っていく。
いつの間にか近くに寄って来ていたグラハムは動かない。
そろそろ理由をつけてお暇するか...と俺が思っていた時。
「陛下、ご歓談の所失礼致します」
喧騒のベールを破って、冷ややかな声が響いた。
俺は思わず、そちらを振り返った。
そこには男が立っていた。
長身の、銀髪が目立つ男だ。
服装のセンスがないが、そこは放っておくことにする、俺も無いからだ。
「どうした?」
心なしか不機嫌そうな声が、背後から聞こえた。
どうやらこの男は、皇帝とは仲が良く無いようだ。
「カスター伯爵、何用か?」
「そのように睨まれずとも良いでしょう」
まあ、物凄く怪しいものな。
とはいえ、それは見た目だけの話。
もしかすると、信頼できる相手かもしれない。
「もう時間も過ぎたことですし、お開きにされてはどうでしょうか?」
「それを決めるのは陛下だ」
「お気に入りの花を愛でるのも良いでしょうが、他の者には明日があります故に」
...いや、前言撤回。
確かに嫌なやつなのは間違いない。
少なくとも、この男は俺が救世主だとは微塵も思っていないようだ。
侮蔑するような目、態度として批判できない領域で、人として信じられないオーラが噴き出しているのがわかる。
口調も、冷笑混じりで苛々するものだ。
ただ、それを咎めるほど神経の尖った者もこの場にいないらしい。
...いや、ロデアとかいう側近がそうなのかもしれない。
今まで近寄ってこなかったのは、彼が居なかったからか?
一触即発、その空気の中で男が口を開いた。
「私の名前はカスター・リドル・ジェイラム・デュリオンです、陛下はご存知でしょうが、“花”の方は一応はお見知り置きを。早く花瓶に入れた方が良いと存じますが」
何か嫌なことを言われているのは間違いないだろうな。
結局、皇帝かグラハムが追撃を入れるより前にその男は立ち去っていった。
そんな事はつゆ知らず過ごしていたアルに影響がなかったので俺はどうでも良かったが、俺はパーティーを通しても、いまいち楽しむ事は出来なかったのだった。
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