【完結】SFゲームの世界に転移したけど物資も燃料もありません!艦隊司令の異世界宇宙開拓紀

黴男

文字の大きさ
70 / 247
シーズン3-大侵攻の序曲

065-みんなで食事

しおりを挟む
ナージャの協力で、ラー・アーク含め「Ve’z」の技術はだいぶ明るみに出た。
あの機体が持っていた連射可能な最終兵器「ラルクアンシエル」は、流石にコピーできなかった。
ナージャに与えられた知識は全て応用段階のものであり、基礎の知識が存在しないのだ。
よって、復元できたラルクアンシエルはNoa-Tunに直接配備されている。

『この構造はエネルギーを集約する。既に構造データをオーロラに転送』
「ああ」

俺にはよく分からないのだが、オーロラが分かればそれでいい。

「待て、ここの構造がエネルギーを集約するなら、ここの構造は何だ? 先程は変換機と言っていたが、直接繋がっているようには見えないが」
『機関出力のエネルギー過剰、循環装置を通して集束』
「成程」

ナージャの物言いは少し言葉足らずだが、分からないほどではない。

『理解不能?』
「いや、ある程度は理解している」
『問題なし、確認』

数時間後、解析作業を一度切り上げて、俺たちは食堂へと向かう。

「食事はできるか?」
『行為的な意味であれば可能。肉体的な意味であれば、こちらも可能。この義体は人間と類似する性能を保持』
「何か好みはあるか?」
『味覚機能、未使用。嗜好無し、新規登録、必要』
「分かった」

つまり、食事は出来るが味の好みはそもそもモノを食べたことが無いので無いという訳だ。
俺は機械を操作し、二人分のチキントマト煮を注文する。
妹が好きだったメニューだ。
ナージャやルルたちは、何だか妹のようで、たまにこのメニューを食べさせている。

『料理、食物と認識』
「こうやって食べるんだ」

俺はナイフとフォークを使って、肉を口に運ぶ。
そして、咀嚼して飲み込んだ。
ナージャもそれを模倣して、同じ回数噛んで飲み込む。

『味蕾からノイズ、除去』
「しなくていい、それが”味”だ」
『理解』

オーロラが咄嗟に繰り出した人間文化(彼女にとってのキャッシュデータの塊のようなものだ)バケツの水を全部飲み干したナージャは、人間の文化に興味を持つようになった。
俺に協力しているのも、その節があっての事だ。

『体内消化領域の7割を使用』
「腹一杯か、残りは俺が食おうか?」
『衛生的な問題、処分』
「分かった」

もともとたくさん食べるための機能ではないんだろうな。
半分くらい残したので、残りは食おうかと提案したが、彼女はちゃんと断った。
別に残しても、バイオマスに再変換されるだけなのでエコだしな。

「あ、シン様!」
「おうさま!」

その時、ルルとネムがやって来た。
後ろにはゲブラーとケセドが控えている。
二機は入り口近くで止まると、邪魔にならないよう左右に分かれて停止する。

「あれ? ゲーとケーは?」
「来い、ゲブラー、ケセド」

付いてこない二機に、ネムが呼びかける。
こちらに来るべきか迷っていたようだったので、俺が命じて傍に来させる。
だいぶ賑やかになったな。

「二人は何を食べるんだ?」
「オムライス!」
「えと...その、カルパンチフを...」

ルルは控えめに、ネムは元気よく答えた。
カルパンチフとは、獣人の郷土料理で、本当にあの乗っている鳥を食べるらしい。
甘辛いソースを再現するのに手間取ったとオーロラが言っていた。
俺は表情を緩めて、二人が競うように注文コーナーへ行くのを眺めていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

チート無しっ!?黒髪の少女の異世界冒険記

ノン・タロー
ファンタジー
 ごく普通の女子高生である「武久 佳奈」は、通学途中に突然異世界へと飛ばされてしまう。  これは何の特殊な能力もチートなスキルも持たない、ただごく普通の女子高生が、自力で会得した魔法やスキルを駆使し、元の世界へと帰る方法を探すべく見ず知らずの異世界で様々な人々や、様々な仲間たちとの出会いと別れを繰り返し、成長していく記録である……。 設定 この世界は人間、エルフ、妖怪、獣人、ドワーフ、魔物等が共存する世界となっています。 その為か男性だけでなく、女性も性に対する抵抗がわりと低くなっております。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

酒好きおじさんの異世界酒造スローライフ

天野 恵
ファンタジー
酒井健一(51歳)は大の酒好きで、酒類マスターの称号を持ち世界各国を飛び回っていたほどの実力だった。 ある日、深酒して帰宅途中に事故に遭い、気がついたら異世界に転生していた。転移した際に一つの“スキル”を授かった。 そのスキルというのは【酒聖(しゅせい)】という名のスキル。 よくわからないスキルのせいで見捨てられてしまう。 そんな時、修道院シスターのアリアと出会う。 こうして、2人は異世界で仲間と出会い、お酒作りや飲み歩きスローライフが始まる。

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

【完結】発明家アレンの異世界工房 ~元・商品開発部員の知識で村おこし始めました~

シマセイ
ファンタジー
過労死した元商品開発部員の田中浩介は、女神の計らいで異世界の少年アレンに転生。 前世の知識と物作りの才能を活かし、村の道具を次々と改良。 その発明は村の生活を豊かにし、アレンは周囲の信頼と期待を集め始める。

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

処理中です...