【完結】SFゲームの世界に転移したけど物資も燃料もありません!艦隊司令の異世界宇宙開拓紀

黴男

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シーズン3-大侵攻の序曲

070-外の情報

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クリストフと名乗る男は、俺たちに知っている情報を全て話してくれた。
まず、オルトス王国の規模について。
彼の権限では大したことは知らないそうだが、総人口は最低でも数十京。
それだけの惑星を抱えており、産業規模も今のNoa-Tunとは比べるべくもない。
今戦争すれば、確実に負けるだろうな。
だがそれは、全軍を相手に真正面からぶつかった場合だ。

『クリストフ殿、王国軍の練度はどうだ?』
「高い部類に入るだろうな。しかし、奴等には到底及ばなかったよ」

それはそうだ。
彼らの文明はどうやらワープを確立して数百年といった程度で、全く進歩がないようだ。
その程度のスキルツリーでは、ナージャ達に単純戦力で及ぶわけがない。

『他の国家と比べてはどうだ? 例えば...ヴァンデッタ帝国とは』
「ヴァンデッタとは長く戦争が無いな...我々と敵対している国家といえば、海賊国家カルメナスや、ビージアイナ帝国などだな。カルメナスは強国だが、全体にまとまりがない。王国軍でもある程度戦えるだろう。ビージアイナは...まあ、王国と長く争ってきたゆえに、精強だよ」

あまり戦いたい相手では無いな。
やるとすれば、辺境から一気に侵攻する事くらいだ。
首都を直接攻撃するより、手足からもいで行ったほうが現実的だからな。

「ああ、それと...各国家には警察組織があるんだが、それの親玉を紹介し忘れていたな」
『ほう』

クリストフは話したがりなのか、一度話すと止まらない人間だった。
そのせいか、オーロラは俺に対応を押し付けるようになり、結果として俺のタスクが増えていた。

「困ったものだ」

食事どき、俺はらしくもない愚痴を吐いてしまった。
慌てて取り繕ろうとしたが、ルルは気にした様子でもなかった。

「ですが、良かったのですか?」
「何がだ?」

逆に質問をしてきたので、疑問に思ってそう返す。

「あのお方が、ここの事を母国に話すかもしれません」
「ああ、それは別に構わない」

俺はそれに首を振った。
領域隠蔽ユニットを一時停止して、二本目を起動するまでの間の一瞬に、スターゲートを起動してクリストフを逃す。
そうすればいいだけの話だ。

「それに、俺が頼めば彼はそのことを話さないだろう。」

オルトス王国とやらにも、「一宿一飯の恩義」の概念はあるようだ。
ポッドの状態で彷徨っていて、生死もわからない状態だっただろうが、俺たちがそれを助け、食事も排泄も今のところは面倒を見ている。
どうせポッド単体では長距離航行は不可能だ。

「だが、シャトル自体も機密の塊だな...そうだ、クロトザクの宇宙船に乗せてやるか」

あれはワープを特殊なフィラメントの燃焼で行っている。
解析されても問題ない部類の船だ。
ただ、最後の問題...それは。

『司令官、やはりゲートのシステムにアクセスできません。そもそも、このゲートが停止したのはリンクが切れたからであり、領域隠蔽を解除してもゲートが再起動するわけではないようです』

ゲート自体の問題だった。
クリストフの話では、遥か古代から存在しており、原理はすでに一部の国は解明されており、劣化版のゲートが開発されている場所もあるそうだ。
だが基本古代からあるゲートは停止も干渉もできず、その方法も謎だそうだ。

「どうするか...」

悩む俺だったが、そこに声がかかった。

『シン』
「...ナージャか」

警戒心からか敵意をむき出しにするルルを宥めつつ、俺はナージャが近寄ってくるのを待つ。

『シン、ゲート反応を検知。再起動、試行中?』
「そうだ...上手く行ってないがな」
『であれば、自分が再起動プロセスを実行。可能?』

なんだって?
俺はナージャの言葉に耳を疑う。
だが、それは紛う事なき事実だった。

『現在、条件が不達成。ただ、達成後、ゲートのシステムにコンタクト可能』

ナージャは自信ありげに胸を張って、そう宣言するのだった。
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