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シーズン3-大侵攻の序曲
069-吹き抜く外気
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言語解析がほぼ完全に終了するまで、三日もかかった。
その間、オーロラは男に非常食キットの提供や、トイレへの誘導などを行っていた。
そして、ようやく会話できそうなタイミングになった。
『あー、そこの男』
「...ハッ、言葉がわかるのか!?」
『そうだ。所属と名前を言えるか?』
「...その前に、俺の身の安全は保証していただけるか...? 済まない、どうしても遂行しなければいけない事があるのだ」
何やら事情がありそうだ。
『ああ、お前の身分はこちらで保証しよう。我々は海賊ではないからな』
「では...なんだと言うのだ?」
『連邦。Noa-Tun連邦だ』
「そうか...まあいい。俺の名前はクリストフ・アーリバル...オルトス王国軍所属だ」
オルトス王国...凄いな、SF世界だというのに王が治める国家があるというのか。
感心する俺だったが、すぐに先ほど気になったことを聞く。
『どうしても推敲しなければならない任務とは?』
「君たちは、Ve‘zについて何か知っているかね?」
『...!』
その時、俺の横にいたナージャが驚いた顔をする。
『ああ、知っている、古代に衰退した民族だろう?』
『シン。衰退、異なる事実、少数に分散』
「ちょっと黙ってろ」
『承諾、補足だけ』
マイクを切ってナージャに注意をしつつ、俺は話に応じる。
「我々王国軍はVe’zと交戦した。しかし、敗北した...それ故に、敗軍を伝えなければならないのだ」
『待て、何故交戦した? 到底敵わない相手と思っているが』
正直、ポッドから回収したデータを見る限り、王国軍の戦力ではナージャ達Ve‘zに対抗することすら出来ないはずだ。
そもそも、ナージャですら観測員にすぎない。
戦闘員ともなれば、王国軍相手では敵わないはずだ。
「愚かだったとは思っている。俺の片想いの相手が、Ve’zにサンプルとして拉致されたのだよ...どんな目に遭っているか、俺には想像もつかない。彼女を取り返したいのだ」
『彼女の名は?』
「エリス。こんな事になるのであれば、もう少し早く告白するべきだった」
キャッシュデータによれば、王国軍はかなりの数がいたはずだ。
それが壊滅するということは、彼は帰ったところで敗軍の汚名を着せられるだけだろう。
『なぜ帰る? 敗軍の責任を負わされるだけだろう』
「俺はこれでも...騎士爵を持っている。親から継がされただけのこの家柄を貴族どもは決して認めないだろうが、俺はそれでも貴族だ。敗戦の責任は、取らねばならない」
『お前はそれでいいのか?』
「ああ」
ならば、止める理由もないな。
だが、一つだけ問題がある。
『だが、こちらも問題がある。貴殿の言う王国が、ここから近いかどうかすら分からないのだ』
「何...!? まさか、ここはワームホールの中か?」
『いいや。この星系は現在隠蔽状態にあり、スターゲートは停止状態にある。起動すれば、その向こうの勢力を刺激する事になる。貴殿の意思は尊重するが、ワープアウトすらできないこの星系から出たいのであれば、情報を提供してもらおう』
俺は条件を提示する。
この義理堅い男なら、乗ってくれるだろうと信じて。
「...あまり踏み入ったことは話せないが、外の事を話せば良いのであれば、是非とも話そう」
結果として、クリストフは頷いた。
こうして、Noa-Tunと俺たちは、箱庭の外からやってきた嵐に巻き込まれていくのだった。
その間、オーロラは男に非常食キットの提供や、トイレへの誘導などを行っていた。
そして、ようやく会話できそうなタイミングになった。
『あー、そこの男』
「...ハッ、言葉がわかるのか!?」
『そうだ。所属と名前を言えるか?』
「...その前に、俺の身の安全は保証していただけるか...? 済まない、どうしても遂行しなければいけない事があるのだ」
何やら事情がありそうだ。
『ああ、お前の身分はこちらで保証しよう。我々は海賊ではないからな』
「では...なんだと言うのだ?」
『連邦。Noa-Tun連邦だ』
「そうか...まあいい。俺の名前はクリストフ・アーリバル...オルトス王国軍所属だ」
オルトス王国...凄いな、SF世界だというのに王が治める国家があるというのか。
感心する俺だったが、すぐに先ほど気になったことを聞く。
『どうしても推敲しなければならない任務とは?』
「君たちは、Ve‘zについて何か知っているかね?」
『...!』
その時、俺の横にいたナージャが驚いた顔をする。
『ああ、知っている、古代に衰退した民族だろう?』
『シン。衰退、異なる事実、少数に分散』
「ちょっと黙ってろ」
『承諾、補足だけ』
マイクを切ってナージャに注意をしつつ、俺は話に応じる。
「我々王国軍はVe’zと交戦した。しかし、敗北した...それ故に、敗軍を伝えなければならないのだ」
『待て、何故交戦した? 到底敵わない相手と思っているが』
正直、ポッドから回収したデータを見る限り、王国軍の戦力ではナージャ達Ve‘zに対抗することすら出来ないはずだ。
そもそも、ナージャですら観測員にすぎない。
戦闘員ともなれば、王国軍相手では敵わないはずだ。
「愚かだったとは思っている。俺の片想いの相手が、Ve’zにサンプルとして拉致されたのだよ...どんな目に遭っているか、俺には想像もつかない。彼女を取り返したいのだ」
『彼女の名は?』
「エリス。こんな事になるのであれば、もう少し早く告白するべきだった」
キャッシュデータによれば、王国軍はかなりの数がいたはずだ。
それが壊滅するということは、彼は帰ったところで敗軍の汚名を着せられるだけだろう。
『なぜ帰る? 敗軍の責任を負わされるだけだろう』
「俺はこれでも...騎士爵を持っている。親から継がされただけのこの家柄を貴族どもは決して認めないだろうが、俺はそれでも貴族だ。敗戦の責任は、取らねばならない」
『お前はそれでいいのか?』
「ああ」
ならば、止める理由もないな。
だが、一つだけ問題がある。
『だが、こちらも問題がある。貴殿の言う王国が、ここから近いかどうかすら分からないのだ』
「何...!? まさか、ここはワームホールの中か?」
『いいや。この星系は現在隠蔽状態にあり、スターゲートは停止状態にある。起動すれば、その向こうの勢力を刺激する事になる。貴殿の意思は尊重するが、ワープアウトすらできないこの星系から出たいのであれば、情報を提供してもらおう』
俺は条件を提示する。
この義理堅い男なら、乗ってくれるだろうと信じて。
「...あまり踏み入ったことは話せないが、外の事を話せば良いのであれば、是非とも話そう」
結果として、クリストフは頷いた。
こうして、Noa-Tunと俺たちは、箱庭の外からやってきた嵐に巻き込まれていくのだった。
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