【完結】SFゲームの世界に転移したけど物資も燃料もありません!艦隊司令の異世界宇宙開拓紀

黴男

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シーズン3-大侵攻の序曲

079-Noa-Tun艦隊大決戦(中編)

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その頃。
ユグドラシル側のゲートでは、艦載機母艦アイアンブラッドが待機していた。
本来の迎撃艦隊にはいない筈だが、オーロラの提案で作戦開始後に配備されたのだ。

「緊張しますなぁ」
「何しろ、神々の戦いですからな...鉄の馬も、まるで魔法のようです」

その内部では、獣人の戦士たちが談笑していた。
シミュレータとルルによる指導によって、新兵並には鍛えられた天空騎士団の面々である。

「我々は、遥かなる世界へ繋がる門を守る仕事を任された。鋼の敵を打ち破り、生きて還る事こそ最重要である」
「お堅いのは相変わらずだな、シュメト」
「黙れ、シッタル」

険しい表情で宣言したものの、仲間に笑われた男。
彼は狼獣人のシュメトであった。
笑った男はシッタル、獅子獣人である。

「何にせよ、我々の武装について確認しなければならんでしょう」
「決まっている、光の連弓と、爆発する筒。筒は全部で4つであろう。」
「おお、そちらは連射出来るのですなぁ、こちらは威力は高いが連射できないのが難点でしてなぁ」

獣人達は、互いに与えられた機体について話し合う。
だがその時、艦全体に警報が響く。

『騎士団に告ぐ。これは星空の帝王の勅命である。鋼の馬へと乗り、星空へと飛び出せ。門が開こうとしている、帝王の星域を侵そうとする愚者共を排除せよ』
「おっ、出撃ですな...胸が高鳴ります」
「勝利は我らにあり!」

獣人達は、廊下へと飛び出す。
既に、廊下には数人の獣人達が駆けており、天空騎士団の総勢30人が揃うのはあと少しのことであった。






「やっぱり来たか」

艦隊が防衛していたゲートから出てきた艦隊二十隻が、ユグドラシルゲートにワープするのを確認した。
既にユグドラシル側ゲートには範囲型インターディクションが展開してあるので、仮にジャンプしたところで逃げられるわけではないが。

『戦闘機隊、全機出撃を確認しました』
「ゲートの周囲を周回するように命じろ」
『了解』

そして、そう遠くない時間を経て、艦隊がゲートにジャンプしてくる。
戦艦8、駆逐艦6、フリゲート艦6ってとこか。

「艦載機、ドローン、全艦船...包囲陣形! 5秒後に総攻撃開始!」
『了解! 総攻撃開始!』

艦隊は恐らく待ち伏せを想定していて、即座にワープで離脱する用意ができていたようだ。
問題は...インターディクションの存在を知らなかった事だろう。

「アンカーレーザーを撃て! ジャミングをかけて足を止めろ!」

フリゲート艦の相手は、艦載機隊に任せる。
俺たちが狙うのは、戦艦だ。

『A02戦艦、撃沈を確認』
「よし」

どうやら、向こうも人間らしい。
ゲートに引き返す選択は取らず、あくまで戦うようだ。

「だが...無駄な事は、無駄な事だぞ?」

俺は嗤う。
斥候も出さずにゲートに飛び込んだ時点で、こいつらの運命は決まったようなもの。
ユグドラシルには通信ジャマーが既に掛かっているので、もうこいつらは互いに通信する事もできない。
指揮が行き渡らず、ただ無為に死んでいく張子の虎である。

「やっぱり、ナージャ達が異常だったのか...」
『ふふん、Ve‘z、高水準』

ナージャ達のドローンは、ジャミングがほぼ通らなかった。
だが、このビージアイナ艦隊は違う。
殆どのジャミングに耐性が無く、せいぜい効きが悪いのはECMくらいのものであった。
よく通るせいで、こちらはまともに反撃を受けていない。

『それから、第二ステーションの攻略が終了しました。現在はこちらの判断で第一ステーション前で、防衛艦隊少数と交戦しながら、ステーションの破壊中です』
『ゲート、封鎖。次に移る』
「...ああ」

順調だな。
だが、油断はできない。
まだ何か...何か...絶対にある筈だからな!
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