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シーズン4-ビージアイナ侵攻編
100-釣り合わぬ想い
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デーヴァを帰してから数時間後。
俺は疲労で戦闘指揮所に倒れていた。
床は自動除菌なので、寝ても全く問題がない。
『中々の名演技でしたよ、司令官』
「いや...俺もちょっとだけ、いいと思ってたんだ」
『えっ!?』
オーロラが動揺したような声を上げる。
お前らしくもない...
「妹みたいだった。ルルやネムにも同じ感情を抱くんだが、守ってやりたくなるものなんだ」
『ああ、そっちですか...』
「何だ? そっちって」
他に何か感情を抱くことがあるか...?
恋とかか? まさか。
「俺は愛して貰う程の資格を持ってるわけじゃないからな」
『そうは思わない人はたくさんいると思いますよ』
オーロラがもっともらしい事を言う。
だが実際の場合、愛して貰うにはこちらも愛さなければならない。
無干渉な人間に近づいてくるのは、愛を理由にこちらを利用する気の人間だけだ。
妹は俺を慕ってくれたが、それは兄妹愛というだけだ。
それに...
『何故司令官は、自分が孤独だと常にお思いになられているのですか?』
「俺がいつ...」
『顔に書いてある、とでも言うべきでしょうか? 貴方を一人にしないために人が動けば、貴方はそれを拒絶するのでしょう?』
「...部屋の外に、ネムやルルはいないな?」
『はい』
なら言ってもいいか。
俺は本音を口にする。
「俺の本質は、基本的には与えるだけだ。何の感情的見返りは必要としない。できれば友情や恩義、恋慕といった感情を感じてほしくない。それは俺には不釣り合いなものだ」
アインスやツヴァイの忠義。
ルルやネムが抱いている畏怖や尊敬、希望的観測だが恋。
デーヴァが俺に求めたもの。
それらは全て、俺にとっては大き過ぎる。
そういうのは全て、俺の妹に相応しいものだ。
俺が受け取るべきものではない。
『...私は、司令官のそういう所が好きですよ』
「冗談はいい、それより...シエラの資源採掘リストを」
『了解しました』
俺は話題を変えるべく、資源の貯蔵リストと主力艦の建造計画について見直すのであった。
妾が敵の恐るべき居城から帰還して一週間が経った。
占拠されたシエラ星系から帰還した妾を、皆は疑った。
それ故に、妾は敵に囚われ、親切な男に助けられたと正直に告白したのじゃった。
その後は、洗脳されたのではないかと失礼な勘違いを受け、対洗脳調査などというものを受けさせられたものの、妾が洗脳されることなど有り得ぬ話じゃ。
「それにしても...酷いのう」
「恐ろしい相手です、皇女様を拐かすばかりか、一週間で五十二もの星系を奪ってしまったのです」
ノーザン・ライツ。
シン殿の仇は、妾が必ず討つ。
じゃが...これでは、あまりに不利すぎる。
「主要星系へと接続可能な星系が敵の占領下にあり、商路でも敵の艦隊が何度か海賊紛いの強盗殺人を行っております」
「敵の首魁はノーザン・ライツ主席じゃ。敵であれば誰であろうと殺すあの男が絡んでいるのであれば、そのような非道な行為も頷ける」
ああ、それにしても...
シン殿、生きておれば良いが...
通信端末は全く反応せんし、恐らく死んでいるか、重傷を負っているのじゃろうが...
「皇女様、元気がありませんな」
「大したことではない、心配するな」
妾が浮かない様子であれば、臣下に迷惑がかかる。
シン殿の前では、妾は一人の少女じゃった。
だが、今は違う。
妾が帝国の皇女であり、帝国は我が帝冠の為にあるのじゃ。
待っておれ、シン殿。
生きておれば、また会おう。
死んでおれば、貴殿の仇は必ずや取ってみせよう。
「よし。至急騎士団長達を集めよ。会議を行う!」
「はっ」
ここから盛り返す手段を考えねばなるまい。
妾はそう考え、会議に乗り出すのだった。
俺は疲労で戦闘指揮所に倒れていた。
床は自動除菌なので、寝ても全く問題がない。
『中々の名演技でしたよ、司令官』
「いや...俺もちょっとだけ、いいと思ってたんだ」
『えっ!?』
オーロラが動揺したような声を上げる。
お前らしくもない...
「妹みたいだった。ルルやネムにも同じ感情を抱くんだが、守ってやりたくなるものなんだ」
『ああ、そっちですか...』
「何だ? そっちって」
他に何か感情を抱くことがあるか...?
恋とかか? まさか。
「俺は愛して貰う程の資格を持ってるわけじゃないからな」
『そうは思わない人はたくさんいると思いますよ』
オーロラがもっともらしい事を言う。
だが実際の場合、愛して貰うにはこちらも愛さなければならない。
無干渉な人間に近づいてくるのは、愛を理由にこちらを利用する気の人間だけだ。
妹は俺を慕ってくれたが、それは兄妹愛というだけだ。
それに...
『何故司令官は、自分が孤独だと常にお思いになられているのですか?』
「俺がいつ...」
『顔に書いてある、とでも言うべきでしょうか? 貴方を一人にしないために人が動けば、貴方はそれを拒絶するのでしょう?』
「...部屋の外に、ネムやルルはいないな?」
『はい』
なら言ってもいいか。
俺は本音を口にする。
「俺の本質は、基本的には与えるだけだ。何の感情的見返りは必要としない。できれば友情や恩義、恋慕といった感情を感じてほしくない。それは俺には不釣り合いなものだ」
アインスやツヴァイの忠義。
ルルやネムが抱いている畏怖や尊敬、希望的観測だが恋。
デーヴァが俺に求めたもの。
それらは全て、俺にとっては大き過ぎる。
そういうのは全て、俺の妹に相応しいものだ。
俺が受け取るべきものではない。
『...私は、司令官のそういう所が好きですよ』
「冗談はいい、それより...シエラの資源採掘リストを」
『了解しました』
俺は話題を変えるべく、資源の貯蔵リストと主力艦の建造計画について見直すのであった。
妾が敵の恐るべき居城から帰還して一週間が経った。
占拠されたシエラ星系から帰還した妾を、皆は疑った。
それ故に、妾は敵に囚われ、親切な男に助けられたと正直に告白したのじゃった。
その後は、洗脳されたのではないかと失礼な勘違いを受け、対洗脳調査などというものを受けさせられたものの、妾が洗脳されることなど有り得ぬ話じゃ。
「それにしても...酷いのう」
「恐ろしい相手です、皇女様を拐かすばかりか、一週間で五十二もの星系を奪ってしまったのです」
ノーザン・ライツ。
シン殿の仇は、妾が必ず討つ。
じゃが...これでは、あまりに不利すぎる。
「主要星系へと接続可能な星系が敵の占領下にあり、商路でも敵の艦隊が何度か海賊紛いの強盗殺人を行っております」
「敵の首魁はノーザン・ライツ主席じゃ。敵であれば誰であろうと殺すあの男が絡んでいるのであれば、そのような非道な行為も頷ける」
ああ、それにしても...
シン殿、生きておれば良いが...
通信端末は全く反応せんし、恐らく死んでいるか、重傷を負っているのじゃろうが...
「皇女様、元気がありませんな」
「大したことではない、心配するな」
妾が浮かない様子であれば、臣下に迷惑がかかる。
シン殿の前では、妾は一人の少女じゃった。
だが、今は違う。
妾が帝国の皇女であり、帝国は我が帝冠の為にあるのじゃ。
待っておれ、シン殿。
生きておれば、また会おう。
死んでおれば、貴殿の仇は必ずや取ってみせよう。
「よし。至急騎士団長達を集めよ。会議を行う!」
「はっ」
ここから盛り返す手段を考えねばなるまい。
妾はそう考え、会議に乗り出すのだった。
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