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シーズン7-対エミド戦線
151-絶望を引き裂く電光
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ユグドラシル星系。
そこは、警戒を強めているエミド艦隊の最も多くの艦隊の駐留地帯となっていた。
ユグドラシル第六惑星...ガス惑星のその外周部に、浮かび上がる物体があった。
『次元斥力を利用し浮上します』
『よし、ナグルファー浮上せよ』
ナグルファーは、その弧状の...大昔の船のようなその巨体を浮かび上がらせた。
いいや、船というにはあまりに形が歪み過ぎているが。
『司令官、どうされるつもりですか?』
『天空騎士団を放出する、各自編隊を組み独自の判断で動け!』
ナグルファーから、数百機の艦載機が放出される。
その名はインデペンデンス、単独で数十時間の行動が可能な機体だ。
『天空騎士団の面々よ、これは聖戦である。故郷を奪還し、憎むべき敵を討ち果たす戦いだ。然し乍ら、俺は神ではない故に、諸君らの安全を保証することはできない。当然、それは戦場に同じく出ているルルと、ネムも同じ事だ』
ルルはSWALLOW-EDGE・WILL(スワロー・エッジ:ウィル)に、ネムはラムブレードⅡにそれぞれ搭乗している。
どちらも、以前より改良を重ねた物だ。
『故に、問おう。』
シンは問う。
強く、重々しく。
『命など惜しくもないと言えるのであれば、戦え! 故郷のために命を散らす覚悟がないと言うのであれば、この場に残れ』
それは、今までで最も重い問いであった。
自分たちの住む地が敵の手に落ちた事は、獣人の誰もが知る事。
それを取り返すともなれば、凄まじい猛攻を潜り抜ける必要があると。
だが。
『星空の帝王よ!』
通信が、ナグルファーのブリッジに届いた。
それをオーロラが、空間内のシンの元へ届ける。
『それは違います、王よ。我々は、王のお役に立ちたいからこの場に居るのです! 王のために死ぬという最大の名誉を、我々が捨てることなどあり得ません!』
『その通りです、王よ! 我々は、王に救ってもらったあの時既に死にました! 今更死など恐ろしくはございません!』
『どうか、この戦いの末に命を落とそうとも、その星空の宮殿の星々の中で輝く事をお許しください! さすれば、我々は血の一滴が枯れるその瞬間まで戦い続けましょうぞ!』
天空騎士団の面々は一斉に叫ぶ。
それは不満ではない。
王の不安を、自分たちの忠義を以て晴らそうという忠誠心からである。
それを受けたシンは、一瞬圧倒され、言葉を失う。
「.........」
『何をしておる、シン! お主が始めた戦いじゃ、その決意も、覚悟も...兵の闘志すらも、受け止める覚悟はできておろう!』
「...ああ、そうだな...その通りだ」
シンは顔を上げた。
そして、叫ぶ。
『ならば...死ね! 血の一滴、涙すら枯れ果てる戦鬼と成り果て、この星系に居座る敵を蹴散らせ! お前達なら必ず出来る、俺はお前達を信じる! 決して...裏切るなよ』
『『『『『『星空の帝王よ、お任せください!』』』』』』
通信が一斉に、怒号のような返答で埋まる。
そして、戦闘機編隊は一斉に散っていく。
搭載されたワープブースターにより、ワープで散りながら。
『ジェキド様ぁ、敵が来ましたぜ』
エミド本拠地に声が響く。
その通信に反応し、ジェキドは顔を上げた。
「ようやく来たか」
『我らは既に布陣しております。戦力を分散させ、接敵後に集中させ包囲戦を仕掛ける予定です』
「好きにせよ。バクタの熱斬に耐えられる装甲など存在せぬわ」
ジェキドはどうでも良さそうに欠伸する。
最早敵が現れ、そこに第一、第二船団がいるという事は、敵には死以外残っていないという事なのだから。
「ふふふ、エミドに逆らうなんて愚かなもんだぜ」
第一船団の団長、ユスフレイは大きな声で笑った。
勝利は確定している、最早敵を警戒する必要などない。
『敵を侮るなよ、ユスフレイ』
「そっちこそ、ビビってんじゃねえか? ダールンク」
高い忠誠心を持つ彼らは、インプラントによって自我を奪われ、意識を持たないドローンと化したエミド集合体の中でも指揮官クラスとして自我を持たせて貰っていた。
それ故に、機械が決してしないモノ...無意識の油断という物を、してしまっていた。
『敵艦、単騎ワープアウト』
「ブッ潰せ! 第二船団、前衛攻撃隊、攻撃開始!」
『了解』
ワープアウトしたナグルファーに、第二船団の前衛が迫る。
しかし、P.O.Dの射程にはまだ少し届かない。
そして、
『司令官。準備が整いました』
『よし、P-G...出撃!』
異次元より、PARADICE-GURDIANの駆逐艦が出現する。
その名は『ストームブリンガー』。
続けて、『スプリットダーク』級巡洋艦。
さらに、『サンダーロード』級戦艦。
最後に、『ワールドスレット』級攻城旗艦級戦艦。
『敵艦、さらに出現』
「ちょっとばかし増えたところで!」
ストームブリンガーが動き出し、エミド前衛艦隊へと向かっていく。
エミド前衛艦隊は、一斉にP.O.Dを使い応戦する。
ストームブリンガー艦隊はそれを回避し...
『電導力場システム、正常起動。接触限界範囲の確立成功』
『撃て!』
直後。
ストームブリンガーから稲妻が迸り、エミド艦に直撃した。
『はっ、そんなチャチな武器が...何っ!?』
そして稲妻は、エミド艦のシールドを通り抜けて内部に入り込み、結界内で弾けて爆発し、逃げ場のない爆発がシールドの中で巻き起こる。
動力源を失い、シールドが圧壊した直後。
近くにいたエミド艦に電撃が伝播し、同じ事象を引き起こした。
『あり得ないっ! なんだ、何なんだ...あれはっ!?』
ユスフレイは叫ぶ。
シールドを破壊せずに内部に浸透し、装甲を容易に破壊した上減衰せずに電導する電撃。
そんなものは、エミドの知識にはない。
『ユスフレイ。気をつけなさい、他の艦船も動き出しました』
『あ、ああ...わかってる!』
ストームブリンガーを援護するように、スプリットダークが加速を始め、ストームブリンガー自体は能動的にエミド艦隊へと切り込み、一隻一隻にヴォートンパルスを浴びせ掛けて吹き飛ばしていた。
『ダールンク傘下前衛部隊に命じます。敵の超大型艦を撃破しなさい。指揮官級の座上艦である可能性が高いです』
一斉にエミド艦が、ナグルファーへと群がっていく。
そのシールドごと装甲が切り裂かれ、ナグルファーはどんどんと傷付いていく。
『(やはり、旗艦は無防備か。電撃の性質上、味方に当たる攻撃はできないのですね...やはり人間というのは、愚かなものです)』
ダールンクは鼻で笑う。
脅威的な武器を操ろうが、結局は指揮官さえ撃破して仕舞えばそれでいい。
効率的な自分たちと、そうでない人間との力の差は、それだけ大きいのだと。
『あわわわ、ど、どうするのじゃ、シンよ!?』
『落ち着けディーヴァ。なんで俺がP-G艦隊を退かせたか教えてやる』
直後。
ナグルファーの周囲に何かの歪みが発生し...囲んでいたエミド艦は全て“同時に”轟沈した。
『!? 何が...理解不能、説明不能...解析不可能...何が起こったと...』
ダールンクはあまりの唐突な展開に戸惑う。
そして、ナグルファー自体は超高速で装甲を修復させ、艦首をエミド主力艦のうち一隻...つまり、ダールンクの乗艦へと向ける。
『...このままでは! 離脱します!』
『いいや、出来ないね』
次の瞬間、ダールンクの乗艦のそばで、ワープ妨害フィールドが出現する。
デブリに艤装して接近していた、ワープ妨害型巡洋艦...アントリオン級の仕業である。
『撃て!』
ナグルファーの装備している全ての実体弾砲塔が。
対シールド弾を装填した砲台が火を吹き、ダールンクの座上艦は一瞬でシールドを破壊された。
次の二発目で装甲が大破し、三発目で轟沈する。
『死にたくない、死にたく、うわぁああああ―――――』
『ダールンク!? そんな、俺たちは最強で...』
宇宙の秩序を守り、Ve‘zを除く全ての国家より高い技術力を保有する。
その驕りが、ダールンクの判断を鈍らせたのであった。
そこは、警戒を強めているエミド艦隊の最も多くの艦隊の駐留地帯となっていた。
ユグドラシル第六惑星...ガス惑星のその外周部に、浮かび上がる物体があった。
『次元斥力を利用し浮上します』
『よし、ナグルファー浮上せよ』
ナグルファーは、その弧状の...大昔の船のようなその巨体を浮かび上がらせた。
いいや、船というにはあまりに形が歪み過ぎているが。
『司令官、どうされるつもりですか?』
『天空騎士団を放出する、各自編隊を組み独自の判断で動け!』
ナグルファーから、数百機の艦載機が放出される。
その名はインデペンデンス、単独で数十時間の行動が可能な機体だ。
『天空騎士団の面々よ、これは聖戦である。故郷を奪還し、憎むべき敵を討ち果たす戦いだ。然し乍ら、俺は神ではない故に、諸君らの安全を保証することはできない。当然、それは戦場に同じく出ているルルと、ネムも同じ事だ』
ルルはSWALLOW-EDGE・WILL(スワロー・エッジ:ウィル)に、ネムはラムブレードⅡにそれぞれ搭乗している。
どちらも、以前より改良を重ねた物だ。
『故に、問おう。』
シンは問う。
強く、重々しく。
『命など惜しくもないと言えるのであれば、戦え! 故郷のために命を散らす覚悟がないと言うのであれば、この場に残れ』
それは、今までで最も重い問いであった。
自分たちの住む地が敵の手に落ちた事は、獣人の誰もが知る事。
それを取り返すともなれば、凄まじい猛攻を潜り抜ける必要があると。
だが。
『星空の帝王よ!』
通信が、ナグルファーのブリッジに届いた。
それをオーロラが、空間内のシンの元へ届ける。
『それは違います、王よ。我々は、王のお役に立ちたいからこの場に居るのです! 王のために死ぬという最大の名誉を、我々が捨てることなどあり得ません!』
『その通りです、王よ! 我々は、王に救ってもらったあの時既に死にました! 今更死など恐ろしくはございません!』
『どうか、この戦いの末に命を落とそうとも、その星空の宮殿の星々の中で輝く事をお許しください! さすれば、我々は血の一滴が枯れるその瞬間まで戦い続けましょうぞ!』
天空騎士団の面々は一斉に叫ぶ。
それは不満ではない。
王の不安を、自分たちの忠義を以て晴らそうという忠誠心からである。
それを受けたシンは、一瞬圧倒され、言葉を失う。
「.........」
『何をしておる、シン! お主が始めた戦いじゃ、その決意も、覚悟も...兵の闘志すらも、受け止める覚悟はできておろう!』
「...ああ、そうだな...その通りだ」
シンは顔を上げた。
そして、叫ぶ。
『ならば...死ね! 血の一滴、涙すら枯れ果てる戦鬼と成り果て、この星系に居座る敵を蹴散らせ! お前達なら必ず出来る、俺はお前達を信じる! 決して...裏切るなよ』
『『『『『『星空の帝王よ、お任せください!』』』』』』
通信が一斉に、怒号のような返答で埋まる。
そして、戦闘機編隊は一斉に散っていく。
搭載されたワープブースターにより、ワープで散りながら。
『ジェキド様ぁ、敵が来ましたぜ』
エミド本拠地に声が響く。
その通信に反応し、ジェキドは顔を上げた。
「ようやく来たか」
『我らは既に布陣しております。戦力を分散させ、接敵後に集中させ包囲戦を仕掛ける予定です』
「好きにせよ。バクタの熱斬に耐えられる装甲など存在せぬわ」
ジェキドはどうでも良さそうに欠伸する。
最早敵が現れ、そこに第一、第二船団がいるという事は、敵には死以外残っていないという事なのだから。
「ふふふ、エミドに逆らうなんて愚かなもんだぜ」
第一船団の団長、ユスフレイは大きな声で笑った。
勝利は確定している、最早敵を警戒する必要などない。
『敵を侮るなよ、ユスフレイ』
「そっちこそ、ビビってんじゃねえか? ダールンク」
高い忠誠心を持つ彼らは、インプラントによって自我を奪われ、意識を持たないドローンと化したエミド集合体の中でも指揮官クラスとして自我を持たせて貰っていた。
それ故に、機械が決してしないモノ...無意識の油断という物を、してしまっていた。
『敵艦、単騎ワープアウト』
「ブッ潰せ! 第二船団、前衛攻撃隊、攻撃開始!」
『了解』
ワープアウトしたナグルファーに、第二船団の前衛が迫る。
しかし、P.O.Dの射程にはまだ少し届かない。
そして、
『司令官。準備が整いました』
『よし、P-G...出撃!』
異次元より、PARADICE-GURDIANの駆逐艦が出現する。
その名は『ストームブリンガー』。
続けて、『スプリットダーク』級巡洋艦。
さらに、『サンダーロード』級戦艦。
最後に、『ワールドスレット』級攻城旗艦級戦艦。
『敵艦、さらに出現』
「ちょっとばかし増えたところで!」
ストームブリンガーが動き出し、エミド前衛艦隊へと向かっていく。
エミド前衛艦隊は、一斉にP.O.Dを使い応戦する。
ストームブリンガー艦隊はそれを回避し...
『電導力場システム、正常起動。接触限界範囲の確立成功』
『撃て!』
直後。
ストームブリンガーから稲妻が迸り、エミド艦に直撃した。
『はっ、そんなチャチな武器が...何っ!?』
そして稲妻は、エミド艦のシールドを通り抜けて内部に入り込み、結界内で弾けて爆発し、逃げ場のない爆発がシールドの中で巻き起こる。
動力源を失い、シールドが圧壊した直後。
近くにいたエミド艦に電撃が伝播し、同じ事象を引き起こした。
『あり得ないっ! なんだ、何なんだ...あれはっ!?』
ユスフレイは叫ぶ。
シールドを破壊せずに内部に浸透し、装甲を容易に破壊した上減衰せずに電導する電撃。
そんなものは、エミドの知識にはない。
『ユスフレイ。気をつけなさい、他の艦船も動き出しました』
『あ、ああ...わかってる!』
ストームブリンガーを援護するように、スプリットダークが加速を始め、ストームブリンガー自体は能動的にエミド艦隊へと切り込み、一隻一隻にヴォートンパルスを浴びせ掛けて吹き飛ばしていた。
『ダールンク傘下前衛部隊に命じます。敵の超大型艦を撃破しなさい。指揮官級の座上艦である可能性が高いです』
一斉にエミド艦が、ナグルファーへと群がっていく。
そのシールドごと装甲が切り裂かれ、ナグルファーはどんどんと傷付いていく。
『(やはり、旗艦は無防備か。電撃の性質上、味方に当たる攻撃はできないのですね...やはり人間というのは、愚かなものです)』
ダールンクは鼻で笑う。
脅威的な武器を操ろうが、結局は指揮官さえ撃破して仕舞えばそれでいい。
効率的な自分たちと、そうでない人間との力の差は、それだけ大きいのだと。
『あわわわ、ど、どうするのじゃ、シンよ!?』
『落ち着けディーヴァ。なんで俺がP-G艦隊を退かせたか教えてやる』
直後。
ナグルファーの周囲に何かの歪みが発生し...囲んでいたエミド艦は全て“同時に”轟沈した。
『!? 何が...理解不能、説明不能...解析不可能...何が起こったと...』
ダールンクはあまりの唐突な展開に戸惑う。
そして、ナグルファー自体は超高速で装甲を修復させ、艦首をエミド主力艦のうち一隻...つまり、ダールンクの乗艦へと向ける。
『...このままでは! 離脱します!』
『いいや、出来ないね』
次の瞬間、ダールンクの乗艦のそばで、ワープ妨害フィールドが出現する。
デブリに艤装して接近していた、ワープ妨害型巡洋艦...アントリオン級の仕業である。
『撃て!』
ナグルファーの装備している全ての実体弾砲塔が。
対シールド弾を装填した砲台が火を吹き、ダールンクの座上艦は一瞬でシールドを破壊された。
次の二発目で装甲が大破し、三発目で轟沈する。
『死にたくない、死にたく、うわぁああああ―――――』
『ダールンク!? そんな、俺たちは最強で...』
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その驕りが、ダールンクの判断を鈍らせたのであった。
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