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シーズン8-オルトス王国侵攻編
187-物語後半になると急に話がオカルトになるやつ
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話は数日前に遡る。
俺が変な夢を見た翌日、封鎖隔離室に置かれていた竜人たちの秘宝である石、『竜寂の輝石』が砕け散った。
ただ砕け散っただけなら良かったが、中から女が出てきたので話が面倒になった。
『目覚め....た、否。目覚めし、者よ。ワタシはアルテア』
ガラス越しに出会った俺に、そいつはテレパシーのようなもので話しかけてきた。
アレだ、「(カミチキください)」みたいなやつだ。
『何者だ、それにその名前は.....』
『ワタシはアルテア....この名称は正確ではない、お前の魂が知る、似た意味の言葉に変換されている』
その女は、異様な見た目をしていた。
亜麻色の髪に褐色の肌、碧眼の中では宝石のような結晶構造が煌めいていた。
まあ、そういう種族も探せば居るだろうが.....生まれ持った見た目ではなく、そいつは全身に刺青があった。
全裸だったが、俺は異性に興味がないので、かえって刺青が気になった。
何かを象ったものでもなく、ただ幾何学模様のように無意味にも思える線が幾重にも折り重なるような形で彫り込まれていた。
『俺に何の用だ』
『ワタシの前に現れてはくれないか、異郷の者。隔絶されており、解放できない』
しょうがないので会ってやる事にしたら、いきなりその目が光って....その後の事はあんまり覚えていない。
激昂して襲い掛かったドライの攻撃で傷を負わず、ただその場に立っていたアルテアは、俺の目を見ながら訴えてきた。
『この身体は尋常のものならざる故、尋常のもので傷を負うことはかなわぬ。止めてはくれぬか、無駄だ』
『......俺に何をした』
アルテアに気絶させかけられた俺は、全身が湧きたつような高揚感に襲われていた。
何とか絞り出した思念は、まさに静謐という言葉が似合うような静かな声にかき消された。
『お前の身中に眠る、尋常ならざる力。それを解き放ったのだ』
『なんだ、それは.....?』
『”キネス”。稀に人が得る、尋常ならざる力。神の力の残滓。願いと欲望の結晶。』
『ハッ、何をバカな.....そんな力があるなら、早く目覚めてほしかったな』
『否』
そこでアルテアは顔を苦々しく歪めて言った。
『お前が望んだ。決して応えてはならぬ神の呪言。それに応えたために、お前は世界の一部から力を受け取った』
『話が分からないな、そんな覚えは全くない』
『お前の中に力が宿った際、ワタシは目覚めた。その力が無意識に放つ声は大きすぎる。異郷の者、お前の中にあった力。異魄石...ワタシを取り囲んでいた石を共鳴させる元々の力と絡みあい、制御できねば世界をも飲み込む大きな力となったのだ』
その時の俺は全くそれを信じていなかった。
だが、アドアステラとの戦闘で、アルテアは流歌にもその力があると言った。
少しは信じてみるか。
『あの者は、あの力を信ずる者たちの教えを受け、お前などでは足下も及ばぬ領域に立っている。あの空を駆ける船も同じこと。聖遺物であり、あの者の力をより高めている』
ああ、流歌。
どうやらお前は、いつも俺の一歩先を行くらしい。
『...じゃあ、教えてくれ』
俺は、アルテアに問う。
『俺のキネスの力――――「破壊」を』
俺のキネスは、「破壊」。
視界に入った全てを破壊する...らしい。
実際破壊した。
オーロラの観測によれば、俺の視界に入った旗艦級専用装甲が一瞬で消滅するのを見たらしい。
だが、全てというのは嘘だろう。
少なくとも、破断させるのは事実だ。
そして、範囲と対象は俺が選べる。
『お前が知っている以上の事をワタシは知らない』
『....使えないな』
『キネスは神の残滓。故に、その多くは神の万能の欠片。その数は数多。ワタシには観測できない』
何でも、アルテアは『竜寂の輝石』......彼女は『異魄石』と呼んだそれに身を包ませ、星々を渡りキネスの覚醒を促したり、制御法をある程度教えるために生きているらしい。
『ワタシのような存在は、アルケーシャ.....神の国よりばら撒かれ、この宇宙のあちこちで活動しているはずだ』
『アルケーシャ?』
『お前が知る必要は今はない。いずれ知るだろう、キネスを持ちし....その才能が在りし者はいずれ答えにたどり着く』
アルテアの言葉は要領を得ないが.....
「海賊の親玉みたいになっちまったな」
『お似合いです』
キネスの力を抑えるため、俺は竜寂の輝石で作られた眼帯を身に着けた。
力自体は両目で発動するものだが、起点は右目.....俺から見て左目らしい。
加えて、異魄石は俺の力を増幅するらしく、まだまだ実験が必要そうだ。
しかし、全ては無意味だ。
俺の「計画」が終わるまでの、一時の夢なのだから。
俺が変な夢を見た翌日、封鎖隔離室に置かれていた竜人たちの秘宝である石、『竜寂の輝石』が砕け散った。
ただ砕け散っただけなら良かったが、中から女が出てきたので話が面倒になった。
『目覚め....た、否。目覚めし、者よ。ワタシはアルテア』
ガラス越しに出会った俺に、そいつはテレパシーのようなもので話しかけてきた。
アレだ、「(カミチキください)」みたいなやつだ。
『何者だ、それにその名前は.....』
『ワタシはアルテア....この名称は正確ではない、お前の魂が知る、似た意味の言葉に変換されている』
その女は、異様な見た目をしていた。
亜麻色の髪に褐色の肌、碧眼の中では宝石のような結晶構造が煌めいていた。
まあ、そういう種族も探せば居るだろうが.....生まれ持った見た目ではなく、そいつは全身に刺青があった。
全裸だったが、俺は異性に興味がないので、かえって刺青が気になった。
何かを象ったものでもなく、ただ幾何学模様のように無意味にも思える線が幾重にも折り重なるような形で彫り込まれていた。
『俺に何の用だ』
『ワタシの前に現れてはくれないか、異郷の者。隔絶されており、解放できない』
しょうがないので会ってやる事にしたら、いきなりその目が光って....その後の事はあんまり覚えていない。
激昂して襲い掛かったドライの攻撃で傷を負わず、ただその場に立っていたアルテアは、俺の目を見ながら訴えてきた。
『この身体は尋常のものならざる故、尋常のもので傷を負うことはかなわぬ。止めてはくれぬか、無駄だ』
『......俺に何をした』
アルテアに気絶させかけられた俺は、全身が湧きたつような高揚感に襲われていた。
何とか絞り出した思念は、まさに静謐という言葉が似合うような静かな声にかき消された。
『お前の身中に眠る、尋常ならざる力。それを解き放ったのだ』
『なんだ、それは.....?』
『”キネス”。稀に人が得る、尋常ならざる力。神の力の残滓。願いと欲望の結晶。』
『ハッ、何をバカな.....そんな力があるなら、早く目覚めてほしかったな』
『否』
そこでアルテアは顔を苦々しく歪めて言った。
『お前が望んだ。決して応えてはならぬ神の呪言。それに応えたために、お前は世界の一部から力を受け取った』
『話が分からないな、そんな覚えは全くない』
『お前の中に力が宿った際、ワタシは目覚めた。その力が無意識に放つ声は大きすぎる。異郷の者、お前の中にあった力。異魄石...ワタシを取り囲んでいた石を共鳴させる元々の力と絡みあい、制御できねば世界をも飲み込む大きな力となったのだ』
その時の俺は全くそれを信じていなかった。
だが、アドアステラとの戦闘で、アルテアは流歌にもその力があると言った。
少しは信じてみるか。
『あの者は、あの力を信ずる者たちの教えを受け、お前などでは足下も及ばぬ領域に立っている。あの空を駆ける船も同じこと。聖遺物であり、あの者の力をより高めている』
ああ、流歌。
どうやらお前は、いつも俺の一歩先を行くらしい。
『...じゃあ、教えてくれ』
俺は、アルテアに問う。
『俺のキネスの力――――「破壊」を』
俺のキネスは、「破壊」。
視界に入った全てを破壊する...らしい。
実際破壊した。
オーロラの観測によれば、俺の視界に入った旗艦級専用装甲が一瞬で消滅するのを見たらしい。
だが、全てというのは嘘だろう。
少なくとも、破断させるのは事実だ。
そして、範囲と対象は俺が選べる。
『お前が知っている以上の事をワタシは知らない』
『....使えないな』
『キネスは神の残滓。故に、その多くは神の万能の欠片。その数は数多。ワタシには観測できない』
何でも、アルテアは『竜寂の輝石』......彼女は『異魄石』と呼んだそれに身を包ませ、星々を渡りキネスの覚醒を促したり、制御法をある程度教えるために生きているらしい。
『ワタシのような存在は、アルケーシャ.....神の国よりばら撒かれ、この宇宙のあちこちで活動しているはずだ』
『アルケーシャ?』
『お前が知る必要は今はない。いずれ知るだろう、キネスを持ちし....その才能が在りし者はいずれ答えにたどり着く』
アルテアの言葉は要領を得ないが.....
「海賊の親玉みたいになっちまったな」
『お似合いです』
キネスの力を抑えるため、俺は竜寂の輝石で作られた眼帯を身に着けた。
力自体は両目で発動するものだが、起点は右目.....俺から見て左目らしい。
加えて、異魄石は俺の力を増幅するらしく、まだまだ実験が必要そうだ。
しかし、全ては無意味だ。
俺の「計画」が終わるまでの、一時の夢なのだから。
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