【完結】SFゲームの世界に転移したけど物資も燃料もありません!艦隊司令の異世界宇宙開拓紀

黴男

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シーズン8-オルトス王国侵攻編

190-『蜂の巣作戦』(後編)

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孤立した主力艦隊は、横からやって来た襲撃艦隊に襲われていた。
襲撃艦隊の名は「傭兵旅団」。
カルが雇用した傭兵が中心であり、しかしそれらの傭兵たちが乗る艦船は一律に一つのコンセプトに基づいて設計されている。
アドアステラに搭載されたジェネレーターは、今の王国の技術では量産できない。
しかし、アドアステラの使うドローンのものであれば、王国で作成できる。
それ故に、それらの艦はドローン専用のジェネレーターから得られる、膨大、しかし兵器転用すれば現状の王国艦と火力的にはそう変わらないそれを、ただ一点の――――艦先端部の砲口から打ち出すのであった。

『追い詰めろ!』

それを指揮するのは、王国の英雄でもあるアルデン・ストール。
カルのいるマーセナリー・リーダーの一個下のグレートマスターランクに属する傭兵で、多くの業績を打ち立ててきた英雄でもある。
エンストして足を止めた主力艦など、余裕で屠れる...彼はそう考えていたが、実際は異なる。
カルはアルデンにとある理由から期待していたのだが、今回はそれが完全に裏目に出た形となった。
「こんな単純な作戦を行ってくるはずがない」
「スキャンに映らないのだから安心だ」
「遮蔽装置も新型レーダーで看破できる」
そんな確信が、彼を死へと誘った。

『準備できたよ、フュンフ』
『ありがとっ、ゼクス』

空間が歪む。
亜空間から飛び出した無数の魚雷が、艦隊を襲撃した。
全く予想していなかった攻撃に、艦隊は即座に混乱に陥る。
直後、赤い光と共に艦隊の内部にいた中型艦と小型艦が同時に爆散する。

『なっ、なんだ!? ...全艦隊、ワープアウト!』
『させない』

水中...亜空間の海の下にいるのは、潜宙機体サタリエル率いる潜空艦、レッドシャーク級フリゲート艦隊である。
サタリエルを操縦するのは、またもや新規雇用の第五指揮官、フュンフである。
発射されたワープジャミング弾頭が、艦隊を混乱させた。

『やって、ゼクス』
『うん』

艦隊の中央に入り込んだ機体が、流星のような速度で駆け巡る。
通り抜けた後、まるで漫画のように船が爆沈していく。
一度速度を落とした瞬間、その機体の姿が露になる。
六つのレーザーライフルと、八つのレーザーソード。
それらを十四本の腕に持ち、背に輝く重力ディスクを背負った人型の機体。
金の刻印が入った白銀の機体、栄光ホドである。
重力で駆動するホドは、スラスターによるものとは異なる高機動を見せる事が出来るのだ。
そして、ホドが持つもう一つの能力は。

『潜界』

ホドがその腕を広げると同時に、背中に生まれた亜空間へと飛び込んだ。
サタリエルらがいる亜空間とはまた別の階層にある亜空間へと、その身を忍ばせたのだ。
これではどんなスキャン装置も意味を成さない。
ホドは亜空間を悠々と移動し、中隊旗艦の前へと躍り出る。

『な、なんだコイツは!?』
『帝王の敵に、祝福を』

八つのレーザーブレードが、飛ぶ斬撃を生み出す。
それらは一斉に旗艦へと向かい、シールドごとその装甲を切断して、旗艦を機能不全へと陥らせた。

『全艦...に指令...てる限りの......力で......脱せよ!』

旗艦からポッドが複数飛び出して、他の艦と同じく離脱していく。
それを見届けたホドは、再び亜空間へと消えた。

『ゼクス、大戦果。...満足』

フュンフは呟くと、潜宙艦隊を回収ポイントに向かわせるのであった。
旗艦を失った傭兵旅団は、その戦歴の一番始めに敗北の字を書き加えられ、今後不利な立場に追いやられていくのだが...それはまた、別の話。

『こちら、ラステイク・フロントライン要塞! 要塞の崩壊が始まっている! 周辺地域の警戒レベルを最大にされたし! ゲートは既に破壊されており、救援は無駄である! 我々はこれより、最後の突撃を敢行する!』

そして、そんな通信が王都にある司令部に超光速通信で伝わってから数時間後。
シグナルが完全に途絶し、ラステイク星系は完全にNoa-Tun勢力下へと入ったのであった。
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