【完結】SFゲームの世界に転移したけど物資も燃料もありません!艦隊司令の異世界宇宙開拓紀

黴男

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シーズン8-オルトス王国侵攻編

193-指揮官会議

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二日後。
シンを除く六人の指揮官が一堂に会した。
集合理由は、戦況の報告と顔合わせである。
そして、ゲストとしてディーヴァ、ルル、ネムもここにいる。

「よろしくお願いします」

アインスが挨拶し、会議室を見渡す。
目を閉じ、椅子に座るツヴァイ、落ち着かない様子でその反対側に座っているドライが最初に目に入り、視界を動かすと腕を組んで座っているフィーアが映った。
奥には、車椅子で隣接して座っているフュンフとゼクスがいた。
フュンフとゼクスはそれぞれ四肢がなく(元々の事情のため)、脳波制御の車椅子で生活しているのだ。

「よろしくお願い致します」
「よ...よろしくお願いします」
「よろしく」
「...よろしくお願いします...」
「お、同じく...」

全員がそれぞれにそう呼びかける。
それを、フュンフとゼクスの左右に座るルルとネムが見守る。

『皆、揃ったようじゃな』

そして、スピーカーからディーヴァの声が響く。
同時に、モニターが点灯してディーヴァが映る。
ダブルピースをしたディーヴァは一歩下がると、

「よろしくなのじゃ」

と言った。
そして、会議は始まった。
議題はまず、戦況の報告である。

「クラム・ララート星系にてジャンプドライブでの奇襲攻撃を防衛、これを撃滅しました」
「こちらはラストレヴィク星系からの奇襲を受け、ダザットクレンズ星系の前哨基地をロスト、所有権は失われていませんが、実質的に敵の占領下にあります」
「...王国軍の補給線を分断した事で、クレートレーク星系に駐留する王国軍艦隊は大きく弱体化しました。こちらがジャンプアウト可能圏内の星系を封鎖しているため、いずれ攻勢に出るか自滅するはずです」
「こちらは何もないですね、ただ、王国軍からの脱走者が救助を求めて来たので、規則通り迎え入れてから毒ガスで纏めて処分しました!」

フィーアは得意げに胸を張って言った。
それにドン引く全員だったが、シンが定めたルールで、敵の降伏・脱走・捕虜兵は自由に処刑して良いことになっている。
仮に処刑しなくとも、いずれはオーロラによって殺処分されるのだが。
王国人を蛆虫の如く嫌っているフィーアならば、そうしても仕方が無いだろう。

「ぼくたちからは何もないです」
「まだ作戦指揮を任されてないので...」

フュンフとゼクスはそう言い切る。
まだ修行期間という事で、二人は殆どの任務時間を他の指揮官との共同任務として行なっている。
ルルとネムも、それぞれ自らが参加している任務によって起きた事を報告する。

「シン司令官の計画通り、パルター星系、B-4513星系、DD-231星系、56DCR星系から完全に撤退しました。引き続き王国軍をそちらに引き込み、挟撃をかけて全滅させます」
「作戦の成功で、王国国内で王国軍への不信感、王国脱出の雰囲気が漂っているようです。株価が暴落し、国内経済が大きく混乱しています」

ルルはすらすらと答えたが、ネムは取り出した報告書をそのまま読み上げた。
暗記する自信がなかったのだろう。

『うむ、それについてはこちらでも把握しておる。連邦合併派が国内で生まれて、それに複数の企業が加担しているという噂のせいで株価が大きく変動しているようじゃ。既に王国から逃げ出した数百の艦船が、こちらによって撃墜されておる』

王国人は何を思ったか、Noa-Tun連邦側に逃げ出していた。
末端の艦船はオーロラとコバルトの制御なので、領域内に入った瞬間に撃墜されて終わりである。
完全に外部からの侵入をシャットアウトしているNoa-Tun連邦は、内部に人を招き入れるときは謀殺する時のみであった。

「こちらからの王国国内への襲撃艦隊の襲撃も成功しており、最早危険なのは前線だけではないという認識を国内に広めています」

アインスがそう報告した。
連邦はジャンプによって敵領域内に入り込み、民間船や輸送艦を襲撃することに成功しており、前線という情報の遮蔽壁を破って王国の内部にまでその残虐さや無慈悲さを伝えることに成功していた。

「では、これから次の攻勢に対しての作戦計画を...」

アインスがそう言った時。
全ての画面がいきなり消え、サイレンが鳴り響き始めた。
画面に『LEVEL10:最重要警戒情報』という赤いウィンドウが出現し、全員がなんだなんだと周囲を見渡す。

『緊急事態発生。緊急事態発生。ラステイク星系内部で王国軍残党によるジャンプディスラプターの破損が発生。敵主力艦隊がラステイク星系内部で攻撃を行っています、繰り返します。ラステイク星系のジャンプディスラプターが全損しており、既にアウトポスト周辺が三千を超える王国艦隊に包囲されています。出撃可能な全戦闘員は出撃準備、指揮官級の人員は戦闘指揮所に集合してください』

その警報を聞いた瞬間、全員が自らの職務を果たすため、会議室を飛び出していくのであった。
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