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シーズン8-オルトス王国侵攻編
192-ブラスティオート補給分断戦(後編)
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『........やっぱり、たくさんいる』
亜空間への裂け目から、ホドは外を覗き見る。
ワープアウトしてきた艦隊である。
既に、爆撃艦隊との戦闘を始めている。
ボムの到達範囲外のため、爆撃艦隊は既に退避を開始している。
ゼクスの狙いは、艦隊の殲滅ではない。
旗艦を特定する事である。
『.......打電。敵の旗艦を特定』
『そのまま殲滅できるか?』
『.....やってみる』
亜空間から飛び出したホドは、一瞬で旗艦らしき艦の真正面に現れる。
八つのレーザーブレードが稼働し、エネルギー粒子が一斉に燃焼して発光する。
ゼクスはまず六つのレーザーライフルでシールドに攻撃を仕掛け、シールドが位置方向への衝撃で二極化したシールドごと、本格稼働状態に入ったレーザーブレードから斬撃を飛ばし、旗艦を装甲丸ごと切り裂いて破壊した。
再び即加速、亜空間への裂け目を開いてその場から消えた。
『旗艦を破壊』
『そのままポイントD-11まで移動せよ』
『....はい』
ゼクスは頷く。
フュンフと話せないので、若干不満げなものの。
彼女が信じる者の部下である者の命令は聞く。
『…!』
移動中に、ゼクスは空間の揺らぎを見つけ、亜空間との裂け目を構築してそこを仰ぎ見る。
潜宙艦が航行する次元より少し浅い亜空間を移動するホドには、現実空間での出来事が少しだけ伺えるのだ。
『敵の痕跡を発見』
『そちらはそのままそれを探れ』
『了解』
ホドは亜空間からその先を覗き見る。
…しかし、その先にいたのは敵では無かった。
『…火の矢の船…?』
そこには、Noa-Tunの爆撃艦隊が控えていた。
先程ワープアウトしてきたばかりのようで、遮蔽を解いて待機している。
『…司令官様、これは一体?』
ゼクスは疑問に思い、通信を飛ばす。
応答はすぐに帰ってきた。
『ドライの輸送艦襲撃は囮だ。今から商業ハブを直接叩く』
と。
ゼクスは目を輝かせる。
荷運び屋を襲うだけの任務に駆り出されたかと思えば、それは主の仕組んだ舞台の表の顔でしかなかったのだ。
『参加しては駄目ですか?』
『いいや、戦闘に直接参加せず、あくまで指揮サポートと偵察を行うなら構わない』
『はい!』
ホドはドライの指揮下から離れ、シン運用下にある爆撃艦隊へと加わる。
爆撃艦隊はフリゲート艦隊であり、指揮型駆逐艦のデッドエンドがコマンダーシップを勤めている。
艦隊はそのまま再度ワープへと入り、船の遮蔽を開始する。
ホドもまた、ワープスピードを維持したまま亜空間へと入り込み姿を消した。
ワープトンネルの出口は同じであるため、座標が同一の亜空間にいても問題ないのだ。
『ワープアウトと同時にまずは前衛を片付ける。デッドエンドは前方にセンサージャミングを行え』
ワープアウトした爆撃艦隊の第一波は、遮蔽を解除してボムを発射する。
真っ直ぐに飛んでいくそれらは、即反応した王国軍の射撃によって撃墜されていくものの、デッドエンドがセンサー妨害波を広範囲照射した事で絶対数の減少を防ぐことができた。
爆炎が上がり、前衛艦隊の殆どがそれに呑まれて轟沈した。
『第一波、ワープイン』
ワープタイミングをずらす事で到着を遅させていた第二波が到達し、一斉に密度を減らした前衛艦隊にトルピードを発射する。
トルピードはシールドを突き破って装甲内部に貫通し、大爆発を引き起こす。
こうして、残った前衛も即座に撃滅された。
『第二波、ワープイン』
第二波は敵陣に飛び込む事なく、ワープインしていく。
そして、第三波に飛んできたのは…本陣。
今までの爆撃艦隊が飛んできていた場所ではなく、商業ハブを左右で挟撃する形で、ラトルスネイク級水雷戦艦・ベノムヴァイパー級水雷戦艦・バジリスク級水雷巡洋艦の大艦隊がワープアウトする。
『攻撃開始』
その命令と共に、十万を悠に超えるトルピードが商業ハブを襲った。
こんなもの、迎撃出来るわけがない。
その圧倒的圧力に、爆撃艦隊を追い回していた星系軍も近付けない。
トルピードは商業ハブを覆っていたシールドをものの数秒で消滅させ、その内部へと切り込んでいく。
外壁を破壊し、内部のマーケットを火で焼き払う。
倉庫が破壊され、無数の商品だったものが宇宙に流れ出る。
それらのコンテナも、執拗に狙われて使い物にならなくなって行く。
『ああ…すごい…!』
その頃、ホドの内部でゼクスは感涙していた。
自分を救った主人。
偉大なる存在だが、こんな美しい花火を惜しげもなく見せてくれたのだと。
『星系軍が集結している、爆撃艦隊は直ちに急行せよ』
そして、爆撃艦隊は別の任務…星系軍の殲滅に駆り出される。
爆撃艦隊は、統率力の高い艦隊相手には不利だが、統率力のない寄せ集め相手にはとにかく強くなるのである。
既に隊長格が数十名戦死しているため、王国軍に爆撃を防ぐ手段は無いだろう。
『商業ハブの動力源の破壊を確認、ドライ艦隊含め全艦隊は即座に離脱! 回収ポイントへ向かえ! …ゼクス、お前もだぞ』
『はっ…はい!』
商業ハブは中央部までトルピードでぶち抜かれ、動力源を失った。
惑星との重力のせめぎ合いに動力源を失った構造が耐えられなくなり、徐々に崩壊を始める。
それを尻目に、水雷艦隊は即座にワープイン。
足止めを行っていた爆撃艦隊も、それを契機にワープインした。
ホドは亜空間から飛び出して、ベノムヴァイパーの一隻に張り付く。
そこに待機していた城塞級旗艦、ケプラー・ウォッチャー級のジャンプポータルによって、艦隊は宙域を離脱。
こうして、突如行われた大戦力による補給線分断作戦は、見事に成功を収めたのであった。
亜空間への裂け目から、ホドは外を覗き見る。
ワープアウトしてきた艦隊である。
既に、爆撃艦隊との戦闘を始めている。
ボムの到達範囲外のため、爆撃艦隊は既に退避を開始している。
ゼクスの狙いは、艦隊の殲滅ではない。
旗艦を特定する事である。
『.......打電。敵の旗艦を特定』
『そのまま殲滅できるか?』
『.....やってみる』
亜空間から飛び出したホドは、一瞬で旗艦らしき艦の真正面に現れる。
八つのレーザーブレードが稼働し、エネルギー粒子が一斉に燃焼して発光する。
ゼクスはまず六つのレーザーライフルでシールドに攻撃を仕掛け、シールドが位置方向への衝撃で二極化したシールドごと、本格稼働状態に入ったレーザーブレードから斬撃を飛ばし、旗艦を装甲丸ごと切り裂いて破壊した。
再び即加速、亜空間への裂け目を開いてその場から消えた。
『旗艦を破壊』
『そのままポイントD-11まで移動せよ』
『....はい』
ゼクスは頷く。
フュンフと話せないので、若干不満げなものの。
彼女が信じる者の部下である者の命令は聞く。
『…!』
移動中に、ゼクスは空間の揺らぎを見つけ、亜空間との裂け目を構築してそこを仰ぎ見る。
潜宙艦が航行する次元より少し浅い亜空間を移動するホドには、現実空間での出来事が少しだけ伺えるのだ。
『敵の痕跡を発見』
『そちらはそのままそれを探れ』
『了解』
ホドは亜空間からその先を覗き見る。
…しかし、その先にいたのは敵では無かった。
『…火の矢の船…?』
そこには、Noa-Tunの爆撃艦隊が控えていた。
先程ワープアウトしてきたばかりのようで、遮蔽を解いて待機している。
『…司令官様、これは一体?』
ゼクスは疑問に思い、通信を飛ばす。
応答はすぐに帰ってきた。
『ドライの輸送艦襲撃は囮だ。今から商業ハブを直接叩く』
と。
ゼクスは目を輝かせる。
荷運び屋を襲うだけの任務に駆り出されたかと思えば、それは主の仕組んだ舞台の表の顔でしかなかったのだ。
『参加しては駄目ですか?』
『いいや、戦闘に直接参加せず、あくまで指揮サポートと偵察を行うなら構わない』
『はい!』
ホドはドライの指揮下から離れ、シン運用下にある爆撃艦隊へと加わる。
爆撃艦隊はフリゲート艦隊であり、指揮型駆逐艦のデッドエンドがコマンダーシップを勤めている。
艦隊はそのまま再度ワープへと入り、船の遮蔽を開始する。
ホドもまた、ワープスピードを維持したまま亜空間へと入り込み姿を消した。
ワープトンネルの出口は同じであるため、座標が同一の亜空間にいても問題ないのだ。
『ワープアウトと同時にまずは前衛を片付ける。デッドエンドは前方にセンサージャミングを行え』
ワープアウトした爆撃艦隊の第一波は、遮蔽を解除してボムを発射する。
真っ直ぐに飛んでいくそれらは、即反応した王国軍の射撃によって撃墜されていくものの、デッドエンドがセンサー妨害波を広範囲照射した事で絶対数の減少を防ぐことができた。
爆炎が上がり、前衛艦隊の殆どがそれに呑まれて轟沈した。
『第一波、ワープイン』
ワープタイミングをずらす事で到着を遅させていた第二波が到達し、一斉に密度を減らした前衛艦隊にトルピードを発射する。
トルピードはシールドを突き破って装甲内部に貫通し、大爆発を引き起こす。
こうして、残った前衛も即座に撃滅された。
『第二波、ワープイン』
第二波は敵陣に飛び込む事なく、ワープインしていく。
そして、第三波に飛んできたのは…本陣。
今までの爆撃艦隊が飛んできていた場所ではなく、商業ハブを左右で挟撃する形で、ラトルスネイク級水雷戦艦・ベノムヴァイパー級水雷戦艦・バジリスク級水雷巡洋艦の大艦隊がワープアウトする。
『攻撃開始』
その命令と共に、十万を悠に超えるトルピードが商業ハブを襲った。
こんなもの、迎撃出来るわけがない。
その圧倒的圧力に、爆撃艦隊を追い回していた星系軍も近付けない。
トルピードは商業ハブを覆っていたシールドをものの数秒で消滅させ、その内部へと切り込んでいく。
外壁を破壊し、内部のマーケットを火で焼き払う。
倉庫が破壊され、無数の商品だったものが宇宙に流れ出る。
それらのコンテナも、執拗に狙われて使い物にならなくなって行く。
『ああ…すごい…!』
その頃、ホドの内部でゼクスは感涙していた。
自分を救った主人。
偉大なる存在だが、こんな美しい花火を惜しげもなく見せてくれたのだと。
『星系軍が集結している、爆撃艦隊は直ちに急行せよ』
そして、爆撃艦隊は別の任務…星系軍の殲滅に駆り出される。
爆撃艦隊は、統率力の高い艦隊相手には不利だが、統率力のない寄せ集め相手にはとにかく強くなるのである。
既に隊長格が数十名戦死しているため、王国軍に爆撃を防ぐ手段は無いだろう。
『商業ハブの動力源の破壊を確認、ドライ艦隊含め全艦隊は即座に離脱! 回収ポイントへ向かえ! …ゼクス、お前もだぞ』
『はっ…はい!』
商業ハブは中央部までトルピードでぶち抜かれ、動力源を失った。
惑星との重力のせめぎ合いに動力源を失った構造が耐えられなくなり、徐々に崩壊を始める。
それを尻目に、水雷艦隊は即座にワープイン。
足止めを行っていた爆撃艦隊も、それを契機にワープインした。
ホドは亜空間から飛び出して、ベノムヴァイパーの一隻に張り付く。
そこに待機していた城塞級旗艦、ケプラー・ウォッチャー級のジャンプポータルによって、艦隊は宙域を離脱。
こうして、突如行われた大戦力による補給線分断作戦は、見事に成功を収めたのであった。
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