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序章
008-事情聴取
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「マカリは飲むか?」
TRINITY.と名の入った船に案内された私は、応接間に通されそんな事を聞かれた。
「マカリ?」
「ん? もしや、知らないのか?」
「ああ」
マカリなんて飲み物は聞いたことが無い。
もしかして不自然だっただろうか?
「いや、悪い。好きな飲み物だったんだが…君が知らないのなら、恐らく帝国全体ではメジャーではないのかもしれないな」
「それはなんだ?」
「炭酸飲料さ…もっとも、無重力下じゃ注意が要ってね、俺以外はあまり飲まないが」
炭酸飲料か。
お兄ちゃんが、「宇宙で炭酸飲むと爆発するんだぜ」って言ってたし、重力制御空間だと飲めるんだろう。
「君は、どうやって飲食をするんだ?」
「言う必要はないだろう」
TRINITY.は海賊の持っていた情報によれば、国際警察のような存在だ。
The Reinforced Investigate Nation Initiative Team of Yalvena…がTRINITY.の略称であり、訳すとヤルヴェナ強化国家調査構想チームとなる。
そこは英語なんだ……とは思うけど、そもそもこの世界の言語がよくわからないのでスルー。
ようは、助けてくれたとはいえ相手は警察。
下手に正体を明かすと、逮捕か拘留か…それともその場で撃墜されるか。
犯罪者になるというのは、この宇宙では恐ろしいことなのだ。
「そう言わないでくれよ、あの海賊を撃滅してくれたのは君だろう」
「…!」
やっぱりね。
コンタクトした覚えがないのに追われているということは、あの残骸のブラックボックスか何かから、記録を回収された結果だと思う。
「君の目的は何だ?」
「言う必要があるか?」
「場合によっては、君を拘束しなければならないが?」
…むむ、それはまずい。
仕方ない。
私の偉大なる真の目的を明かさなければいけないか。
「…兄を、探している」
「兄? それは何だ? 強力な兵器か? それともお前の主人か?」
「偉大な人間だ。私の全てだ。…兄がいない世界に私は存在できない」
途端に、アレンスター警視達の顔が引き攣った。
ふふふ、お兄ちゃんの偉大さを思い知ったか。
「そ…そうか、それで……お前はどこの星系出身なんだ?」
「言う必要が?」
「こちらも法の番人だ、命令に従えない場合は君を拘留する」
「……出身星系は太陽系、ソル。恐らくは、この世界には存在しない星系だが」
仕方ないので情報を少しずつ開示していく。
「つまり…お前は、別次元からの侵略者か?」
「そうだと言ったら?」
「生かしてはおけないな、帝国どころか、この宇宙全体の敵だ」
「では、やめておこう」
実際この不気味なマスクのせいで、得体の知れない存在に見えるのは確かだ。
でも、私はただお兄ちゃんを探したいだけだ。
私だけがこの宇宙に来たわけじゃない、お兄ちゃんもきっとどこかにいるはず。
「どうすれば信用してもらえる?」
「お前の素性さえわかればいい、その仮面を脱いでもらえるか?」
「見返りは?」
私は即座に見返りを要求した。
どうせこいつらも、お兄ちゃん以外の人間のように、女だから女だからと私を見下すかもしれないから。
「……確実に、こちらが身分を保証できる方法を提案しよう」
「もう一声」
「あの船のデータを、一部秘匿して報告する。それでどうだ?」
「…まあ、それでいいだろう」
私は頷き、マスクの首部分にあるスイッチを操作する。
フードの内面に折り畳まれるようにして、マスクが消え去った。
「お、女…?」
「これで良かったか?」
私は堂々と胸を張った。
ないけど、胸。
TRINITY.と名の入った船に案内された私は、応接間に通されそんな事を聞かれた。
「マカリ?」
「ん? もしや、知らないのか?」
「ああ」
マカリなんて飲み物は聞いたことが無い。
もしかして不自然だっただろうか?
「いや、悪い。好きな飲み物だったんだが…君が知らないのなら、恐らく帝国全体ではメジャーではないのかもしれないな」
「それはなんだ?」
「炭酸飲料さ…もっとも、無重力下じゃ注意が要ってね、俺以外はあまり飲まないが」
炭酸飲料か。
お兄ちゃんが、「宇宙で炭酸飲むと爆発するんだぜ」って言ってたし、重力制御空間だと飲めるんだろう。
「君は、どうやって飲食をするんだ?」
「言う必要はないだろう」
TRINITY.は海賊の持っていた情報によれば、国際警察のような存在だ。
The Reinforced Investigate Nation Initiative Team of Yalvena…がTRINITY.の略称であり、訳すとヤルヴェナ強化国家調査構想チームとなる。
そこは英語なんだ……とは思うけど、そもそもこの世界の言語がよくわからないのでスルー。
ようは、助けてくれたとはいえ相手は警察。
下手に正体を明かすと、逮捕か拘留か…それともその場で撃墜されるか。
犯罪者になるというのは、この宇宙では恐ろしいことなのだ。
「そう言わないでくれよ、あの海賊を撃滅してくれたのは君だろう」
「…!」
やっぱりね。
コンタクトした覚えがないのに追われているということは、あの残骸のブラックボックスか何かから、記録を回収された結果だと思う。
「君の目的は何だ?」
「言う必要があるか?」
「場合によっては、君を拘束しなければならないが?」
…むむ、それはまずい。
仕方ない。
私の偉大なる真の目的を明かさなければいけないか。
「…兄を、探している」
「兄? それは何だ? 強力な兵器か? それともお前の主人か?」
「偉大な人間だ。私の全てだ。…兄がいない世界に私は存在できない」
途端に、アレンスター警視達の顔が引き攣った。
ふふふ、お兄ちゃんの偉大さを思い知ったか。
「そ…そうか、それで……お前はどこの星系出身なんだ?」
「言う必要が?」
「こちらも法の番人だ、命令に従えない場合は君を拘留する」
「……出身星系は太陽系、ソル。恐らくは、この世界には存在しない星系だが」
仕方ないので情報を少しずつ開示していく。
「つまり…お前は、別次元からの侵略者か?」
「そうだと言ったら?」
「生かしてはおけないな、帝国どころか、この宇宙全体の敵だ」
「では、やめておこう」
実際この不気味なマスクのせいで、得体の知れない存在に見えるのは確かだ。
でも、私はただお兄ちゃんを探したいだけだ。
私だけがこの宇宙に来たわけじゃない、お兄ちゃんもきっとどこかにいるはず。
「どうすれば信用してもらえる?」
「お前の素性さえわかればいい、その仮面を脱いでもらえるか?」
「見返りは?」
私は即座に見返りを要求した。
どうせこいつらも、お兄ちゃん以外の人間のように、女だから女だからと私を見下すかもしれないから。
「……確実に、こちらが身分を保証できる方法を提案しよう」
「もう一声」
「あの船のデータを、一部秘匿して報告する。それでどうだ?」
「…まあ、それでいいだろう」
私は頷き、マスクの首部分にあるスイッチを操作する。
フードの内面に折り畳まれるようにして、マスクが消え去った。
「お、女…?」
「これで良かったか?」
私は堂々と胸を張った。
ないけど、胸。
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