異世界の宇宙に転移しましたが、お兄ちゃんのいない宇宙には住めないので、お兄ちゃんを探す事にしました!〜男装ブラコン少女の宇宙冒険記〜

黴男

文字の大きさ
104 / 272
シーズン4-スリーパー防衛編

104-覚醒?

しおりを挟む
「ギャアアアアアッ!?」

悲鳴を上げて下がったのは、カナードの方だった。
片手を抑えて、何が起こったのか分からないような顔をしている。

「き、君は――――」
「どうしたの?」

その光景を見ていたファイスは、カルの変化に気づく。
息切れ一つ起こしていない。
不思議なほどに、落ち着いている。

「その力は......! 何で隠していたんだい?」
「力? 大したことはしていないよ」

直後。
地面に落ちていたニケが浮き上がり、カルの元まで飛んでいく。

「トレーニングで到達できる領域だから」
「どう考えても努力でたどり着ける領域ではないだろう!?」

カルはニケをキャッチして、エネルギーパックを交換する。

「私、ずっと思ってたんだ。これくらい強ければ、お兄ちゃんも私を見捨てないって――――でも、全然違うんだよね」

カナードはカルに向かって飛び出すが、カルが右腕を突き出した直後吹き飛ばされた。
その強靭な肉体から繰り出される跳躍力ですら、今のカルには及ばない。

「もっと強くならなきゃ.....もっと。もっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっと!!」

そう連呼するカルの顔は、最早人間の顔ではなかった。
あらゆる表情が抜け落ち、ただ無表情で、息を切らすことなく「もっと」と言っていた。

「君は――――異常者だ!」
「カナード。人のことは言えないよね」

直後。
カルはニケを上に向けて連射した。
天井の留め具が破損し、ディスプレイが落下してくる。
同時に、留め具によって固定されていた重い機材も。

「ファイス、危ない!」
「ぐうッ!?」

呆然と立っていたファイスは、カルによって吹き飛ばされ難を逃れる。
不思議なことに、崩落した天井は全てカルを避けて落ちていた。
そして。

「君は本当に....興味深いね......」

瓦礫に潰されたカナードは、完全に動く事が出来なくなっていた。
カルは近くの配線にカルセールを翳し、エネルギーを充填する。

「最後に言い残すことは?」
「.......僕と父親の関係を知りたいだろう? それから、僕の研究についても.....忘れないで、『BRSRB』というパスワードを、上のコンピューターに打ち込むんだ。データの書き出しと、この施設を自爆させる装置が起動する筈だ」

カナードは、打つ手がないと悟ったのか目を閉じた。
そしてカルは、引き金に手をかける。

「貴方とは、友達でいたかったな」
「僕もさ」

そして、銃声が響いた。
カルセールによる一撃は、カナードの頭を吹き飛ばし、死に至らしめた。

「........ファイス?」
「はっ」

ファイスは恐ろしかった。
見知った主人が、別の存在に変わってしまったように思えていたからだ。

「パスワードは覚えた?」
「はい」
「後は.....お願い......」

そして、カルの身体が力を失う。
ファイスが駆け寄って、抱きしめると....
小さな寝息が聞こえてきた。

「貴方様は.......」

ファイスは寝息を立てる主を見下ろし、もっと強くならねばと密かに決意するのだった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います

とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。 食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。 もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。 ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。 ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。

【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~

深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】 異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!

帰って来た勇者、現代の世界を引っ掻きまわす

黄昏人
ファンタジー
ハヤトは15歳、中学3年生の時に異世界に召喚され、7年の苦労の後、22歳にて魔族と魔王を滅ぼして日本に帰還した。帰還の際には、莫大な財宝を持たされ、さらに身につけた魔法を始めとする能力も保持できたが、マナの濃度の低い地球における能力は限定的なものであった。しかし、それでも圧倒的な体力と戦闘能力、限定的とは言え魔法能力は現代日本を、いや世界を大きく動かすのであった。 4年前に書いたものをリライトして載せてみます。

ダンジョンを拾ったので、スキル〈ホームセンター〉で好き勝手リフォームします

ランド犬
ファンタジー
 異世界に転移した佐々木悠人は、召喚でも勇者でもなかった。ただ迷い込んだ先で見つけたのは、王都を望む郊外にひっそりと口を開けるダンジョン。足を踏み入れた瞬間、発動したスキルは ――〈ホームセンター〉 壁を張り替え、部屋を増やし、畑や牧場、カフェまで作れる不可思議な力だった。 気ままに始めたリフォームは、もふもふなネコミミ獣人の少女との出会いをきっかけに、思わぬ変化を呼び始める。 拡張され続けるダンジョンの先で、悠人が作り上げる“住める迷宮”とは――?

あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~

深楽朱夜
ファンタジー
13人の神がいる異世界《アタラクシア》にこの世界を治癒する為の魔術、異界人召喚によって呼ばれた主人公 じゃ、この世界を治せばいいの?そうじゃない、この魔法そのものが治療なので後は好きに生きていって下さい …この世界でも生きていける術は用意している 責任はとります、《アタラクシア》に来てくれてありがとう という訳で異世界暮らし始めちゃいます? ※誤字 脱字 矛盾 作者承知の上です 寛容な心で読んで頂けると幸いです ※表紙イラストはAIイラスト自動作成で作っています

処理中です...