181 / 272
シーズン6-ビージアイナ戦線編
179-ハダウガゴ奪還戦-アステロイドベース内部戦(後編)
しおりを挟む
こうして、動力室まで辿り着いた私達だったが...
「激し過ぎる...突破出来ないな、このままだと」
「困りましたね...」
動力室前には、大型のガトリングパルスレーザー砲が三台配備されていて、廊下にいる味方全員を巻き込んで攻撃してきた。
手甲のシールドで持ち堪えてはいるけれど、密度のない射撃の隙間を縫うことは不可能で、突破は困難だ。
「一瞬でも途切らせられれば...」
私はちらりとケインを見る。
ケインのスーツは本当にどこからこんなモノ買ってきたんだと思うばかりの高性能で、5秒だけなら音速で動ける。
正確には30秒ほど音速で動作できる性能を持つけれど、ケインが付いていけるのが5秒までということだ。
「シトリン、動力室内の敵性反応は?」
『巨大熱源の付近のため測定は困難ですが、推定二十七人、そのうち二名が対近接武装を持っています』
二人なら、私とファイスでも抑えられるか。
それなら...
「ラビ、聞こえてるな? 全砲門を動力室に向けて撃て。シールドを貫通して、壁を破壊するくらいでいい」
『了解!』
動力室から直接止めれば、少なくとも誘爆で逆流したエネルギーがゲートに流れ込んで、ゲートが次元震を引き起こして私たちは帝国艦隊と一家心中...なんて事にはならないはずだ。
というか、外から撃てばいいのに突入したのも、不測の事態を避けるためだからね。
人類の予測の範疇を遥かに超えた技術が、なんとか人類の手で動かされている。
それは、いつ爆発してもおかしくない爆弾だという事だ。
その爆弾が爆発して無事で済まないなら、下手に壊すこともできない。
『撃つよ!』
「出力を絞れ、動力源を貫いたら全員死ぬぞ」
『もっちろんだよ!』
直後、衝撃と共に破砕音が響く。
そして、明らかに射線がズレた。
「ケイン、ファイスと俺を連れて走れ! 動力室の中まで!」
「う、うん!」
直後、急激な加速を私たちは体感する。
ソニックウェーブで壁面を吹き飛ばしつつ、ケインは一瞬で廊下を駆け抜けた。
音速を超えた感想は、意外と大丈夫だったということだけだ。
多分、私はパワードスーツを着ているからだろう。
ファイスはもともと音速で動けそうな種族だし。
「どうするの!?」
「ケインはアレを無力化しろ、ファイスは制御盤を制圧! 俺はこいつらを相手取る!」
ケインが電撃波放射機を使ってガトリング砲とその周囲の人員を無力化する間に、私は一気に壁面まで下がる。
「遠からん者は音にも聞け、近くば寄って目にも見よ! 俺こそがアドアステラ艦長、カル・クロカワだ! 帯剣せし勇士よ、俺と戦え!」
そう叫んで、比較的偉そうな二人組を挑発する。
彼らが気を取られている間に、その背後にファイスが着地した。
「(どうされますか)」
「(行け)」
私は手で合図する。
それを「来い」という意味で受け取った帝国兵は、一斉に私に襲いかかって来る。
その手に持つのはサーベル、私とは一見相性が悪いように見える。
「その挑戦、我等が受けようではないか!!」
サーベルを持った兵士が襲い掛かってくる。
ちなみに、サーベルの剣先は単分子構造になっていて、私の手甲のシールドが傷つくくらいには切れ味がある。
だけど.....
「太刀筋が甘い!」
二人程度の斬撃なんて、今更私には無意味。
本来は重武装兵を相手にする剣術のようだ。
即座に背後に回り込んで手刀を落とし、崩れ落ちる瞬間の体を土台に自分の体を持ち上げる。
そして、素早く両股でもう一人の首をがっちり締めて、倒れ込む瞬間に片腕で地面を掴んで叩きつける。
「主人!」
「大丈夫だ、もう終わった」
このサーベル、欲しいかも....
いや、銃があるのに剣持っててもしょうがないか。
どこかの超能力者みたいに、レーザー弾を剣で弾いたりなんて不可能だしね。
「電源を落とします」
ファイスはいつの間にかIDを奪っていた。
そのIDで、セキュリティを解除して動力を止めたらしい。
響いていた機械の駆動音が、急速に落ち着いていく。
その時。
「オラアァアア!!! .......って、終わってたかよ」
「オイ、帝国の騎士じゃねえか!? 強すぎだろ、カルさん....」
扉が吹き飛び、武装した傭兵と兵士たちが飛び込んできた、
何が何だか分からないけれど.....
「とりあえず、勝ったのか?」
「ああ!」
傭兵の一人が、そう同意したのであった。
「激し過ぎる...突破出来ないな、このままだと」
「困りましたね...」
動力室前には、大型のガトリングパルスレーザー砲が三台配備されていて、廊下にいる味方全員を巻き込んで攻撃してきた。
手甲のシールドで持ち堪えてはいるけれど、密度のない射撃の隙間を縫うことは不可能で、突破は困難だ。
「一瞬でも途切らせられれば...」
私はちらりとケインを見る。
ケインのスーツは本当にどこからこんなモノ買ってきたんだと思うばかりの高性能で、5秒だけなら音速で動ける。
正確には30秒ほど音速で動作できる性能を持つけれど、ケインが付いていけるのが5秒までということだ。
「シトリン、動力室内の敵性反応は?」
『巨大熱源の付近のため測定は困難ですが、推定二十七人、そのうち二名が対近接武装を持っています』
二人なら、私とファイスでも抑えられるか。
それなら...
「ラビ、聞こえてるな? 全砲門を動力室に向けて撃て。シールドを貫通して、壁を破壊するくらいでいい」
『了解!』
動力室から直接止めれば、少なくとも誘爆で逆流したエネルギーがゲートに流れ込んで、ゲートが次元震を引き起こして私たちは帝国艦隊と一家心中...なんて事にはならないはずだ。
というか、外から撃てばいいのに突入したのも、不測の事態を避けるためだからね。
人類の予測の範疇を遥かに超えた技術が、なんとか人類の手で動かされている。
それは、いつ爆発してもおかしくない爆弾だという事だ。
その爆弾が爆発して無事で済まないなら、下手に壊すこともできない。
『撃つよ!』
「出力を絞れ、動力源を貫いたら全員死ぬぞ」
『もっちろんだよ!』
直後、衝撃と共に破砕音が響く。
そして、明らかに射線がズレた。
「ケイン、ファイスと俺を連れて走れ! 動力室の中まで!」
「う、うん!」
直後、急激な加速を私たちは体感する。
ソニックウェーブで壁面を吹き飛ばしつつ、ケインは一瞬で廊下を駆け抜けた。
音速を超えた感想は、意外と大丈夫だったということだけだ。
多分、私はパワードスーツを着ているからだろう。
ファイスはもともと音速で動けそうな種族だし。
「どうするの!?」
「ケインはアレを無力化しろ、ファイスは制御盤を制圧! 俺はこいつらを相手取る!」
ケインが電撃波放射機を使ってガトリング砲とその周囲の人員を無力化する間に、私は一気に壁面まで下がる。
「遠からん者は音にも聞け、近くば寄って目にも見よ! 俺こそがアドアステラ艦長、カル・クロカワだ! 帯剣せし勇士よ、俺と戦え!」
そう叫んで、比較的偉そうな二人組を挑発する。
彼らが気を取られている間に、その背後にファイスが着地した。
「(どうされますか)」
「(行け)」
私は手で合図する。
それを「来い」という意味で受け取った帝国兵は、一斉に私に襲いかかって来る。
その手に持つのはサーベル、私とは一見相性が悪いように見える。
「その挑戦、我等が受けようではないか!!」
サーベルを持った兵士が襲い掛かってくる。
ちなみに、サーベルの剣先は単分子構造になっていて、私の手甲のシールドが傷つくくらいには切れ味がある。
だけど.....
「太刀筋が甘い!」
二人程度の斬撃なんて、今更私には無意味。
本来は重武装兵を相手にする剣術のようだ。
即座に背後に回り込んで手刀を落とし、崩れ落ちる瞬間の体を土台に自分の体を持ち上げる。
そして、素早く両股でもう一人の首をがっちり締めて、倒れ込む瞬間に片腕で地面を掴んで叩きつける。
「主人!」
「大丈夫だ、もう終わった」
このサーベル、欲しいかも....
いや、銃があるのに剣持っててもしょうがないか。
どこかの超能力者みたいに、レーザー弾を剣で弾いたりなんて不可能だしね。
「電源を落とします」
ファイスはいつの間にかIDを奪っていた。
そのIDで、セキュリティを解除して動力を止めたらしい。
響いていた機械の駆動音が、急速に落ち着いていく。
その時。
「オラアァアア!!! .......って、終わってたかよ」
「オイ、帝国の騎士じゃねえか!? 強すぎだろ、カルさん....」
扉が吹き飛び、武装した傭兵と兵士たちが飛び込んできた、
何が何だか分からないけれど.....
「とりあえず、勝ったのか?」
「ああ!」
傭兵の一人が、そう同意したのであった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
チート無しっ!?黒髪の少女の異世界冒険記
ノン・タロー
ファンタジー
ごく普通の女子高生である「武久 佳奈」は、通学途中に突然異世界へと飛ばされてしまう。
これは何の特殊な能力もチートなスキルも持たない、ただごく普通の女子高生が、自力で会得した魔法やスキルを駆使し、元の世界へと帰る方法を探すべく見ず知らずの異世界で様々な人々や、様々な仲間たちとの出会いと別れを繰り返し、成長していく記録である……。
設定
この世界は人間、エルフ、妖怪、獣人、ドワーフ、魔物等が共存する世界となっています。
その為か男性だけでなく、女性も性に対する抵抗がわりと低くなっております。
ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います
とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。
食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。
もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。
ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。
ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。
この世界、イケメンが迫害されてるってマジ!?〜アホの子による無自覚救済物語〜
具なっしー
恋愛
※この表紙は前世基準。本編では美醜逆転してます。AIです
転生先は──美醜逆転、男女比20:1の世界!?
肌は真っ白、顔のパーツは小さければ小さいほど美しい!?
その結果、地球基準の超絶イケメンたちは “醜男(キメオ)” と呼ばれ、迫害されていた。
そんな世界に爆誕したのは、脳みそふわふわアホの子・ミーミ。
前世で「喋らなければ可愛い」と言われ続けた彼女に同情した神様は、
「この子は救済が必要だ…!」と世界一の美少女に転生させてしまった。
「ひきわり納豆顔じゃん!これが美しいの??」
己の欲望のために押せ押せ行動するアホの子が、
結果的にイケメン達を救い、世界を変えていく──!
「すきーー♡結婚してください!私が幸せにしますぅ〜♡♡♡」
でも、気づけば彼らが全方向から迫ってくる逆ハーレム状態に……!
アホの子が無自覚に世界を救う、
価値観バグりまくりご都合主義100%ファンタジーラブコメ!
理想の男性(ヒト)は、お祖父さま
たつみ
恋愛
月代結奈は、ある日突然、見知らぬ場所に立っていた。
そこで行われていたのは「正妃選びの儀」正妃に側室?
王太子はまったく好みじゃない。
彼女は「これは夢だ」と思い、とっとと「正妃」を辞退してその場から去る。
彼女が思いこんだ「夢設定」の流れの中、帰った屋敷は超アウェイ。
そんな中、現れたまさしく「理想の男性」なんと、それは彼女のお祖父さまだった!
彼女を正妃にするのを諦めない王太子と側近魔術師サイラスの企み。
そんな2人から彼女守ろうとする理想の男性、お祖父さま。
恋愛よりも家族愛を優先する彼女の日常に否応なく訪れる試練。
この世界で彼女がくだす決断と、肝心な恋愛の結末は?
◇◇◇◇◇設定はあくまでも「貴族風」なので、現実の貴族社会などとは異なります。
本物の貴族社会ではこんなこと通用しない、ということも多々あります。
R-Kingdom_1
他サイトでも掲載しています。
クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双
四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。
「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。
教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。
友達もなく、未来への希望もない。
そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。
突如として芽生えた“成長システム”。
努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。
筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。
昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。
「なんであいつが……?」
「昨日まで笑いものだったはずだろ!」
周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。
陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。
だが、これはただのサクセスストーリーではない。
嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。
陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。
「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」
かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。
最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。
物語は、まだ始まったばかりだ。
最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~
ある中管理職
ファンタジー
勤続10年目10度目のレベルアップ。
人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。
すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。
なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。
チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。
探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。
万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。
拾われ子のスイ
蒼居 夜燈
ファンタジー
【第18回ファンタジー小説大賞 奨励賞】
記憶にあるのは、自分を見下ろす紅い眼の男と、母親の「出ていきなさい」という怒声。
幼いスイは故郷から遠く離れた西大陸の果てに、ドラゴンと共に墜落した。
老夫婦に拾われたスイは墜落から七年後、二人の逝去をきっかけに養祖父と同じハンターとして生きていく為に旅に出る。
――紅い眼の男は誰なのか、母は自分を本当に捨てたのか。
スイは、故郷を探す事を決める。真実を知る為に。
出会いと別れを繰り返し、命懸けの戦いを繰り返し、喜びと悲しみを繰り返す。
清濁が混在する世界に、スイは何を見て何を思い、何を選ぶのか。
これは、ひとりの少女が世界と己を知りながら成長していく物語。
※週2回(木・日)更新。
※誤字脱字報告に関しては感想とは異なる為、修正が済み次第削除致します。ご容赦ください。
※カクヨム様にて先行公開(登場人物紹介はアルファポリス様でのみ掲載)
※表紙画像、その他キャラクターのイメージ画像はAIイラストアプリで作成したものです。再現不足で色彩の一部が作中描写とは異なります。
※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる