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シーズン6-ビージアイナ戦線編
180-軽い勲章と未知なる敵
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こうして、帝国軍との戦いはとりあえずの終わりを告げた。
ゲートが停止したアステロイドベースから、帝国の高速シャトルが脱出、それを見て士気が崩壊した帝国軍は瓦解、そこに帝国騎士団と傭兵の突入しなかった者達が斬り込み、王国軍がそれに続くことで追い詰め、殲滅したらしい。
「大役を良くぞやってのけた」
「.....アーラム殿下」
そして私たちは今、どこに居るのかと言えば。
王国騎士団の式典艦の内部で、もう何個目かもわからない勲章を貰っていた。
いや、実際には三個目なんだけど。
今回皆は一つ、私は二つ貰っている。
そして、最後の一つは......
「......便宜上、我は望んでこの戦いに出たわけではなく、巻き込まれたという形になっている。それ故.....我が覇道が! 途切れることなく続く道を作り! 輝かしき未来を守ったこの男に.......男に、王剣護国勲章を与えよう! ......本当は騎士爵をやりたかったのだが、身分の定かではない者にそれは与えられんと反対されてしまってな......この者こそ、真の騎士である! 王国の英雄たる資格を持つ者である!」
「身に余る光栄でございます、殿下」
私は練習した礼を以てクロス.....アーラムに応えた。
クロスは微妙な表情をしていたが、膝を突く私に「立て」と手で合図した。
「勲章は基本的にはデータ形式だが、これは違う。この勲章自体が、王国の秘匿された技術で作られているのでな。売ったり、盗まれたとしても、他者がこれを振りかざすことは出来ぬよ」
振りかざした瞬間に、クロスにバレて呼び出されるからだろうね。
私も携帯端末でこっそりスキャンするが、スキャン波が弾かれている。
「王剣護国勲章は、本来は古来の騎士が、爵位の代わりに受け取るために希望して作られた勲章なのだ、これが我の誠意――――お前はそうは思ってはおらぬようだが、男であろうと、女であろうと......身分の差など関係ない、我の命令一つで死へ向かってくれたカル、お前は本当の意味での”騎士”であると断言しよう」
オルトス王国は、騎士の国。
騎士爵に当たる勲章を貰ったという事は、私も晴れて女騎士かな?
『女騎士といえば酷い目に遭わされるのがテンプレート的展開だが、そもそも女騎士ともなると、かなりユニークな存在となる。虜囚になる前に自害するか、味方に守られることの方が多いだろうな』
アニメでそんな展開を見た後のお兄ちゃんはそう言っていた。
それなら、私も捕まったら自害すべきなんだろうか....?
「では! これより、勲章の授与式を終える! 作戦の参加者には後々報酬が配給される! ――――王室輜重隊の到着を待て!」
コソコソ喋るのをやめ、クロス....いや、アーラムは王太子として、式典の終わりを宣言したのであった。
...ちなみに、報酬とは王室所蔵のお酒だったみたいだ。
「みんな、お疲れ様」
「はい」
「疲れたねー」
「うん!」
「疲れました....」
「ですが、勝てました」
『ありがとうございます』
船に帰った私は、皆を労った。
そして、同時に、次の目的も明かす。
「早速で悪いけど、傭兵ギルドから私たちに指定依頼が出てる」
「それは一体?」
「Ve’zとエミドの調査依頼.....わかる?」
「分かるよ! どっちもとんでもない組織だし....」
ラビは知識のない私たちに、「Ve’z」と「エミド」について解説してくれた。
「まず、Ve’zって言うのは、大昔からこの宇宙にいる存在だね。私たちより遥かに進んだ技術力で、交戦して生還した艦隊は一つもない」
「それだけか? 目的は? 人間はいないのか?」
「宇宙を飛んでいるのは全部自動ドローンみたいな存在で、目的は誰にも分らないんだって.....だけど、攻撃したら必ず反撃してくるし――――ワープ妨害も持ってるんだ」
「えっ?」
ワープ妨害って、この宇宙じゃ知られてない要素のように思えていたのだけど。
「ワープ技術だけじゃなくて、ワームホールを作ってどこにでも現れるし、姿を完全に隠したままワープしたり、どんなセキュリティも一瞬で突破しちゃうほどの技術を持ってるんだよ」
「じゃあ、エミドは?」
「うーん......こっちは、やりすぎなTRINITY.って感じ」
ラビの話では、エミドとは「秩序」を守るために動く勢力であるらしい。
出自は不明、一説では別の世界からやって来たとか。
「.....昔、アンデュラス合衆国っていう国があってね? 今じゃ情報操作で欲深い国って事にされてるんだけど、科学と化学を愛して、それを向上させる事に心力を注ぐ国家だったんだけど......」
エミドの艦の残骸から技術をサルベージ、それを研究した結果、兵器を完成させてしまった。
その兵器を発表したタイミングで、「宇宙の秩序たるパワーバランスを乱した」とエミドに宣言し返され、首都惑星が破壊された事で、国家は徐々に形を失って、他国に併呑される形で消滅したのだそうだ。
「惑星を.......破壊....? そんな勢力が、Ve’zと戦い始めたって事?」
「どちらが先に仕掛けたのかは分からないけれど、今まで起きなかったことだからね、傭兵ギルド側も警戒してるんじゃない?」
「成程ね.......じゃあ」
私は航路を上部スクリーンに表示して、言った。
「行こう、ラタトヴィアへ」
ラタトヴィア星系。
Ve’z領域に接する「帰還限界点」領域の中央星系へと。
ゲートが停止したアステロイドベースから、帝国の高速シャトルが脱出、それを見て士気が崩壊した帝国軍は瓦解、そこに帝国騎士団と傭兵の突入しなかった者達が斬り込み、王国軍がそれに続くことで追い詰め、殲滅したらしい。
「大役を良くぞやってのけた」
「.....アーラム殿下」
そして私たちは今、どこに居るのかと言えば。
王国騎士団の式典艦の内部で、もう何個目かもわからない勲章を貰っていた。
いや、実際には三個目なんだけど。
今回皆は一つ、私は二つ貰っている。
そして、最後の一つは......
「......便宜上、我は望んでこの戦いに出たわけではなく、巻き込まれたという形になっている。それ故.....我が覇道が! 途切れることなく続く道を作り! 輝かしき未来を守ったこの男に.......男に、王剣護国勲章を与えよう! ......本当は騎士爵をやりたかったのだが、身分の定かではない者にそれは与えられんと反対されてしまってな......この者こそ、真の騎士である! 王国の英雄たる資格を持つ者である!」
「身に余る光栄でございます、殿下」
私は練習した礼を以てクロス.....アーラムに応えた。
クロスは微妙な表情をしていたが、膝を突く私に「立て」と手で合図した。
「勲章は基本的にはデータ形式だが、これは違う。この勲章自体が、王国の秘匿された技術で作られているのでな。売ったり、盗まれたとしても、他者がこれを振りかざすことは出来ぬよ」
振りかざした瞬間に、クロスにバレて呼び出されるからだろうね。
私も携帯端末でこっそりスキャンするが、スキャン波が弾かれている。
「王剣護国勲章は、本来は古来の騎士が、爵位の代わりに受け取るために希望して作られた勲章なのだ、これが我の誠意――――お前はそうは思ってはおらぬようだが、男であろうと、女であろうと......身分の差など関係ない、我の命令一つで死へ向かってくれたカル、お前は本当の意味での”騎士”であると断言しよう」
オルトス王国は、騎士の国。
騎士爵に当たる勲章を貰ったという事は、私も晴れて女騎士かな?
『女騎士といえば酷い目に遭わされるのがテンプレート的展開だが、そもそも女騎士ともなると、かなりユニークな存在となる。虜囚になる前に自害するか、味方に守られることの方が多いだろうな』
アニメでそんな展開を見た後のお兄ちゃんはそう言っていた。
それなら、私も捕まったら自害すべきなんだろうか....?
「では! これより、勲章の授与式を終える! 作戦の参加者には後々報酬が配給される! ――――王室輜重隊の到着を待て!」
コソコソ喋るのをやめ、クロス....いや、アーラムは王太子として、式典の終わりを宣言したのであった。
...ちなみに、報酬とは王室所蔵のお酒だったみたいだ。
「みんな、お疲れ様」
「はい」
「疲れたねー」
「うん!」
「疲れました....」
「ですが、勝てました」
『ありがとうございます』
船に帰った私は、皆を労った。
そして、同時に、次の目的も明かす。
「早速で悪いけど、傭兵ギルドから私たちに指定依頼が出てる」
「それは一体?」
「Ve’zとエミドの調査依頼.....わかる?」
「分かるよ! どっちもとんでもない組織だし....」
ラビは知識のない私たちに、「Ve’z」と「エミド」について解説してくれた。
「まず、Ve’zって言うのは、大昔からこの宇宙にいる存在だね。私たちより遥かに進んだ技術力で、交戦して生還した艦隊は一つもない」
「それだけか? 目的は? 人間はいないのか?」
「宇宙を飛んでいるのは全部自動ドローンみたいな存在で、目的は誰にも分らないんだって.....だけど、攻撃したら必ず反撃してくるし――――ワープ妨害も持ってるんだ」
「えっ?」
ワープ妨害って、この宇宙じゃ知られてない要素のように思えていたのだけど。
「ワープ技術だけじゃなくて、ワームホールを作ってどこにでも現れるし、姿を完全に隠したままワープしたり、どんなセキュリティも一瞬で突破しちゃうほどの技術を持ってるんだよ」
「じゃあ、エミドは?」
「うーん......こっちは、やりすぎなTRINITY.って感じ」
ラビの話では、エミドとは「秩序」を守るために動く勢力であるらしい。
出自は不明、一説では別の世界からやって来たとか。
「.....昔、アンデュラス合衆国っていう国があってね? 今じゃ情報操作で欲深い国って事にされてるんだけど、科学と化学を愛して、それを向上させる事に心力を注ぐ国家だったんだけど......」
エミドの艦の残骸から技術をサルベージ、それを研究した結果、兵器を完成させてしまった。
その兵器を発表したタイミングで、「宇宙の秩序たるパワーバランスを乱した」とエミドに宣言し返され、首都惑星が破壊された事で、国家は徐々に形を失って、他国に併呑される形で消滅したのだそうだ。
「惑星を.......破壊....? そんな勢力が、Ve’zと戦い始めたって事?」
「どちらが先に仕掛けたのかは分からないけれど、今まで起きなかったことだからね、傭兵ギルド側も警戒してるんじゃない?」
「成程ね.......じゃあ」
私は航路を上部スクリーンに表示して、言った。
「行こう、ラタトヴィアへ」
ラタトヴィア星系。
Ve’z領域に接する「帰還限界点」領域の中央星系へと。
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