異世界の宇宙に転移しましたが、お兄ちゃんのいない宇宙には住めないので、お兄ちゃんを探す事にしました!〜男装ブラコン少女の宇宙冒険記〜

黴男

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シーズン8.5-エミドの少女と旅のアレコレ

223-荒事

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翌日。
私達はクロイセンⅢにある商業ステーションに入港していた。
ここは商業ステーションなので、まあ見るべきものは何もない。
じゃあ、どうして入港したのかと言うと。

「頼もう!」
「......」

私とユルトは、ユルトの部下数人とファイスを引き連れて、傭兵ギルドの支部に入った。
このクロイセンでの傭兵の立ち寄る場所と言えばここであり、私はユルトが何をするつもりかなんとなくわかった。

「おいおい姉ちゃん、こんな場所に何の用事だァ?」
「姉ちゃん....? 私はユルトだ」
「やれやれ....」

私はため息を吐く。

「おい、兄ちゃん。あんまり調子に乗んじゃねえぞ、ここで傭兵やりてえなら、俺に逆らうんじゃねえ。ケラカ人なんか連れやがって――――」

こいつどうしようかなぁ、と思った直後。
ファイスが男を掴み、持ち上げていた。

「があああっ!? こいつ、速――――」
「ファイス....」
「いけませんでしたか?」
「いけないが....まあ、いいだろう」

ユルトのよく分かんない趣味に付き合わされてるので、ノリノリでそれに乗るしかない。

「君の名前は今知ったよ、シルバー傭兵のフロッツ・ベインか」
「シルバー? 有象無象か....」
「こいつ....あだだだだ!」
「姐さん、流石にやばいっす!」
「ああ、離してほしいな」
「だとさ、ファイス」
「はっ」

ファイスが男を床に降ろすと同時に、私達はランクエンブレムのホログラムを投影した。
私はプラチナ、ユルトはアプレンティス傭兵のものである。

「さあ、道を開けたまえ」
「(やる事が情けない....)」

そう思いつつ、私達はシルバー傭兵の横を通り抜ける。

「次からは、喧嘩を売る相手は選んだ方がいいぜ」
「......クッ」

そして、とどめを刺すのがグーンズフリートの中の一人、ダレイン・イオスだった。
ハゲ面の気のいい大人って感じの人だけど、ちょっとユルトに対する矢印が重い気がする。

「で、何をするんだ?」
「依頼を受ける。クロイセンからスレイムへの輸送依頼があれば、少しは貢献度を稼げるからな」
「そういえば、そんなのがあったな」

貢献度。
これが一か月ごとに設定されていて、ダイヤ以上の傭兵はこれを満たせない場合降格になる。
私達は気にする必要がないけどね。

「ケラカで稼いだんじゃないのか?」
「超過分は持ち越せるのだよ、なら稼ぐのは悪い事ではないだろう?」
「そうしたいならするといい、俺は関与しない」
「ふふふ」

ユルトは謎に笑う。
私はそれを不気味に思いながら、依頼リストに目を通すのだった。



船に戻ると、ファイスが溜息を吐く。

「ファイス、今日はらしくなかったね」
「すみません」
「私は別に殺気を向けたわけじゃないんだけど、それを勘違いしちゃったかな?」
「.....はい、恥ずかしながら」

不快だな、くらいには思ったんだけど。
それを読めるほどに、ファイスは鋭敏になってきている。

「それは多分、成長の証だよ。ファイスは多分、人が出す匂いで感情が読めるんだ」
「....そうなのですか?」
「よくは分からないけど、自分の意志で行動したんじゃないんなら、そうじゃないの?」

匂いは感情によって違う、そんな学説をどこかで読んだ気がする。
ファイスの成長を感じつつ、私達はまた旅立つのであった。
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