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シーズン9-オストプライム編(後編)
251-復讐を胸に
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二人は地下に消えた。
もう追う事は出来ない。
……だけど、焦燥に駆られてはいけない。
お兄ちゃんならこういう時、きっとこう言っただろう。
『落ち着け流歌、一見絶望的に思える状況でも、そこには無数の解決策が残されている。だから、思考を整理しろ、感情に囚われるな。冷えた頭で、解決策を探せ』
と。
だから私は、この瞬間において二人の事を一度隔離して考える事にする。
二人の居場所を探しつつ海賊を潰すにはどうすればいいか?
まず、TRINITY.に話を付ける。
次に、グーンズフリートに協力を依頼する。
…..だけど、これだけじゃ足りない。
裏社会を把握するには情報がいる。
つまりは、私はTRINITY.とグーンズフリートに対して、協力を依頼するのと同時に....
「ラビ、長距離通信を使う、経由サーバーを指定してくれ」
「うん」
私はラビに頼んで、ブライトエッジ子爵家に直接回線を繋ぐ。
アポはないけど、プラチナ傭兵なら一蹴されるという事はないはずだ。
『はい、ブライトエッジ子爵家です.....おや、貴方様は......カル様ですね、お館様に何か御用ですか?』
「俺の事を知っているのか?」
通信に出たのは、初老の男だった。
面識がないのに私の事を知っているという事は、アレンスターと仲がいいのだろうか?
『はい、お館様のお気に入りでいらっしゃるでしょう』
「そうか......それで、アポなしだが、コンタクトは取れるか?」
『それが....お館様は今、TRINITY.の業務で遠征されておりまして....』
まずい.....アレンスターが現状、TRINITY.で唯一のコネなんだけど。
会えないと計画が破綻する。
「どこにいるか、話せるか?」
『ええ、オストプライムに赴任しております、御存知ですか?』
「......ああ、今そこにいるからな....」
『それは良かったです、お館様の連絡先は送信しておきます、では』
それだけ言うと、通信は切れた。
同時に、コードが送られてきた。
私はそれを入力して、アレンスターに向けて発信した。
『もしもし......なっ、カルか!』
「ああ、そうだ。元気なようだな」
『元気なもんか、警視正に格上げされて日々激務に追われている最中だ.....それで、何か用か? その雰囲気、ただ連絡したいからしたという訳じゃないだろう?』
流石はアレンスター。
直ぐに気付くなんて、やっぱり何か光るものがあるような気がする。
「.....仲間が海賊の仲間に誘拐された」
『何ッ!? 待ってろ、すぐに強制捜査の準備を....』
動揺するアレンスターに、私は手で制止をする。
それを見たアレンスターは、直ぐに動揺を収めて私の方に向き直る。
『......事情があるんだな?』
「そうだ、俺はこれから、裏社会で活動する」
『おいおい、冗談きついぜ?』
「勿論、非合法なのは理解している。だけど、あの二人を無事なまま奪還するには、これしかない。アレンスター、頼み事は.....」
『ああ、言わなくても分かったぜ、派手に動くな、ってんだろう?』
「ああ、そうだ」
『いいぜ。恩も借りあるしな、どっちか一つなら協力する気はないが、二つ揃っているならな』
「悪いな.......」
『ただし、一つ。一つだけだ』
アレンスターは一瞬瞑目し、すぐに眼を開いた。
画面越しだというのに、その視線は私を真っすぐにとらえていた。
『裏社会は、ドロドロとした粘液のようなものだ。利益を得るつもりで、利用するつもりで近づいた結果、闇に染まってしまう事例を何度も見た。だから、カル。お前だけは、そうなってほしくない』
「ああ」
『大丈夫だとは思うがな、仲間がいるだろうし』
「すまない」
『さっきも言っただろ、恩も借りもある。俺にできる事をやるだけやる、それでいい』
アレンスター、人が出来ている......
とても人を勝手に決闘に誘ったり、ナンパしたり下心のあるご飯に誘ったりする人間と同じ人間とは思えない....
まあ、過ぎた事かな?
とにかく、アレンスターは抑えた。
次はグーンズフリート....ユルトと交渉だ。
もう追う事は出来ない。
……だけど、焦燥に駆られてはいけない。
お兄ちゃんならこういう時、きっとこう言っただろう。
『落ち着け流歌、一見絶望的に思える状況でも、そこには無数の解決策が残されている。だから、思考を整理しろ、感情に囚われるな。冷えた頭で、解決策を探せ』
と。
だから私は、この瞬間において二人の事を一度隔離して考える事にする。
二人の居場所を探しつつ海賊を潰すにはどうすればいいか?
まず、TRINITY.に話を付ける。
次に、グーンズフリートに協力を依頼する。
…..だけど、これだけじゃ足りない。
裏社会を把握するには情報がいる。
つまりは、私はTRINITY.とグーンズフリートに対して、協力を依頼するのと同時に....
「ラビ、長距離通信を使う、経由サーバーを指定してくれ」
「うん」
私はラビに頼んで、ブライトエッジ子爵家に直接回線を繋ぐ。
アポはないけど、プラチナ傭兵なら一蹴されるという事はないはずだ。
『はい、ブライトエッジ子爵家です.....おや、貴方様は......カル様ですね、お館様に何か御用ですか?』
「俺の事を知っているのか?」
通信に出たのは、初老の男だった。
面識がないのに私の事を知っているという事は、アレンスターと仲がいいのだろうか?
『はい、お館様のお気に入りでいらっしゃるでしょう』
「そうか......それで、アポなしだが、コンタクトは取れるか?」
『それが....お館様は今、TRINITY.の業務で遠征されておりまして....』
まずい.....アレンスターが現状、TRINITY.で唯一のコネなんだけど。
会えないと計画が破綻する。
「どこにいるか、話せるか?」
『ええ、オストプライムに赴任しております、御存知ですか?』
「......ああ、今そこにいるからな....」
『それは良かったです、お館様の連絡先は送信しておきます、では』
それだけ言うと、通信は切れた。
同時に、コードが送られてきた。
私はそれを入力して、アレンスターに向けて発信した。
『もしもし......なっ、カルか!』
「ああ、そうだ。元気なようだな」
『元気なもんか、警視正に格上げされて日々激務に追われている最中だ.....それで、何か用か? その雰囲気、ただ連絡したいからしたという訳じゃないだろう?』
流石はアレンスター。
直ぐに気付くなんて、やっぱり何か光るものがあるような気がする。
「.....仲間が海賊の仲間に誘拐された」
『何ッ!? 待ってろ、すぐに強制捜査の準備を....』
動揺するアレンスターに、私は手で制止をする。
それを見たアレンスターは、直ぐに動揺を収めて私の方に向き直る。
『......事情があるんだな?』
「そうだ、俺はこれから、裏社会で活動する」
『おいおい、冗談きついぜ?』
「勿論、非合法なのは理解している。だけど、あの二人を無事なまま奪還するには、これしかない。アレンスター、頼み事は.....」
『ああ、言わなくても分かったぜ、派手に動くな、ってんだろう?』
「ああ、そうだ」
『いいぜ。恩も借りあるしな、どっちか一つなら協力する気はないが、二つ揃っているならな』
「悪いな.......」
『ただし、一つ。一つだけだ』
アレンスターは一瞬瞑目し、すぐに眼を開いた。
画面越しだというのに、その視線は私を真っすぐにとらえていた。
『裏社会は、ドロドロとした粘液のようなものだ。利益を得るつもりで、利用するつもりで近づいた結果、闇に染まってしまう事例を何度も見た。だから、カル。お前だけは、そうなってほしくない』
「ああ」
『大丈夫だとは思うがな、仲間がいるだろうし』
「すまない」
『さっきも言っただろ、恩も借りもある。俺にできる事をやるだけやる、それでいい』
アレンスター、人が出来ている......
とても人を勝手に決闘に誘ったり、ナンパしたり下心のあるご飯に誘ったりする人間と同じ人間とは思えない....
まあ、過ぎた事かな?
とにかく、アレンスターは抑えた。
次はグーンズフリート....ユルトと交渉だ。
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