2度目の結婚は貴方と

朧霧

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リイベル会長

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 朝早くからジルベルトが陽気に執務室に入ってきた。

「おはよう! レオ。昨日はどうだった?」

「おはよう。朝早くからその話題か…」

「えっ、もしかしたらリオナちゃんに振られちゃった?」

「分からない。でもちゃんと告白はした。嫌だとは言ってなかったし返事は考える時間が欲しいと言われた」

「へぇー、即答でお断りされなかったんだね。良かったなレオ」

「良かったのか? 良かったのか…。まぁ、断られても諦める自信はないが」

「初恋も大変だねぇ。ところでリオナちゃんには結婚の話はしたの?」

「あぁ、考えなくて良いからリオナの気持ちを受け入れると伝えてある」

「リオナ? レオ、いつの間に呼び捨て」

「お前が言うな! 俺は本人にちゃんと許可をもらったから」

「うわぁ、嫉妬。レオ面白いぞ」

「ジル、変に絡むな」

「はいはい。それで? 団長はレオと呼ばれているのかな?」

「レオナードさん…。歳上は呼び捨てにしないそうだ」

「あはは! レオナードさんね」

「うるさいぞ。お前だって貴族間ではジルベルト様とか呼ばれているじゃないか」

「リオナに貴族だからレオナード様の方が良いのかと聞かれたから、さん付けにしてくれと頼んだんだよ」

「レオナードさん、仕事始めるわ。じゃ」

はぁぁ…、すっかりジルベルトに揶揄われてるな。リオナの返事も気になってしまうけど焦らせない方がいいだろう。大丈夫か? 俺。



団長さんに告白されてから7日ほど経っていよいよサハリー商会の会長さんと会う日が近づいてきた。頭の中では会長さんへの話題提供が占めていて団長さんのことは保留にしてある。

「リオナ、サハリー商会の会長さんと会う日なんだけど明後日はどうかしら? もちろん私も同席するわ」

「はい、大丈夫です。ミシェルさんも同席してくださるのなら心強いです。よろしくお願いします」

サハリー商会の会長さんも入国しているから視察団も入国しているはず。団長さんも忙しいだろうから丁度良かった。


2日後、サハリー商会の会長さんがマララ商会を訪ねてきた。私がお会いするのは4回目。会長さんは40代の優しそうなおじさまだ。
ミシェルさんは以前、初対面のあと「表面は優しそうだけどかなりやり手よ」と笑いながら教えてくれた。応接室に入るとリイベル会長さんと秘書のチルさんがいた。

「ご無沙汰しております。リイベル会長、チルさん」

「ミシェル会長、リオナ、こちらこそご無沙汰しております」

「はい、今日はよろしくお願いします」

こうして商談が始まった。

「リイベル会長、早速ですが今回はわたしが担当しておりますお客様からの要望でイルベナ国で使われているクロスボウを輸入させていただきたいです」

「ほう、クロスボウね。種類はどのような物ですかな?」

「この種類のクロスボウです。数量はお試しで20ほど。矢に関してはクロスボウに見合う数量でお願いします」

「イルベナのクロスボウは殺傷能力が他国の物よりかなり高くてね。使用目的は?」

「はい、使用目的は人に害のある獣の駆除です」

「獣ねぇ。ダイナダスにもクロスボウがあると思うけどそれでは駆除できないのかな?」

「いえ、現在も使用しております。イルベナのクロスボウの方が殺傷能力がありますので駆除の際の安全面を考えての購入になります。いかがでしょうか?」

「ところでリオナ。今回はどのような話題を提供してくれるのかな? リオナに会うのを楽しみにしていたからさ」

「リイベル会長のご質問には私の想像上ですができるだけお答えします」

「そうか、それは楽しみだな。早速時間が勿体ないから始めようか。クロスボウの件は後でチルと話をしてくれ」

「ありがとうございます! よろしくお願いします」

ミシェルさんは予定があるので退出した。残されたのはリイベル会長、チルさん、私の3人だ。

「リイベル会長、今回はどのようなご質問でしょうか?」

「いくつかあるんだけどね。まずは一番聞きたいことからにしようかな」

うーん、いくつもあるのか…。今日も長くなりそうだな。

「実はね、貴族の奥様達から悩みを受けていて女性ならではのことだから困っているんだよ」

「女性ならではのこととは?」

「なかなか子供に恵まれない悩みでね。貴族にとっては実子が生まれないと養子よりも血筋が重要だから跡継ぎ問題は深刻なんだよ」

「医学的な問題ですと安易にお答えしかねます。私は素人で責任も持てませんし…」

「責任なんてとんでもない。ただ違う視点の見方がないかと考えてね。リオナなら何か良い案があるかと期待していたんだよ」

「それは商会のお仕事ではないような…」

「勿論、医者に診てもらうのが最善だから奥方達もかかりつけの医師に相談しているらしいが子宝に恵まれる商品があれば探して欲しいと頼まれたんだ。私の方でも色々探してはいるんだけどね、それが難しいのだよ」

「そうですか…。ではお話する前に約束してください。私は医学も学んだことがありません。あくまでも素人で個人的な考えや本で読んだことが参考です。話の内容の出所や、個人名は言わないでいただけますか? 犯罪に繋がったり騒がれたりするのも困るので」

「助かるよ。約束するから話してくれるかい?」

「承知しました」

こうして私は子宝に恵まれる個人的な知識を話すことになってしまった…。

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