2度目の結婚は貴方と

朧霧

文字の大きさ
13 / 35

子宝の悩み

しおりを挟む
 あまり前世の内容を話すわけにはいかないので慎重に話しをすることにした。実際、不妊治療は経験済みだが医師だったわけではない。前世の医学でも子宝に恵まれない人は大勢いるのに…。

「先に申し上げておきますが子宝に恵まれない原因は人それぞれ違うと思います。女性側のみ原因だと思われていますか?」

「大体がそうだろうね。男性側も問題あるのかい?」

「それもあるかと考えます。男性側も元々子宝を作る能力が低い方や高熱が続く病気などにかかると子種が無くなったりするようです。太りすぎなどの食生活も男性側の能力が低くなったりすると思います」

「そうなのか…それで女性側は?」

「女性側の原因は男性よりも複雑なことが多いと思われます。女性の体内には男性と同じで子種の元を作るところと、子供を育てるところに分かれています。繋がっておりますがそれぞれの病もあると思いますよ。病の種類もたくさんあるとすると医学的なことなので分かりません」

「リオナはどのようにしてそんなことを知ったの?」

「大勢の人に話を聞いたり他国の本を見たりして考えたので。多分? まぁ、次の話へ進みましょう」

危ない危ない…、冷や汗をかいてきた。チルさんもメモを取り始めているから余計に緊張する。

「医学的なことはお医者様の分野ですので分かりませんが、自分が努力できる範囲のことをお答えしますね。女性の貴族の方々はどのような生活を送っているのでしょうか? 例えば平民の私の場合は働きながら家事もこなして一日中動いております」

「そうだな、身の回りのことはメイドが全て行い家事も勿論しない。それに外出も自由にあまりしてない方が多いかな。
動くことといえば社交でダンスくらいか? 言われてみればあまり動いている印象はないな」

「そうですか…。これはあくまでも自論なのですが人の体には血が流れていますよね。この流れが重要で血は人の体を良くすることができるものが入っていると考えます。体の中の血が上手く回らないと問題がでてくることもあると思います。子宝に恵まれないのであれば流れを良くするのも一つの方法かと。
特に女性は手足の先が冷たくなってしまう人が多いのですが血の流れが悪いからで厚着をしても良くなりません」

「どうすれば血の流れが良くなるの?」

「方法は人それぞれですが良いと思われるのは運動、つまり動くことです。最も良いことは歩いたり家事をしたりする運動や労働ですね。本来、人は動くことが当たり前で便利な物や人に頼って体に必要なことをしていないと思います。
歩くのもただ歩くのではなく汗をかく程度の速さで、できるだけ長い時間です。椅子に座ってばかりや寝てばかりだと血の流れは悪くなる一方です。
でも持病がある人はしない方がいいので注意してくださいね」

「でもなぁ、屋敷の外に出るのはほとんど馬車でしか移動しないからな。庭の散歩や買い物くらいか? あまり動いているのも淑女としてはどうかと思われるから難しいな」

「それでは血の流れを良くできません。そのような場合には自室でできる運動をお勧めします。例えば階段くらいの高さに見立てた台を用意してその場で昇り降りをするだけでも運動になりますよ」

「なるほど! それは良い案だね。他には?」

「運動の話以外だと身体を温める食事を取ること。地面の下に生えている野菜を積極的に取ると良いです。本当はショウガがあれば料理にも飲み物にも使えて体を温める効果もあるから良いのですが」

「ショウガ? 聞いたことがないな…」

「はい、私もダイナダスでは見たことがありません。ガーリックのように土の中に生える部分なのですが、もしかしたらジンジャーという名前が使われているかもしれません。薬草などと同じように使われる場合もあります。黒い髪と瞳の国の方々なら何か分かるかもしれませんが見つけるのも大変なので体を温めて血の流れをよくする薬草などを使うのも良いかもしれません」

「そうだな、見つけるのも時間がかかりそうだし薬草も探してみるか。まだ他の方法があるかい?」

「コルセットはあまり使用しない方が良いです。締め付ける物は血の流れを悪くします。どうしても必要ならば仕方がありませんが毎日、見た目を気にするためだけに付けて締め上げるのはやめた方が良いです」

「ドレスを着るには必ず付けるからそれも難しいな」

「それならば付けないようにお菓子を控えたり運動をしたりして体を引き締めるべきです。特に太り過ぎは健康に良くありません。太ると様々な病気にかかるようになると思いますよ。そもそも貴族の方々の食事は豪華だと思いますので朝、昼、晩の3食で満腹にならないように終わりにした方が良いです」

「自分でできる方法はそのくらいかい?」

「そうですね、あとはぬるめのお湯に汗をかくまで半身浴をしたりするのも効果的です。どの方法も気休めかもしれませんが自分ですることができる簡単な提案です。でも人それぞれ効果の出方は違うので良い結果になるかは分かりません。はっきりと妊娠できない原因は分からないから人の体は謎だらけで子宝というだけあって子供に恵まれることは奇跡に近いんですよ。何も努力しないでできる人もいれば望んでないのにできる人もいる。とても努力している人ができないこともあるので神秘の世界です。でも本当は夫婦仲良く暮らすのが一番良い方法かもしれませんね」

「リオナ、もしかして子供を産んだことがあるのかい? なんだかとても驚いたよ。今まで聞いた話よりもね」

「未婚なので子供を産んだことはありませんよ。それに私はまだ19歳です。もう、冗談はやめてくださいね。参考になれば良かったですけどお約束忘れないでください」

はぁぁ、疲れた…。実際には私が受けた不妊治療で指導されたことを代弁しただけだけどね。不妊治療と自分でできることをした結果、運良く子宝に恵まれただけ。
一人でも多くの方々の助けになり妊娠できると嬉しいのだが…。

しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

年下の婚約者から年上の婚約者に変わりました

チカフジ ユキ
恋愛
ヴィクトリアには年下の婚約者がいる。すでにお互い成人しているのにも関わらず、結婚する気配もなくずるずると曖昧な関係が引き延ばされていた。 そんなある日、婚約者と出かける約束をしていたヴィクトリアは、待ち合わせの場所に向かう。しかし、相手は来ておらず、当日に約束を反故されてしまった。 そんなヴィクトリアを見ていたのは、ひとりの男性。 彼もまた、婚約者に約束を当日に反故されていたのだ。 ヴィクトリアはなんとなく親近感がわき、彼とともにカフェでお茶をすることになった。 それがまさかの事態になるとは思いもよらずに。

リアンの白い雪

ちくわぶ(まるどらむぎ)
恋愛
その日の朝、リアンは婚約者のフィンリーと言い合いをした。 いつもの日常の、些細な出来事。 仲直りしていつもの二人に戻れるはずだった。 だがその後、二人の関係は一変してしまう。 辺境の地の砦に立ち魔物の棲む森を見張り、魔物から人を守る兵士リアン。 記憶を失くし一人でいたところをリアンに助けられたフィンリー。 二人の未来は? ※全15話 ※本作は私の頭のストレッチ第二弾のため感想欄は開けておりません。 (全話投稿完了後、開ける予定です) ※1/29 完結しました。 感想欄を開けさせていただきます。 様々なご意見、真摯に受け止めさせていただきたいと思います。 ただ、皆様に楽しんでいただける場であって欲しいと思いますので、 いただいた感想をを非承認とさせていただく場合がございます。 申し訳ありませんが、どうかご了承くださいませ。 もちろん、私は全て読ませていただきます。 ※この作品は小説家になろうさんでも公開しています。

10年前に戻れたら…

かのん
恋愛
10年前にあなたから大切な人を奪った

私の願いは貴方の幸せです

mahiro
恋愛
「君、すごくいいね」 滅多に私のことを褒めることがないその人が初めて会った女の子を褒めている姿に、彼の興味が私から彼女に移ったのだと感じた。 私は2人の邪魔にならないよう出来るだけ早く去ることにしたのだが。

全てを捨てて、わたしらしく生きていきます。

彩華(あやはな)
恋愛
3年前にリゼッタお姉様が風邪で死んだ後、お姉様の婚約者であるバルト様と結婚したわたし、サリーナ。バルト様はお姉様の事を愛していたため、わたしに愛情を向けることはなかった。じっと耐えた3年間。でも、人との出会いはわたしを変えていく。自由になるために全てを捨てる覚悟を決め、わたしはわたしらしく生きる事を決意する。

《完結》恋に落ちる瞬間〜私が婚約を解消するまで〜

本見りん
恋愛
───恋に落ちる瞬間を、見てしまった。 アルペンハイム公爵令嬢ツツェーリアは、目の前で婚約者であるアルベルト王子が恋に落ちた事に気付いてしまった。 ツツェーリアがそれに気付いたのは、彼女自身も人に言えない恋をしていたから─── 「殿下。婚約解消いたしましょう!」 アルベルトにそう告げ動き出した2人だったが、王太子とその婚約者という立場ではそれは容易な事ではなくて……。 『平凡令嬢の婚活事情』の、公爵令嬢ツツェーリアのお話です。 途中、前作ヒロインのミランダも登場します。 『完結保証』『ハッピーエンド』です!

どうぞ、おかまいなく

こだま。
恋愛
婚約者が他の女性と付き合っていたのを目撃してしまった。 婚約者が好きだった主人公の話。

英雄の可愛い幼馴染は、彼の真っ黒な本性を知らない

百門一新
恋愛
男の子の恰好で走り回る元気な平民の少女、ティーゼには、見目麗しい完璧な幼馴染がいる。彼は幼少の頃、ティーゼが女の子だと知らず、怪我をしてしまった事で責任を感じている優しすぎる少し年上の幼馴染だ――と、ティーゼ自身はずっと思っていた。 幼馴染が半魔族の王を倒して、英雄として戻って来た。彼が旅に出て戻って来た目的も知らぬまま、ティーゼは心配症な幼馴染離れをしようと考えていたのだが、……ついでとばかりに引き受けた仕事の先で、彼女は、恋に悩む優しい魔王と、ちっとも優しくないその宰相に巻き込まれました。 ※「小説家になろう」「ベリーズカフェ」「ノベマ!」「カクヨム」にも掲載しています。

処理中です...