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活動記録5:『メインタイトル』←どうすんだよこれ

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 前回のあらすじ。いよいよメインタイトルが機能しなくなった。というか、世界の常識が機能しなくなった。

 頬をつねる。痛い、だが景色変わらず。
 目を擦る。視界がクリアに、だが景色変わらず。

「なぁシェイ」

「なんですかご主人様」

「あれ見てどう思う? ほら、今空飛ぶヘビに乗ってるオッサンが下に人参ぶん投げてるやつ」

「どうって、別になんも思わねぇですが」

「そうかぁ、なんも思わねぇかぁ……じゃねぇだろぉぉぉ!!!! えっ、何これ、ホントなにこれ!!??」

 パニック パニック パニック 皆がおかしくなっている。オラは普通だぞ常識的だぞ。

「ほんとにどしたんですかご主人様? 変なもんでも食いやがりました?」

 どうやら、シェイにとっては窓の光景よりも俺の方がおかしいようだ。いや、世界にとってはと言った方がいいのだろう。

 なんせ、窓の外の異常な光景に対して、通行人は何事もないかのように普通に歩いている。
 そしてその通行人はいきなり姿が犬と化し、そのまま走り去っていった。

「いや、多分俺だけ食い損ねたんだと思う。変なもん」

 俺もあの人参とか食ったら、この状況に納得出来たりするのだろうか。ついでに犬とかになるのだろうか。

 よし決めた。

「どしたんですかご主人様」

「ちょっと人参取ってくる」

「その前に朝飯食わせろください」

 図々しいなコイツ。

「じゃあお前も人参食えば?」

「そんなんで腹膨れるわけねぇです。てかいいんですか? あの人参、食べると背中から生えてきますよ?」

「……生えてくるって何が」

「人参が」

「人参?」

「人参です。人参畑です」

 にんじーん……

 いや怖すぎるだろ。なんだよ人参畑って。

「やがて、意識乗っ取られるです」

「何それ超怖い!!」

 よく見ると、空飛ぶヘビの背中にも人参が生えている。
 おそらく、あのオッサンに食わされたのだろう。あれは人参が人間に擬態した姿か何かなのか?

 ともかく、これだけは言える。

「もうヤダこの世界」

「やれやれってやつですねぇご主人様は。学校始まったばかりだってのにもう嫌になっちったんですか? まぁでも、そんなご主人様に朗報がありやがります」

 このおかしくなった世界でも、まだ普通に俺は学生をやらなあかんようだ。

 えぇ……歩くのぉ……? 外をぉ……? 死ぬかもな、これ。

「……ん、待って、朗報って何?」

「ふふっ、驚け、そして喜べです。なんと私、今日からご主人様と一緒に学校に通うのです!!」

「…………………………………はい???」


―――――――――――――――――――――――――――


 家から徒歩数分、の所にあるT字路。
 その突き当たりにあるカーブミラーが、昨日決めた今後の俺たち三人の待ち合わせ場所である。

 二人は既に来ていた。

「おはー。その子も連れてきたのね」

「あぁ、なんか今日から学校通い出すとか言い出して……って、あきお前、何でタンポポ足でグリグリしてんだ? 自然は大切にしろよな?」

 あきは茶色いローファーの靴で、地面に生えていたタンポポをグリグリと踏んずけていた。

 なんという蛮行。自然を慈しむ心をどこに捨ててしまったのやら。

「私は何も悪くないわよ。この花クソが、私のスカートの中を覗いて『いい趣味してますね』とかほざきやがったから、然るべき制裁を与えてるだけよ」

「……そのタンポポ喋んの?」

「うん、喋るんだ。僕も驚きビックリだよ」

 あっ、よーく耳をすますと確かに聞こえる。「ありがとうございます! ありがとうございます!」って。

 いや喜んでんじゃん。ご褒美じゃん。

 そして会話から察するに、この二人もこのおかしくなった世界を『おかしい』と認識できているようだ。
 かくして、俺だけがまともという最悪の事態は回避出来たのであーる。

「ところでその子、さっき今日から学校通うとか何とか言ってたけど、どういうことだい?」

「はいっ! 今日からご主人様と一緒に学校に通うシェイですっ!! よろしくお二人さんです!!」

 シェイのその一言に、二人が俺から大きく身を引いた。すげぇ引いた。

「ご、ご主人様って……ユウアンタ……シーちゃんに何したのよ……」

 なんかもう変なあだ名つけてるし。

「待ってくれ、ほんと待ってくれよ。いや違うんだって! 俺なんもしてねーよ! 今朝気づいたらコイツが俺のベッドにいていきなり俺の事をご主人様って」

「えっ、じゃあ何? やる事やっておいてアンタ全部忘れたってこと!?」

「そうなんです! ご主人様今日変なんですよ。私とあんな事やこんなことしたのに、今朝起きたら全部忘れてて……」

「あんな事やこんなこと……ユウは僕らより早く大人の階段を登ってしまったんだね。でもちゃんと責任は取らないとダメだよ?」

 やべぇ。どんどん話が膨れ上がってやがる。

 こんなことなら、もういっそ昨日やる事やって、冤罪ではなく確信犯に……って何サイテーなこと考えてんだ俺。

「責任も何も、俺はホントに何もやってねぇって!! 無実だって!!」

 と、俺が身の潔白を熱弁していると、あきが懐からスっとアイスピックを取り出し

「ほう、あくまで『覚えてない、知らない』とほざきやがるなら、コイツで思い出させるしかないわね」

 そう言ってきた。

 あかん。

 こうなれば、やることはただ一つ。

「よしお前ら学校まで競争な!!! よーいドン!!!」

「あの野郎逃げやがったわ! 追いかけるわよ!」

「はいっ! 一番乗りは私です!」

「えぇー、朝から汗かきたくないんだけどー」

 世界がぶっ壊れたというのに。

 俺らは、割といつも通りであった。





―――――――――――――――――――――――――――
―――――――――――――――――――――――――――

フシギ豆知識5
ユウ、あき、トオルの三人は中学一年の頃からの付き合い。意外と関係が短いのだ。故に、それ以前はそれぞれ違った過去を持つ。

※訂正
フシギ豆知識1にて、物語の舞台が僕らの世界とあまり変わらないと言いましたが、だいぶおかしな事になってしまいました。一応謝っておきます、てへ。

また、豆知識1で述べた『違うところ』については、我々が『おかしい、フシギ』と感じることが、ユウ、あき、トオルの変化前を知る三人ですら『普通』であると認識するものです。ややこしくなると思うので、念の為ここで説明。
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