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第一章:素敵な出会い、それは狂った妖刀でした
019:妙薬は口に辛し
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「――――うま……す……」
(なんだこれ、なんだこれ、なんだこれ!? 殻があるのに柔らかい! 味噌は複雑な旨味すぎて表現が無理無理無理! ダメだ美味すぎて咀嚼が止まらない!!)
その後、次々と運ばれてくる料理を一心不乱に食した流は、〆の登場で我に返る。
「〆:古廻様、随分とお気に召されたようで何よりでございました」
「え、あ。〆……か。何だか不思議な気分だよ。前菜までは覚えているんだ。と言うかあの川海老……そう、あの川海老だ!! あれは何だ? アレを食べてから記憶が飛んだぞ!」
「〆:まぁまぁ、それはよろしゅうございましたね。あの川海老は異次元の中に存在しておりまして、どこにでも居るし、どこにでも居ないのです。なのでそこの川で捕まえたんですよ」
そこの川を思い出す……精神衛生上にとても良くないので流は考えるのを止めた。
「あまりの美味さに他の料理の異常さを味わえなかったのが残念だが、おかしなくらい美味かったのは覚えている……とんでもない満足感だなこれは。ひょっとしてこれで帰れる?」
「〆:無理だと思いますよ。それより最後のデザートがありますがお召し上がりになります?」
「是非くれ! 今すぐ、ハリハリハリ!!」
箸を両手に持ち囲炉裏のテーブルの上でトントンしている流を見て〆は苦笑いをする。
「〆:落ち着いてください、それじゃあ最後のデザートは〆の一品! わ・た・しです♪(きゃ)」
そう言うと〆の中からコロリと飴玉が一個転がり出た。
「チェンジで」
「〆:クーリングオフは受け付けておりませんので、悪しからず」
「ぶった斬られたいのかあああああ!! はぁ~期待して損した。茶でも飲んで風呂入ろう」
もう遠慮はいらないと、自分の家のように振る舞い始める流であった。
「〆:ちょ、ちょっとお待ちください。冗談では無くこの飴は特殊なんですよ? 一口舐めれば乳の味、さらに舐めるとイチゴの味、もっと舐めるとワサビ味になります」
「それどんな罰ゲーム?」
「〆:本題はここからです! ワサビを克服すると……」
「すると?」
「〆:エリクサー味になりまーす! わ~パチパチパチ」
流はおもむろにメモ用紙状態の〆をひっくり返す。
「『エリクサーとは、古代エリクシル星人がもたらしたと言われるトンデモ薬である。出典:出来る! 嘘と捏造は蜜の味! 第1980ページより』って書いてあるんだけど?」
流は〆の裏側に書いてある秘密を暴露した。
「〆:酷いです、女の秘密を暴くなんて! 古廻様の鬼畜!」
「俺が鬼畜ならお前は妖怪お化け屋敷だよ。で、この効果の程は?」
「〆:まず本物として認識していただき、ありがとうございます」
「そのための川海老だったんだろ? そんな嘘くさい飴玉を誰が信じるよ。あの強烈な味を体験し、さらにその出所を信じさせるほどのインパクト。――だからこそ、胡散臭い飴玉も信じる気になるってもんだろ?」
あの川海老の寿司はそれほどの味わいだった、誰かが食べて人生観どころか、生き方そのものを変えたと言われても納得するほどの衝撃だったのだから。
「〆:……流石、本当に流石は古廻様です。度々驚かされましたが、今回はそれを上回りましたね。はい、仰る通りです。あの川海老は固定観念を打ち払うために、用意させていただきました。効果が発揮する条件として『その効果を疑わない』と言うのがありますからね。海老の捕獲に八十九年かかりましたが、用意出来て良かったです」
「相変わらず意味が分からんが、この骨董屋さんなら可能なんだろうと、そう思う事にするよ。で?」
そう流が告げると〆はエリクサーの簡単な説明をする。
「〆:元々エリクサーは賢者の石と呼ばれる物から出来た生物とも鉱物とも液体とも言われており、または賢者の石その物とも言われています。その液体化した物を乾燥させ固めたのが、先ほどお渡しした飴玉なのです。
「なぜ飴玉に?」
「〆:あれを人の身で使おうとすると、強烈な拒絶反応が起こり、癒す所か悶絶死します」
「怖すぎだろ」
「〆:なのでそれを緩和し人の身で使用できるように、人に馴染ませる魔術儀式の一つとして、あの味変わりなのです」
そこまで話を聞いた流は一つ疑問に思う。
「つまり噛まないでそのままワサビの拷問に耐えた後に、効果が最大限発揮すると?」
「〆:はい、その通りですね」
「で、何でまたワサビ味に?」
「〆:一言で言えばそう、ですね……趣味……ですかね?」
「アホカー!! 全くお前と言う奴は……で、効果はどうなる?」
「〆:はい、効果は不老不死とまでは行かずとも、すでに無い欠損部位の修復から深爪まで、何でも一瞬で体力も何もかも、一定時間連続で回復します」
流石の流れもこれには驚いた。
(なんだこれ、なんだこれ、なんだこれ!? 殻があるのに柔らかい! 味噌は複雑な旨味すぎて表現が無理無理無理! ダメだ美味すぎて咀嚼が止まらない!!)
その後、次々と運ばれてくる料理を一心不乱に食した流は、〆の登場で我に返る。
「〆:古廻様、随分とお気に召されたようで何よりでございました」
「え、あ。〆……か。何だか不思議な気分だよ。前菜までは覚えているんだ。と言うかあの川海老……そう、あの川海老だ!! あれは何だ? アレを食べてから記憶が飛んだぞ!」
「〆:まぁまぁ、それはよろしゅうございましたね。あの川海老は異次元の中に存在しておりまして、どこにでも居るし、どこにでも居ないのです。なのでそこの川で捕まえたんですよ」
そこの川を思い出す……精神衛生上にとても良くないので流は考えるのを止めた。
「あまりの美味さに他の料理の異常さを味わえなかったのが残念だが、おかしなくらい美味かったのは覚えている……とんでもない満足感だなこれは。ひょっとしてこれで帰れる?」
「〆:無理だと思いますよ。それより最後のデザートがありますがお召し上がりになります?」
「是非くれ! 今すぐ、ハリハリハリ!!」
箸を両手に持ち囲炉裏のテーブルの上でトントンしている流を見て〆は苦笑いをする。
「〆:落ち着いてください、それじゃあ最後のデザートは〆の一品! わ・た・しです♪(きゃ)」
そう言うと〆の中からコロリと飴玉が一個転がり出た。
「チェンジで」
「〆:クーリングオフは受け付けておりませんので、悪しからず」
「ぶった斬られたいのかあああああ!! はぁ~期待して損した。茶でも飲んで風呂入ろう」
もう遠慮はいらないと、自分の家のように振る舞い始める流であった。
「〆:ちょ、ちょっとお待ちください。冗談では無くこの飴は特殊なんですよ? 一口舐めれば乳の味、さらに舐めるとイチゴの味、もっと舐めるとワサビ味になります」
「それどんな罰ゲーム?」
「〆:本題はここからです! ワサビを克服すると……」
「すると?」
「〆:エリクサー味になりまーす! わ~パチパチパチ」
流はおもむろにメモ用紙状態の〆をひっくり返す。
「『エリクサーとは、古代エリクシル星人がもたらしたと言われるトンデモ薬である。出典:出来る! 嘘と捏造は蜜の味! 第1980ページより』って書いてあるんだけど?」
流は〆の裏側に書いてある秘密を暴露した。
「〆:酷いです、女の秘密を暴くなんて! 古廻様の鬼畜!」
「俺が鬼畜ならお前は妖怪お化け屋敷だよ。で、この効果の程は?」
「〆:まず本物として認識していただき、ありがとうございます」
「そのための川海老だったんだろ? そんな嘘くさい飴玉を誰が信じるよ。あの強烈な味を体験し、さらにその出所を信じさせるほどのインパクト。――だからこそ、胡散臭い飴玉も信じる気になるってもんだろ?」
あの川海老の寿司はそれほどの味わいだった、誰かが食べて人生観どころか、生き方そのものを変えたと言われても納得するほどの衝撃だったのだから。
「〆:……流石、本当に流石は古廻様です。度々驚かされましたが、今回はそれを上回りましたね。はい、仰る通りです。あの川海老は固定観念を打ち払うために、用意させていただきました。効果が発揮する条件として『その効果を疑わない』と言うのがありますからね。海老の捕獲に八十九年かかりましたが、用意出来て良かったです」
「相変わらず意味が分からんが、この骨董屋さんなら可能なんだろうと、そう思う事にするよ。で?」
そう流が告げると〆はエリクサーの簡単な説明をする。
「〆:元々エリクサーは賢者の石と呼ばれる物から出来た生物とも鉱物とも液体とも言われており、または賢者の石その物とも言われています。その液体化した物を乾燥させ固めたのが、先ほどお渡しした飴玉なのです。
「なぜ飴玉に?」
「〆:あれを人の身で使おうとすると、強烈な拒絶反応が起こり、癒す所か悶絶死します」
「怖すぎだろ」
「〆:なのでそれを緩和し人の身で使用できるように、人に馴染ませる魔術儀式の一つとして、あの味変わりなのです」
そこまで話を聞いた流は一つ疑問に思う。
「つまり噛まないでそのままワサビの拷問に耐えた後に、効果が最大限発揮すると?」
「〆:はい、その通りですね」
「で、何でまたワサビ味に?」
「〆:一言で言えばそう、ですね……趣味……ですかね?」
「アホカー!! 全くお前と言う奴は……で、効果はどうなる?」
「〆:はい、効果は不老不死とまでは行かずとも、すでに無い欠損部位の修復から深爪まで、何でも一瞬で体力も何もかも、一定時間連続で回復します」
流石の流れもこれには驚いた。
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