日本最狂の妖刀で、誰も見た事がない異世界・骨董無双~狂気の娘を返品したいがもう遅い!!だから神が宿る骨董品達で、俺が世界を改変してやるッ!!

竹本蘭乃

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第一章:素敵な出会い、それは狂った妖刀でした

024:【続・森を抜け町へ行こう】第一道人

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 異超門を抜けた先には、ここ最近見慣れた光景が広がっていた。

「特に変わった事は無いな……さて、まずはセリアに教えてもらった通り行ってみるか」

 流は現在の時間を確認をした後に高台を降り、まずはゴブリンの集落へ向かう。
 途中危険な生物にも会う事なく、無事に集落へと付いたのだった。

「まぁこうして見ると、確かに村ってよりは集落だよな……」

 辺りにはすでにゴブリンの死体は無く、小屋は打ち壊された上で燃やされていた。
 かなり念入りに処理をしたらしく、例え人であっても、この場所での廃材からの再利用は難しいだろうと考える。これは盗賊対策だろうか?

「例の応援がやったのか? まぁこれで奴らの仲間が来たとしても住み着く事は出来ないだろうな」

 その後森を進むとセリアが言っていた開けた場所へ到着し、そこから十分ほど進むと大きな街道に出た。

「おおお! ちょっとだけ文明の香がするぞ! ワクワクするわ、マジで!!」

 意気揚々と道を歩く、いくら進んでも上から遠くに見えた町は近づいてる感じがしない。むしろ感覚的には遠ざかっている感じすらした。

「やべぇ……現代人にはなんて過酷な環境なんだ……誰かタクシー呼んでくれ。無ければバイクを貸してくれ……路線バスでもいいぞ、俺が上得意様になってやる……」

 何時到着するか不明で、しかも慣れない悪路。さらに暑さのせいか意識も朦朧としてきたが、砂漠ではないので木陰で一休みする。

「現代人の弱点だなこれは、それとも俺がひ弱なのか? それとアレ、アレが欲しい! そう自転車が切実に欲しい……愚痴っても仕方ないから歩く、か……」

 そうこうしていると、後ろから聞きなれない大きな騒音が迫って来る。見れば口から泡を吹きながら疾走する馬車が迫って来た。
 見ると必死に「何か」から逃げているようだった。

「オオイ!! そこの旅の人! 後ろから賊が来ているからこれに乗れ!!」

 そう言うと馬車の男は流に、グィっと手を伸ばす。

「お? おお悪い!! 助る!」

 徒歩の旅も終わるのだと安堵した流だったが、馬車を止めず男は流の手を取ると、思いっきり引き上げる。
 どうやら緊急に何かから逃げている事があるようだ。

「ふぅ助かった。アンタ一人で逃げた方が早かったのに俺まで悪いな」
「何、旅は道連れってやつよ」

 そう男はニヤリと笑う。見た目は三十代後半で、苦労しているのか顔は疲れた感じではあるが、黒い瞳の目力は滾っており、熟練の商人と言った風貌の男だった。
 よほど焦っているのか灰色の長髪を乱雑に縛り上げ、それなりに整った顔に汗を拭きだしながら背後を気にしている。

「それで何が来るんだ? まさかゴブリンの集団とかか?」
「いや来てるのは、チィ――人間だ」

 そう言った所で背後から馬に乗った集団が見え、男は苦虫を噛み潰したような顔になる。

「またいきなりこれかよ、一体いつになったらトエトリーの町に着けるのかねぇ……『あらすごい』仕事しろ」

 ことごとく異世界で争いに巻き込まれる流は、いい加減『あらすごい』に疑いの目を向け始めていた。

「チッ、後ろに居た連中は全滅か? 今は雑魚っぽいのが五人だけなのが、逃げるのに狙い目かと思ったんだが……」
「後ろの奴らって? 他にも仲間が居たのか?」
「いや、俺だけだ。他ってのはトエトリーへ向かってた、護衛付きの商人だろうよ。俺は襲われている所が見えて迂回して逃げて来たんだが、どうやら見つかっていたらしい。悪いな兄ちゃん、俺の馬車が襲われてるうちに逃げてくれ」

 必死に馬車を走らせる男であったが、単騎で駆けてくる馬には当然敵わず徐々に追いつかれる。

「心配すんな、人とやり合うのは初めてだが……なんだか出来そうな気がする」
「おい、無理するな。大人に任せてお前は行け!」 
「心配ご無用、俺だって――」

 そう言うと流は、限界速度の馬車から飛び降りる。

「最近大人の仲間入りさ」
「馬鹿野郎!! くぅッ! スマネエ兄ちゃん、町へ着いたらすぐ衛兵を呼んで来るからな!!」

 そう言い残すと馬車は走り去っていく。

「はぁ、困った事になりましたね、美琴さん。俺の人生殺伐としすぎだろ。さて……頼むぞ!!」

 そう言うと美琴は強く震え返した。

 間もなく騎馬が五騎すぐ傍まで迫って来た。
 風体は如何にも盗賊然としたもので、なめした動物の毛皮を鎧の上から纏い、その皮から覗く鎧は、ちぐはぐの部品を無理やり着込んだ感じであった。

「オイ! そこのガキ、逃げた商人に捨てられたのか?」

 リーダー格の盗賊がそう言うと、周りの者もゲラゲラと品の欠片もなく笑い始める。
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