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第一章:素敵な出会い、それは狂った妖刀でした
023:再び異世界へ
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「今度あっちの世界で美味しそうなニンジン見つけたら、お土産に持ってくるから許してくれよ」
そう言うと因幡の頭を優しく撫でた。すると因幡の顔がパッっと明るくなる。
「わ~本当ですかぁ? ボクあっちの世界のニンジンって一度食べて見たかったのですよ! 楽しみだな~」
その後、機嫌が直った因幡と卓球をして一緒にフルーツ牛乳を飲んだ後で、流が目覚めた和室へと戻って来た。
美琴はすでに枕元に置かれており、心なしか鞘の桜が色艶に磨きがかかったようだった。
「悲恋美琴……か。時間にして二日位か? 持って間もないが、美琴が手元に無いと妙に不安だ」
(妖刀故か? 妖刀さんの力解放してんのか、追加効果:魅了ってか? こわーい)
そんな事を思っていたら流石妖怪屋敷だからか、はたまた怪奇現象か、冷たい風が吹いてきたので流は考えるのをやめて寝る事にした。
◇◇◇
翌朝目覚めると因幡がお腹の上で「和菓子になって」寝ていた。
「ふわ~、おはよう美琴。そして何故因幡はそこで寝ている、しかも菓子で……」
「よし、悪い子は食ってやらねばなるまい! それが大人の義務ってもんだ」
そっと因幡の尻尾に手を伸ばす、すると尻尾がコロリと抜け落ちた。
「ぬぉ、生え変わった? のか?」
「ぅぅ~ん……。あ、お客人おはようなのです」
「あ、あぁ。おはよう因幡。それより何か尻尾が抜け落ちたぞ?」
「あぁ~本当だ。これはお客人の体の最後のダメージを詰め込んだから抜けたのです。これで今日から異世界へ戻れるのです」
「そうだったのか。ありがとうな因幡」
そっと背中を撫でてやる。
(あれ食べたら具合悪くなったのか……? 食べなくて良かった)
「因みにその抜けたのを食べると、どうなる感じ?」
「そうですねぇ、お腹痛くなるですよ」
「デスヨネ」
「まさか食べようとしたです?」
流は庭を見て遠い目をした。遠くで青竹の鹿威しが良い音を響かせている。
「あー! 食べようとしたんだ! 食い意地のはったお客人なのです」
「さ、朝飯を食いに行くぞお前達!」
ジト目の因幡を尻目に、流は何事も無かったかのように食事をしに囲炉裏の場所へ向かった。
「〆:古廻様おはようございます。よくお休みになられたようで良かったですね」
「あぁ、おはよう〆。飯を食べたら早速行く事とするよ、前回は何も持たないで出て行っちまったが、〆が荷物を送ってくれたから助かった。倉庫から今回の商品を見繕っても良いか?」
「〆:はい、それはもうご自由に」
因幡が朝の膳を運んできたので早速食べる事にする。
朝は旅館にあるような普通のメニューだったが、相も変わらない狂った美味さだった。
特に「納豆」が凄く美味い。日本列島西側の人は納豆を苦手とする人がそれなりに居り、流も苦手な食べ物の一つだ。
しかしこの納豆は旨味成分だけが凝縮され、臭みが逆に香ばしく、納豆を引き立てる薬味の如く食欲を刺激したのだった。
「納豆美味すぎ! 飯とセットでおかわり!!」
「はい、どーぞなのです」
「〆:この納豆は因幡が作ったんですよ? 製法は私にも教えてくれないんです」
「そうなのか~因幡はよく出来たウサギさんだなぁ」
「へへへ~。なのです」
と、もふもふなのに因幡の頬が染まるのが分かった。
朝食を十分に堪能した後、異世界で商売するための品等を補充しに、流達は回廊を移動し倉庫へと向かう。
「〆:現在お渡し出来るのはこれだけになります」
部屋は六畳ほどのスペースに数十程の品が個別に分けられていた。
「お~それなりにあるな。まずは皿とかカップがいいのか? 双眼鏡で見た町の規模からすると、結構人が居る感じだったし、経済規模もあの大きさだったら結構ありそうだったからな。まずは高級品として美琴の真珠と、クリアなガラス製品でも持って行くか」
「〆:それがよろしいかと。それとナイフ等の品も出来が良いので、お持ちになると良いでしょう」
「なるほど……」
流は先の戦いで緑の小人が使用していた武器を思い出す。多分襲った相手から奪ったものだと仮定すると、やはりいい出来の刃物は少ないと思われた」
「よし、それで行こう。あまり持っても動けなくなるからな、まずは様子見だ」
「〆:ではリックに詰めておきますので、古廻様は出立のご用意を」
「分かった、囲炉裏の間で待ってる」
そう言うと〆は回廊を開き、店の中へと繋げた。
「さて、因幡。楽しみにしててくれよ」
「はいなのです! 楽しみだなぁ~」
準備が整い他愛のない会話をしていると、異超門の方から荷物を置く軽い音が聞こえた。
「〆:古廻様、お待たせ致しました」
「おう、ありがとう〆。じゃあ行ってくるわ」
「お客人行ってらっしゃーい、気を付けてね~」
因幡は短い手をフリフリしてる。
「〆:古廻様のご無事のご帰還をお祈りしております」
〆はひな人形の折紙になって、薄っぺらな紙をペラペラしている。
「よし、行ってくる。開錠!」
流は障子戸を潜るとそのまま消えていった。
「〆:どうかお怪我等をなさらず、流様……」
そう言うと、〆は流が消えた空間をじっと見つめるのであった。
そう言うと因幡の頭を優しく撫でた。すると因幡の顔がパッっと明るくなる。
「わ~本当ですかぁ? ボクあっちの世界のニンジンって一度食べて見たかったのですよ! 楽しみだな~」
その後、機嫌が直った因幡と卓球をして一緒にフルーツ牛乳を飲んだ後で、流が目覚めた和室へと戻って来た。
美琴はすでに枕元に置かれており、心なしか鞘の桜が色艶に磨きがかかったようだった。
「悲恋美琴……か。時間にして二日位か? 持って間もないが、美琴が手元に無いと妙に不安だ」
(妖刀故か? 妖刀さんの力解放してんのか、追加効果:魅了ってか? こわーい)
そんな事を思っていたら流石妖怪屋敷だからか、はたまた怪奇現象か、冷たい風が吹いてきたので流は考えるのをやめて寝る事にした。
◇◇◇
翌朝目覚めると因幡がお腹の上で「和菓子になって」寝ていた。
「ふわ~、おはよう美琴。そして何故因幡はそこで寝ている、しかも菓子で……」
「よし、悪い子は食ってやらねばなるまい! それが大人の義務ってもんだ」
そっと因幡の尻尾に手を伸ばす、すると尻尾がコロリと抜け落ちた。
「ぬぉ、生え変わった? のか?」
「ぅぅ~ん……。あ、お客人おはようなのです」
「あ、あぁ。おはよう因幡。それより何か尻尾が抜け落ちたぞ?」
「あぁ~本当だ。これはお客人の体の最後のダメージを詰め込んだから抜けたのです。これで今日から異世界へ戻れるのです」
「そうだったのか。ありがとうな因幡」
そっと背中を撫でてやる。
(あれ食べたら具合悪くなったのか……? 食べなくて良かった)
「因みにその抜けたのを食べると、どうなる感じ?」
「そうですねぇ、お腹痛くなるですよ」
「デスヨネ」
「まさか食べようとしたです?」
流は庭を見て遠い目をした。遠くで青竹の鹿威しが良い音を響かせている。
「あー! 食べようとしたんだ! 食い意地のはったお客人なのです」
「さ、朝飯を食いに行くぞお前達!」
ジト目の因幡を尻目に、流は何事も無かったかのように食事をしに囲炉裏の場所へ向かった。
「〆:古廻様おはようございます。よくお休みになられたようで良かったですね」
「あぁ、おはよう〆。飯を食べたら早速行く事とするよ、前回は何も持たないで出て行っちまったが、〆が荷物を送ってくれたから助かった。倉庫から今回の商品を見繕っても良いか?」
「〆:はい、それはもうご自由に」
因幡が朝の膳を運んできたので早速食べる事にする。
朝は旅館にあるような普通のメニューだったが、相も変わらない狂った美味さだった。
特に「納豆」が凄く美味い。日本列島西側の人は納豆を苦手とする人がそれなりに居り、流も苦手な食べ物の一つだ。
しかしこの納豆は旨味成分だけが凝縮され、臭みが逆に香ばしく、納豆を引き立てる薬味の如く食欲を刺激したのだった。
「納豆美味すぎ! 飯とセットでおかわり!!」
「はい、どーぞなのです」
「〆:この納豆は因幡が作ったんですよ? 製法は私にも教えてくれないんです」
「そうなのか~因幡はよく出来たウサギさんだなぁ」
「へへへ~。なのです」
と、もふもふなのに因幡の頬が染まるのが分かった。
朝食を十分に堪能した後、異世界で商売するための品等を補充しに、流達は回廊を移動し倉庫へと向かう。
「〆:現在お渡し出来るのはこれだけになります」
部屋は六畳ほどのスペースに数十程の品が個別に分けられていた。
「お~それなりにあるな。まずは皿とかカップがいいのか? 双眼鏡で見た町の規模からすると、結構人が居る感じだったし、経済規模もあの大きさだったら結構ありそうだったからな。まずは高級品として美琴の真珠と、クリアなガラス製品でも持って行くか」
「〆:それがよろしいかと。それとナイフ等の品も出来が良いので、お持ちになると良いでしょう」
「なるほど……」
流は先の戦いで緑の小人が使用していた武器を思い出す。多分襲った相手から奪ったものだと仮定すると、やはりいい出来の刃物は少ないと思われた」
「よし、それで行こう。あまり持っても動けなくなるからな、まずは様子見だ」
「〆:ではリックに詰めておきますので、古廻様は出立のご用意を」
「分かった、囲炉裏の間で待ってる」
そう言うと〆は回廊を開き、店の中へと繋げた。
「さて、因幡。楽しみにしててくれよ」
「はいなのです! 楽しみだなぁ~」
準備が整い他愛のない会話をしていると、異超門の方から荷物を置く軽い音が聞こえた。
「〆:古廻様、お待たせ致しました」
「おう、ありがとう〆。じゃあ行ってくるわ」
「お客人行ってらっしゃーい、気を付けてね~」
因幡は短い手をフリフリしてる。
「〆:古廻様のご無事のご帰還をお祈りしております」
〆はひな人形の折紙になって、薄っぺらな紙をペラペラしている。
「よし、行ってくる。開錠!」
流は障子戸を潜るとそのまま消えていった。
「〆:どうかお怪我等をなさらず、流様……」
そう言うと、〆は流が消えた空間をじっと見つめるのであった。
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