日本最狂の妖刀で、誰も見た事がない異世界・骨董無双~狂気の娘を返品したいがもう遅い!!だから神が宿る骨董品達で、俺が世界を改変してやるッ!!

竹本蘭乃

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第一章:素敵な出会い、それは狂った妖刀でした

022:久しぶりの客人

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 流が極楽浄土ごくらくじょうどに旅立つ少し前、因幡から美琴を受け取った〆は店の一角にある離れにいた。
 そこには鶴の形に折られた〆と、袈裟の下に紫の衣を纏った見た目は僧侶に見える、三十代程で粗暴な顔つきで、体格の良い男が正座しながら美琴を持つ。

「〆:それで今回が古廻様の初戦でしたが、どこか不具合がありますか?」
「そうじゃな……反りも伸び取らんし、刃こぼれの一つも無い。刀匠、美琴殿の恐ろしいまでの技と執念怨念が成せる業だのう」
「〆:そうですか、それは良かった」
「拙僧も美琴殿ほどの刀を打ってみたいものじゃな、しかし憑りつかれるような見事な刀身よの……試し斬りしたくなるわい」
「〆:それはおやめになった方が良いかと。斬った瞬間――死にますよ?」
「ハッハッハ、それは怖や怖や。拙僧もやっと美琴殿に触れる事を許されたばかり故、少々舞い上がってしまったようじゃ、許されよ美琴殿」

 そう言うと美琴は〝ふるり〟と揺れた。

「それはそうと〆殿、美琴殿を佩剣はいけんする事を許されたと言う御仁……やはりえにしのお方か?」
「〆:さて……それはまだ分かりかねます、が。可能性はあるかと」
「ふむ、されば拙僧もこうしてはおられんな。また美琴殿に何かあれば何時でもお呼び下され」

 そう言うと「自壊坊じかいぼう」は障子戸を開け放ったまま出ていく。

「〆:まったく、腕は良いのですが横着でいけませんね」

 そう言いながら〆が襖を閉めようとした時、廊下を照らす行灯の火を少し揺らしながら、一陣のやわらかい風が吹いた。すると障子戸が閉じ、一人の人影が部屋の中にあった。

「〆:あら! あらあら! これは随分とお久しぶりですね。お元気そうで何よりでした」
「・・・」

 現れた人影はとてもか細い声で話す。

「〆:ええ、そうみたいですよ。しかしあなたが、わざわざ出てくれるとは思いませんでしたよ。
「・・・・・?」
「〆:そうですね、悲恋美琴も満足でしょうね。流様もあの方のえにしに深い方だと言うのはほぼ間違いないでしょうしね」
「・・・……・・・・。でも!」

 新たな来客者は思わず声が大きくなったが、その事に〆が対処していると話す。

「〆:まぁまぁ、今はそうみたいですね。それで私も今回、流様が危機に陥った事を反省し、急遽昔作ったエリクあめをお渡ししたのですよ。ただ味も酷いものですが、効果はとても信じられるものじゃなかったので、どうお渡して信じていただこうかと思っていたのです。

 来客者もそれに頷く。

「〆:信じて使用しなければ、ただの不味い飴玉ですからね。そこで次元相違海老をご用意してみたのですが、その狙いを見事当てられてしまって、いささか拍子抜けしてる所でした」

 すると来客者は興奮気味に話している……ようだった。

「・・!! ・・・・! ・・!?」
「〆:ふふふ、そこは反省しておりますよ。でも流様はよく状況を分析なさっておいでですね。流石はあの方のご親族。そして……いえ、これは今はまだ憶測ですからね、私達の願望を押し付けては無粋と言うものでしょうか」
「・・・・。・・・・、・・・・・・」
「〆:それに愚兄よりの報告で判明しましたが、流様は中伝とは言え、あの業を修められた方です。きっと悲恋美琴を、優しく使いこなしてくれるでしょう」

 自壊坊へは濁した言葉も、〆は新たな来訪者には素直に話す。そして新たな来訪者へとても親愛溢れる口調でこの後も話が弾んだのであった。


◇◇◇


 流はあの後「無事」に風呂から上がると、休憩所で椅子に座って何かを飲みながら、足をぷらぷらして待ってた因幡へ声をかけようとする。
 近くに行って見ると、因幡は何か独り言を言っているようだ。

「ふふん、これでボクも大人の女だと言えるのです」

 見ると因幡の手にはコーヒー牛乳があり、それを両手に持ちクピクピと飲んでいた。

「コーヒー牛乳では大人の女とは言えないぞ? せめてブラックでいこうぜ」

 と、背後から声をかけ耳を根本からしごき上げる。しかし、その大きな耳は飾りなんだろうか? と疑問に思う流であった。

「ひゃぁぁ!? 何をするのですかぁぁ! 人権侵害ですよの上にセクハラでポリコレものなのです!」
「人じゃないだろう、ウサギのくせに面倒な言葉を知っているんだな」
「もう、馬鹿にしちゃってさ! どうせボクは可愛いだけのうさぎなのですよ」

 自分は可愛いアピールをしっかりしつつも、因幡はさめざと泣く。

「ごめんごめん、因幡があまりにも可愛い姿で美味しそうに飲んでいたから、つい悪戯してみたくなったんだよ」
「もう! お客人は酷い人なのです」
「ほら、そう泣くもんじゃない。目が真っ赤じゃないか」
「それはボクが白ウサギだからなのです」
「ハッハッハ! 違いない」

 どの口が慰めているんだと〆が居たら突っ込まれそうな所だったが、流はふと思い出すようにある提案をする。
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