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第二章:偉大なる称号
037:新人冒険者達
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「は、はい。まずは冒険者ランクとかの説明……聞きます?」
「あぁ昨日ファンに聞いたから大体分かるよ。他に何かあるのか?」
「ファンさんと言うと……もしかして灰色の長髪で、ファン運輸商会の?」
「そいつだ、そのファンだ。知り合いか?」
「ええ、それはもう。ファンさんのお知り合いなら説明は不要ですね。彼はそう言う事は詳細に教えてくれますからね」
なるほど、確かに細かく教えてもらったなと流は思い出し、今度会ったらお礼に飯でもおごろうと考えながら、受付嬢の話を聞く。
「あとはこの書類に記入してください、ここに名前と所属はこの町、トエトリーと書いてくださいね」
流は言われた通りに記載する。
「では最後にこの板に両手を押し当ててください。それで自動的に登録されます」
「へぇ~そんな事で登録出来るのか。面白いな」
「はい、なりすましの防止のために開発された魔道具なんですよ。他に何か聞きたい事がありますか?」
「う~ん……強いて言えば」
「はい?」
「受付嬢ってみんな綺麗な人ばかりだな、ケモミミの子までいるとか正に様式美! 特にあんたを選んだ面接官のセンスの良さが際立つ。目元は大きく、鼻筋も整ってるし、歯並びもパーフェクトだ! 自己主張の強いそれらを柔らかくまとめ上げる薄いピンク色の髪もまた美しい……まったく素晴らしいチョイスだ! これぞギルドの受付嬢だと言えよう」
「な、ななな何を朝から何を言っているんですか、ナガレさん!」
いきなり完璧美人呼ばわりされた受付嬢は赤面してしまう。
本当に何を言っているのかと周りも思ったが、誰も言えなかった。だって入口ではまだ雑魚達が大声で練習してるんだもの!
そのあと細かな取り決めを聞き、実力テストをするとの事で練習場へと案内される。
「今日はこの後六人の新人さんが来ます。それまでそこの椅子に座って待っていてくださいね」
「ああ、ありがとう。えっと……名前は何だっけ?」
「わ、私はエルシアです。ギルドへ来たら私のところへ来てくださいね……またお待ちしてますね、ナガレさん……」
そうエルシアは言うと、顔を真っ赤にして小走りに去っていった。
「風邪か? 大事にするんだぞ~」
エルシアの背中を見ながら流はそう声をかける。
流としては単純に「美しい芸術品」を愛でただけなのだが、人が聞けば確実に誤解する内容であった。
そんな鈍感系を軽く凌駕する、骨董系男子の流に死角は無かった。
練習場は一周二百メートル程の陸上トラックのような作りで、あちこちで冒険者達が剣や魔法の訓練をしている。
「しかし美琴さんや。不殺閃を放ってから気が付いたんだが、あのヒャッハーを良く気狂いにさせなかったなぁ。流石俺の美琴さん、分かってらっしゃるね!」
そう言うと美琴は、嬉しそうに揺れたのだった。
ベンチに座りしばらくぼーっとしていると、二階で賭けを仕切っていた眼帯の男が声をかけて来る。
「よ~あんたスゲーな、上から見てても良く分からなかったぞ?」
「アンタは……あぁ、胴元のオヤジか。で、儲かったか?」
「はっはっは、おかげさんで俺はな。他の奴らは大体負けたがね」
「それはまたご愁傷様な事で」
雑魚を吹っ飛ばし、少し後にギルド内が騒めいたワケを知ると、苦笑いが出る流。
そしてその雑魚達が絡んで来た理由を、眼帯のオヤジに聞いてみる事にする。
「あ~そうだ、オヤジなら分かるか? なんで俺がギルドに入ったら全員こっち見てたんだ?」
「そいつはなぁ。お前、入口のドアを押したろ? あれな、ここでは引いて入るんだわ。で、押して入るとデカイ音で『ギイィ~』と鳴り、新人が来ましたよってお知らせな訳だ」
そんなブービートラップがあったのかと流は一瞬顔をしかめたが、異世界を堪能出来たのでナイス・トラップ! と評価し直す。
「ほれ、これがあんたの取り分だ」
男が放り投げて来た袋を受け取ると、それはかなり重かった。
「小銭が多いがほぼ賭けた奴らから巻き上げたな、俺もおまえに賭けたから大儲けだ。ありがとうよ、また面白い勝負があれば声をかけてくれ」
そう男は告げると、片手をヒラヒラさせギルドの中へと戻っていった。
眼帯のオヤジが去るのを見ながら、訝し気に中身を確認すると――。
「お? 結構入っているな。えっと、金貨にすると大体………………十枚近くあるのか? 俺どんだけ人気無かったんだよ! しかし異世界儲かりすぎだろ」
自分の人気の無さにちょっぴり凹む流だったが、お待ちかねの六名が到着したのでテストが開始される。
練習場に入って来たのは、男が三人と女が三人だった。
年齢は十代半ば~後半位で、どうやら男女共に一緒の町や村から出て来たばかりらしい。
「オイオイ、何だか弱そうな初心者まで居るけど大丈夫なのか?」
「ちょっとやめなさいよ、私達も初心者でしょ」
「馬鹿言えよ。俺たちは角ウサギも、狼も倒せる実力者だ。そこの弱そうなのと一緒にするなよ」
「カワード、お前はもう少し礼儀を覚えるべきだ」
そう目付きが嫌らしく、黒が濃い茶髪の十代後半の男、カワードが流を煽ると、その仲間の娘達が嗜めた。
他の三人は眉を潜めてカワードを見ているが、特に何も言う事は無い。
「あぁ昨日ファンに聞いたから大体分かるよ。他に何かあるのか?」
「ファンさんと言うと……もしかして灰色の長髪で、ファン運輸商会の?」
「そいつだ、そのファンだ。知り合いか?」
「ええ、それはもう。ファンさんのお知り合いなら説明は不要ですね。彼はそう言う事は詳細に教えてくれますからね」
なるほど、確かに細かく教えてもらったなと流は思い出し、今度会ったらお礼に飯でもおごろうと考えながら、受付嬢の話を聞く。
「あとはこの書類に記入してください、ここに名前と所属はこの町、トエトリーと書いてくださいね」
流は言われた通りに記載する。
「では最後にこの板に両手を押し当ててください。それで自動的に登録されます」
「へぇ~そんな事で登録出来るのか。面白いな」
「はい、なりすましの防止のために開発された魔道具なんですよ。他に何か聞きたい事がありますか?」
「う~ん……強いて言えば」
「はい?」
「受付嬢ってみんな綺麗な人ばかりだな、ケモミミの子までいるとか正に様式美! 特にあんたを選んだ面接官のセンスの良さが際立つ。目元は大きく、鼻筋も整ってるし、歯並びもパーフェクトだ! 自己主張の強いそれらを柔らかくまとめ上げる薄いピンク色の髪もまた美しい……まったく素晴らしいチョイスだ! これぞギルドの受付嬢だと言えよう」
「な、ななな何を朝から何を言っているんですか、ナガレさん!」
いきなり完璧美人呼ばわりされた受付嬢は赤面してしまう。
本当に何を言っているのかと周りも思ったが、誰も言えなかった。だって入口ではまだ雑魚達が大声で練習してるんだもの!
そのあと細かな取り決めを聞き、実力テストをするとの事で練習場へと案内される。
「今日はこの後六人の新人さんが来ます。それまでそこの椅子に座って待っていてくださいね」
「ああ、ありがとう。えっと……名前は何だっけ?」
「わ、私はエルシアです。ギルドへ来たら私のところへ来てくださいね……またお待ちしてますね、ナガレさん……」
そうエルシアは言うと、顔を真っ赤にして小走りに去っていった。
「風邪か? 大事にするんだぞ~」
エルシアの背中を見ながら流はそう声をかける。
流としては単純に「美しい芸術品」を愛でただけなのだが、人が聞けば確実に誤解する内容であった。
そんな鈍感系を軽く凌駕する、骨董系男子の流に死角は無かった。
練習場は一周二百メートル程の陸上トラックのような作りで、あちこちで冒険者達が剣や魔法の訓練をしている。
「しかし美琴さんや。不殺閃を放ってから気が付いたんだが、あのヒャッハーを良く気狂いにさせなかったなぁ。流石俺の美琴さん、分かってらっしゃるね!」
そう言うと美琴は、嬉しそうに揺れたのだった。
ベンチに座りしばらくぼーっとしていると、二階で賭けを仕切っていた眼帯の男が声をかけて来る。
「よ~あんたスゲーな、上から見てても良く分からなかったぞ?」
「アンタは……あぁ、胴元のオヤジか。で、儲かったか?」
「はっはっは、おかげさんで俺はな。他の奴らは大体負けたがね」
「それはまたご愁傷様な事で」
雑魚を吹っ飛ばし、少し後にギルド内が騒めいたワケを知ると、苦笑いが出る流。
そしてその雑魚達が絡んで来た理由を、眼帯のオヤジに聞いてみる事にする。
「あ~そうだ、オヤジなら分かるか? なんで俺がギルドに入ったら全員こっち見てたんだ?」
「そいつはなぁ。お前、入口のドアを押したろ? あれな、ここでは引いて入るんだわ。で、押して入るとデカイ音で『ギイィ~』と鳴り、新人が来ましたよってお知らせな訳だ」
そんなブービートラップがあったのかと流は一瞬顔をしかめたが、異世界を堪能出来たのでナイス・トラップ! と評価し直す。
「ほれ、これがあんたの取り分だ」
男が放り投げて来た袋を受け取ると、それはかなり重かった。
「小銭が多いがほぼ賭けた奴らから巻き上げたな、俺もおまえに賭けたから大儲けだ。ありがとうよ、また面白い勝負があれば声をかけてくれ」
そう男は告げると、片手をヒラヒラさせギルドの中へと戻っていった。
眼帯のオヤジが去るのを見ながら、訝し気に中身を確認すると――。
「お? 結構入っているな。えっと、金貨にすると大体………………十枚近くあるのか? 俺どんだけ人気無かったんだよ! しかし異世界儲かりすぎだろ」
自分の人気の無さにちょっぴり凹む流だったが、お待ちかねの六名が到着したのでテストが開始される。
練習場に入って来たのは、男が三人と女が三人だった。
年齢は十代半ば~後半位で、どうやら男女共に一緒の町や村から出て来たばかりらしい。
「オイオイ、何だか弱そうな初心者まで居るけど大丈夫なのか?」
「ちょっとやめなさいよ、私達も初心者でしょ」
「馬鹿言えよ。俺たちは角ウサギも、狼も倒せる実力者だ。そこの弱そうなのと一緒にするなよ」
「カワード、お前はもう少し礼儀を覚えるべきだ」
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