日本最狂の妖刀で、誰も見た事がない異世界・骨董無双~狂気の娘を返品したいがもう遅い!!だから神が宿る骨董品達で、俺が世界を改変してやるッ!!

竹本蘭乃

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第二章:偉大なる称号

036:酒瓶と椅子は大・好・物です!

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「オイオイ、な~んか雑魚の香がしねーかあ?」

 すると左のテーブルからも、当たり前のように「足」が伸びた。

「ハッハア~! こっちにもプンプン臭って来たぜぇ」

 かなり酔っているのか真っ赤な顔になりながら、流に枝豆のような物を投げ、流の額にペチリと当たる。

「ブハハハハ、こいつ動けねーでやんの! おら、ボウズ。先輩に挨拶しろ、冷えたエールを添えてなぁ」

 ドッっと沸き返る両脇のテーブルに呆れた視線を向ける者。我慢出来ずに立ち上がっていさめようとする者と、それを止める者。
 面白そうにニヤニヤしてる者や、興味無さそうにしている者。そんな千差万別な冒険者達がそこにいた。

「ん? その腰の剣は何だあ? そんな細くてひん曲がってるような武器で冒険者をやろうってのか? やめとけやめとけ。角ウサギにすら勝てねーぞ」

 器用に美琴を覗き込んだ、左側の足男はいやらしく笑う。

「だが良く見て見ろよ、鞘の部分に綺麗な模様があるぞ? 高く売れそうだぜ」

 右側の足男も逆側だが、鞘は見えたようで不穏な事を言い出す。

「なんだ、足が話しているのか? 俺には臭く汚い足と話す趣味は無い」

 そう言うと流は左右の足を蹴り上げた。同時に左右の足の本体は盛大な音を立て床に転がる。

「がああ 痛ってえ……このクソガキが! 優しくしてりゃ付け上がりやがって」
「クッソ! エール塗れになっちまったじゃねーか。洗たく代と慰謝料を貰わねーとなぁ」

「ん? まだ汚い足が何か言っているのか? どれ、来たついでに、そこのゴミ箱へ入れてやるのが大人のマナーってやつじゃないか? ゴミはゴミ箱へって、宇宙の支配者だった人? も言っているしな」

「……てめぇ、舐めるのもそこまでにしろよ!」

 そう言うと右足の男は酒瓶を手に立ち上がる、左足の男も座っていたイスを手に持ち、同時に殴りかかって来た。

 右足の酒瓶を持った男の攻撃が早く、流の頭に酒瓶が吸い込まれたと思った、右足の男はニヤリと笑う。
 が、流は上体を後ろへ少し反らして酒瓶をかわす。

「ジジイ流活人術かつじんじゅつ……」

 直後、左足の男は椅子を横からスイングするが、流は美琴の刃を少しだけ出し椅子の背もたれを弾くように当て、軌道を右足の男へと流す。
 酒瓶を振り抜いてかわされたまま、バランスを崩した右足の男へと、弾いたイスがブチ当たる

不殺閃ふさつせん!!」

 イスを振り抜いた左足の男へ納刀したまま美琴の鞘で一閃!

 美琴を良い角度で一閃された左足の男と、椅子をブン回した遠心力が乗った椅子を、モロに食らった右足の男は勢いよく吹っ飛び、ダストシュートされたゴミのように「みんなのゴミ箱」へと頭から仲よく突っ込んだ。

 周りで見ていた者の多くは何が起きたのかよく分からず、ただ呆然ぼうぜんと見ていたのであった。

 一体何が起きたのか分からないのか、足の生えたテーブルの仲間は呆然としている。

 ギルド内ではエールを口に含んだまま、零れているのに気が付かずに呑み続けている者。フォークに刺した魚料理をボトリと落とす者。口をあんぐりと開け放つ者。ほぅ……と感心する者。そして――

「おい、そこの足の仲間」

 足の仲間はソッと奥の方を見て、不思議そうに呼んでいる相手を探す。

「違う! お前達だ。そこの左右合わせてマヌケ顔してる四人の、お・ま・え・た・ちだ!」

 四人はソッと自分達の顔の前に指を当てる。
 つい先日、同じような光景をどこかで見た気がする流だったが、今はそんな事より顔を青くしている雑魚ザコ達へさらに追撃をかける。

「そうだ……いいかお前達。ここまでは及第点だ! 真の雑魚を目指すならこう言え! まずは右の二人、お前らは『ヒャッハー!』担当だ」
「え……ひゃ?」
「そして左の二人! お前らは『ここは通さネ~ゼ!』担当だ」
「は? ここは通さ……?」
「起立! まずは右のお前らは、舌を出しながら『ヒャッハー』だ!」
「え、無――」

 そこへ流は被せて封殺する。

「無理って言うな! がんばれ、がんばれ! そこで諦めたら雑魚終了だぞ! そして左側!」
「ヒィィ!?」
「お前らはヒャッハーの後に『ここは通さネ~ゼ~』だ、やってみろ!!」

 その後、流が満足するまで教育的指導が続き、カオスが早朝のギルドを支配していたが、あまりの展開に誰も止める事は出来なかったと言う。
 しばらくして満足した流は、額の汗を拭いながら晴れやかに受付嬢の元へ向かった。

「すみませーん。登録したいんだけどいいかな?」
「ひぃぃ!?」

 何故か受付嬢にドン引きされた流であるが、引く意味が分からなかった。
 失礼な娘だと、ちょっぴり憤慨ふんがいしたが、流さんは大人なので心の中に留めておく。

 受付嬢は十代後半位で、顔立ちがスッキリと整っている薄ピンク髪の可愛らしい美人で、肌は白く、目の色は薄いブルーのスタイルは平均的な娘だった。
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