日本最狂の妖刀で、誰も見た事がない異世界・骨董無双~狂気の娘を返品したいがもう遅い!!だから神が宿る骨董品達で、俺が世界を改変してやるッ!!

竹本蘭乃

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第二章:偉大なる称号

039:二つ名は「まぐれ」

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 いきなりのジェニファーからの攻撃とも言える、無慈悲なウインクをまともに受けた流は、顔をひきつらせながら、やっと一言「そ、そうか」と言うだけで精一杯だった。

「さあさあ、始めるわよん。じゃあドラゴンスレーヤーの三人は、その枠内の中央へ進んでちょうだい」
「よし、レイナ・リリアン行くぞ!」
「う、うん、がんばろう!」
「レイナは無理をしないで」
「分かったよお姉ちゃん」

 三人が中央へ進むと、黄狼が獲物を値踏みするように周囲をゆっくりと回りだす。
 そして先頭の一匹がカワードへと飛びかかった。

「そんな攻撃に当たるかよ!」

 カワードは先頭の一匹に大振りな一撃をお見舞いするが、角度が浅かったようで致命傷にはならず、それに気が付かずカワードは二匹目に向けて突進する。

「待てカワード! そいつはまだ生きている、止めを刺してからに――」

 そうリリアンが言うが早いか、止めを刺し損ねた黄狼がカワードへ背後から襲い掛かった。

「ぐぅ、クソ! オイ、リリアン! ちゃんと防げ! 俺はアタッカーなんだから守るのはお前の仕事だろ!」
「お前が不用意に突っ込むからだ! レイナ、カワードに突っ込んで行った黄狼を引き離してくれ」

 そう言うとリリアンは残りの黄狼を盾の端で吹き飛ばし、その隙にカワードの前に居る黄狼へと突進する。

「クオオオオ! 吹き飛べ!」
 
リリアンはギリギリでカワードの前へ滑り込み、眼前に迫った黄狼を盾で弾き飛ばす。
 黄狼はカウンターで盾に殴られた事により、派手に吹っ飛びそのまま動かなくなった。
 いもうとレイナを見ると、丁度最初にカワードが斬たと思った黄狼が、レイナの風の魔法で切り刻まれた所だった。

「残り一匹……カワード! 私が最初に吹き飛ばした黄狼はまだ生きている。レイナはカワードへ筋力上昇パワーの魔法をかけてやってくれ」
「チッ! レイナ早くしてくれ!」
「ハイハイ、《力の源よこの者に祝福を、パワー!》」
 
 そうレイナが呪文を唱えるとカワードの体が淡い赤色に発光した後すぐに元に戻った。

「このクソ狼、散々やってくれたな。だがこれで死ね!」

 カワードは持っていたショートソードで斬り付けるが、黄狼はそれをかわしカワードの右手首に噛みつく。

「グゥ!? 痛って! 離せえええ」

 あまりの激痛にカワードは持っていた剣を手放し、左手で黄狼の鼻頭はながしらを思いっきり殴りつける。
 黄狼が怯んだ隙に剣を拾い、そのまま黄狼の頭へ剣を振り下ろすが、またも避けられる。

「ちょこまかと動きやがって!」

 黄狼は一端距離を取り、ジグザグに走りながらカワードを翻弄ほんろうし、距離をつめ、大きくジャンプをしてカワードへ頭上から襲いかかる。

「ひぃッ」

 カワードは黄狼の大ジャンプに怯み、剣でガードをしようとするが本能的恐怖で剣を真っ直ぐに突き出す。
 そこへ黄狼が運良く飛び込む形となり、黄狼は絶命した。

「はあはあ、このクソ狼め……どうだ倒したぞ! これで文句ねーだろ教――じぇ、ジェニファーちゃんよ」
「ええ、文句はないわよん。たまたま運よく剣に刺さっただけでも、倒した事に変わりはないわん」
「ッ!! 違う、狙い通りだ!」
「アハン♪ じゃあそう言う事にしましょう。ヒーラーちゃんはこの子を癒してあげてん」

 ジェニファーちゃんがそう言うと、見学席から立ち上がったギルドに雇われた冒険者のヒーラーがカワードを癒す。

 リリアンはレイナの元へ行き何やら話しているが、カワードへの対応は塩その物のように周りには見えた。
 しかしそんな事より目の前で起きた事に「大・興・奮の漢」がいた。無論、流である。

「おおお、魔法だ!! 風で倒したのか? さらに強化魔法もあるのか! ははは、これこそロマン! これぞ異世界だな! お前の魔法最高だな!」

 そう流が興奮しながら、レイナへと詰め寄り大絶賛する。

「え? あ、ありがとう。こんなに褒められた事なかったから驚いた……」

 レイナ絶句の展開で、ますますカワードの事なんて気にもしなくなる。

「オイ! レイナ! そんな魔法も知らない田舎者なんて、ほっといてこっちに来いよ。リリアンもぼーっとしてないで、レイナを連れて来い!」
「……ああ、分かったよ」

 そう言うと二人はカワードの傍へ嫌そうに向かった。

「さてさて、お次はどちらからするのかしらん? 『ボッチボーイ』か、それとも『殲滅し隊』の三人か?」
「ちょっとマテイ! 俺はボッチでも無ければそんな名前で登録もしてないぞ? 勝手に変な名前で呼ぶな。まあいい、じゃあ次は俺が――」

 そこへ被せるように殲滅し隊のリーダーと思う男が名乗りを上げる。

「いや、君は最後にしてくれ。まずは俺達がやる。戦いの参考になるか分からんが見ていてくれ」
「そうか、なら最後まで取っておくさ」

 流がそう言うと、リーダーの男は流の肩をポンと叩くと中央へと進む。
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