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第二章:偉大なる称号
040:ぱっくりとわれたよ
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「話は決まったようね。じゃあ二戦目、始めるわよん」
ジェニファーちゃんは先ほどと同じようにステッキを地面に打ち付けると、魔法陣より黄狼が三頭這い出て来る。
「では初めてちょうだい」
ジェニファーがそう言うと、黄狼は先ほどとは違い連携した動きで殲滅し隊を襲う。
隊の魔法使いと思しき娘を真っ先に狙い出し、一頭は牽制して男二人の注意をそらし、一頭は遊撃的にどちらへも対応出来る位置取りに陣取りっている。
牽制役の黄狼Aは攻撃をしながら、男二人を遊撃役の黄狼Bが真横になるように回り込む。
男達が自分の正面に誘導され、チャンスとばかりに遊撃役の黄狼Bが、剣士の男へ横から攻撃する。
黄狼Bの攻撃をうまく躱したと思った剣士の男が油断した瞬間、そのまま黄狼Bは走り去り、直線上にいる魔法使いの娘へと攻撃を仕掛ける。
魔法使いは防戦一方で動きが鈍く、少し油断すれば大けがを負いそうな感じだった。
その魔法使いに攻撃をしていた黄狼Cも正面から、そして背後から来る遊撃黄狼Bと挟み込む形で攻撃を仕掛け、その爪が魔法使いへ届く刹那――。
「――我を守れ《ファイヤサークル!》」
詠唱を途中から仕込んでいた、魔法使いの周囲に炎の円が吹きあがると、黄狼二匹は燃え上がり動かなくなる。
「よし、かかった! ヴェック、切り刻め!」
「おう!」
ヴェックと呼ばれた短剣使いは防御を捨て、一気に黄狼へと迫りその咢へナイフを投擲する。
投擲されたナイフを避けるため頭を低くした黄狼Aは、それが失敗だったと気が付くのに時間はかからなかった。
体制を立て直そうと体を、上に伸ばすしかなかった限界点を狙い、ヴェックが頭上から短剣で襲いかかり、その首を落とす。
「マーヴェラ~ス! 良くやったわ貴方達。これなら二星級は問題ないわねん」
ジェニファーは異様に大きい音が出る拍手で殲滅し隊を迎える。
「さて、最後はロンリーボーイの出番かしらん。これまでの戦闘を見ても一人でやれるのん?」
「問題ない……が、言い方を変えても意味は一緒のネーミングで呼ぶな!! 俺は古廻流って言うんだ、流と呼べ! ちゃんと覚えとけ。そして相棒はこの美琴だ」
流は美琴を指差しジェニファーにアピールする、ぼっちじゃないよ! と。
「プハッ、アイツのお友達はその微妙に曲がった剣なのか? 笑えるぜ、なあ、レイナ?」
「貴方と一緒にしないでよ、私は物を大事にする人は好きだよ」
なんて声が休憩席の方から聞こえたが、それに対して殲滅し隊の面々は美琴の珍しさと美しさに関心していた。
「確かに相棒と言うだけはあるな、凄い作り込みに見える」
「ほんとだね、あたしもあんなの初めて見たよ」
「だな……これから抜くんだろ? 楽しみだな」
そして――。
(これは……いやまさかねん。でも聞いたことがある、アレと似ているわん)
「はいは~い、独り身ボーイは参加って事ねん。じゃあ中央へ行ってねん」
「チョットマテ、だから一人じゃないって……ん? でも独り身なのは確かだから言い返せない! ぐぬぬぬぅ」
なぜか戦う前から敗北している流は、敗残兵の面持ちで中央へ向かうのだった。
「じゃあ早速始めるわん、黄狼三匹……いくわよん?」
「はいよ~」
なんとも気の抜けた返事をする流に、見学者達も固唾をのむ。
直後、魔法陣から黄狼が三匹這い出て来るが、これまでとは違いジリジリと後ろへと下がって行く。
「あらま、何事かしら!? アナタ達! ちゃんとお仕事しなさい!」
ジェニファーの叱責を受け黄狼達は一塊になる、そして一列になって流へと疾走しだす。
「あ~美琴さんをアイツが馬鹿にするから~。やっぱり怒ってるのを動物は分かるんだろうな。丁度よく一列か……弱点は眉間だしやってみようかね」
流はおもむろに美琴を抜刀すると、右足を後ろへと下げて中腰になる。
さらに美琴の刃を上にし、それを水平に構えて刃を後ろへと引き、刃と流の顔が隣り合わせになる。
迫る黄狼達。距離が残り五メートル程になってから左手を前に出し、中指と薬指の間だけをⅤの字に開き、黄狼の眉間をその指の間に捉える。
黄狼が射程に入るまで残り三メートル……二……一!
「ジジイ流刺突術! 間欠穿!!」
――本来、この間欠穿と言う業は、敵に直径五センチ程の穴を穿ち、その穴を貫通させた背後から血液が間欠泉の如く、勢いよく噴き出す事から命名されたものだった。しかし今「現実に起こった」事は――。
「………………は?」
流が放った間欠穿は狙い通りに先頭を走る黄狼の眉間に吸い込まれた。
その直後〝ゾウン〟と言う形容しがたい音が響き、そして全員が目撃する。
先頭の黄狼が左右に真っ二つに割れ、それが連鎖するように背後の二頭にまで波及すると、まるでドミノが倒れるようにパタリ、パタリと割れた三匹が倒れた。
その直後、割れた黄狼達から勢いよく血飛沫が吹き上がり、正に地獄の間欠泉がそこにあった。
その場にいた全員があまりの惨状に驚愕して誰も動かない、変態紳士のジェニファーちゃんすら口をあんぐりとしている始末だ。
しかしその結果に一番驚いたのは、本来の業の結果を知っている、間欠穿を放った流れであるのは言うまでもない。
☆*:゚♪+。.☆.+**:゚+。☆彡
【あなた様に大感謝♪】
☆*:゚+。.☆.+*♪*:゚+。★彡
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ジェニファーちゃんは先ほどと同じようにステッキを地面に打ち付けると、魔法陣より黄狼が三頭這い出て来る。
「では初めてちょうだい」
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牽制役の黄狼Aは攻撃をしながら、男二人を遊撃役の黄狼Bが真横になるように回り込む。
男達が自分の正面に誘導され、チャンスとばかりに遊撃役の黄狼Bが、剣士の男へ横から攻撃する。
黄狼Bの攻撃をうまく躱したと思った剣士の男が油断した瞬間、そのまま黄狼Bは走り去り、直線上にいる魔法使いの娘へと攻撃を仕掛ける。
魔法使いは防戦一方で動きが鈍く、少し油断すれば大けがを負いそうな感じだった。
その魔法使いに攻撃をしていた黄狼Cも正面から、そして背後から来る遊撃黄狼Bと挟み込む形で攻撃を仕掛け、その爪が魔法使いへ届く刹那――。
「――我を守れ《ファイヤサークル!》」
詠唱を途中から仕込んでいた、魔法使いの周囲に炎の円が吹きあがると、黄狼二匹は燃え上がり動かなくなる。
「よし、かかった! ヴェック、切り刻め!」
「おう!」
ヴェックと呼ばれた短剣使いは防御を捨て、一気に黄狼へと迫りその咢へナイフを投擲する。
投擲されたナイフを避けるため頭を低くした黄狼Aは、それが失敗だったと気が付くのに時間はかからなかった。
体制を立て直そうと体を、上に伸ばすしかなかった限界点を狙い、ヴェックが頭上から短剣で襲いかかり、その首を落とす。
「マーヴェラ~ス! 良くやったわ貴方達。これなら二星級は問題ないわねん」
ジェニファーは異様に大きい音が出る拍手で殲滅し隊を迎える。
「さて、最後はロンリーボーイの出番かしらん。これまでの戦闘を見ても一人でやれるのん?」
「問題ない……が、言い方を変えても意味は一緒のネーミングで呼ぶな!! 俺は古廻流って言うんだ、流と呼べ! ちゃんと覚えとけ。そして相棒はこの美琴だ」
流は美琴を指差しジェニファーにアピールする、ぼっちじゃないよ! と。
「プハッ、アイツのお友達はその微妙に曲がった剣なのか? 笑えるぜ、なあ、レイナ?」
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なんて声が休憩席の方から聞こえたが、それに対して殲滅し隊の面々は美琴の珍しさと美しさに関心していた。
「確かに相棒と言うだけはあるな、凄い作り込みに見える」
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「だな……これから抜くんだろ? 楽しみだな」
そして――。
(これは……いやまさかねん。でも聞いたことがある、アレと似ているわん)
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「チョットマテ、だから一人じゃないって……ん? でも独り身なのは確かだから言い返せない! ぐぬぬぬぅ」
なぜか戦う前から敗北している流は、敗残兵の面持ちで中央へ向かうのだった。
「じゃあ早速始めるわん、黄狼三匹……いくわよん?」
「はいよ~」
なんとも気の抜けた返事をする流に、見学者達も固唾をのむ。
直後、魔法陣から黄狼が三匹這い出て来るが、これまでとは違いジリジリと後ろへと下がって行く。
「あらま、何事かしら!? アナタ達! ちゃんとお仕事しなさい!」
ジェニファーの叱責を受け黄狼達は一塊になる、そして一列になって流へと疾走しだす。
「あ~美琴さんをアイツが馬鹿にするから~。やっぱり怒ってるのを動物は分かるんだろうな。丁度よく一列か……弱点は眉間だしやってみようかね」
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さらに美琴の刃を上にし、それを水平に構えて刃を後ろへと引き、刃と流の顔が隣り合わせになる。
迫る黄狼達。距離が残り五メートル程になってから左手を前に出し、中指と薬指の間だけをⅤの字に開き、黄狼の眉間をその指の間に捉える。
黄狼が射程に入るまで残り三メートル……二……一!
「ジジイ流刺突術! 間欠穿!!」
――本来、この間欠穿と言う業は、敵に直径五センチ程の穴を穿ち、その穴を貫通させた背後から血液が間欠泉の如く、勢いよく噴き出す事から命名されたものだった。しかし今「現実に起こった」事は――。
「………………は?」
流が放った間欠穿は狙い通りに先頭を走る黄狼の眉間に吸い込まれた。
その直後〝ゾウン〟と言う形容しがたい音が響き、そして全員が目撃する。
先頭の黄狼が左右に真っ二つに割れ、それが連鎖するように背後の二頭にまで波及すると、まるでドミノが倒れるようにパタリ、パタリと割れた三匹が倒れた。
その直後、割れた黄狼達から勢いよく血飛沫が吹き上がり、正に地獄の間欠泉がそこにあった。
その場にいた全員があまりの惨状に驚愕して誰も動かない、変態紳士のジェニファーちゃんすら口をあんぐりとしている始末だ。
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