日本最狂の妖刀で、誰も見た事がない異世界・骨董無双~狂気の娘を返品したいがもう遅い!!だから神が宿る骨董品達で、俺が世界を改変してやるッ!!

竹本蘭乃

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第二章:偉大なる称号

045:折り紙は愚か者を許さない

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 変化はあったのだが、相変わらずの様子はこのとおりだった。
 これを書いているヤツは、馬鹿なのだろうか?

 ――――――――――
【現在見れる健康状態】

 生命力:平均的?        ←NEW
 魔 力:未開放
 攻撃力:平均的+やばsぎ
 防御力:薄い本三冊分+妖刀の加護←NEW
 魔法力:未開放
 速度力:殺られる前に殺っちまえ!←NEW
 幸運値:あらすごい

【魔法】
 ーー未開放ーー

【特殊能力】
 観察眼(上級) 気配察知(上級) 第六感(上級) 一撃必殺(初級)

 ――――――――――

 見るとステータスが成長? していた。
 生命力は「?」が付き、防御力には「薄い本三冊分+妖刀の加護」があり、速度力に至っては「殺られる前に殺っちまえ!」と、どこぞの山賊が言いそうな台詞が書いてあった。

「なあ〆。これ書いてる奴は馬鹿なの? それともBAKAなの? わけがわからないよ。どうしてA4サイズなのに手帳にこだわるんだい?」
「〆:そこの愚兄に聞いてくださいな、私にもさっぱりですね」
「壱:ちょ! 僕かて意味が分かりまへんがな。これを管理しているのは僕でっけど、勝手に更新されるんで困ってるんですわ~」

「管理者失格だな」
「〆:愚かな兄ですみません」
「壱:愚かな僕ですんまへん」

 ひな人形と、カエルの折り紙が器用に頭を下げた。ちょっと可愛い……。

「しかし前から疑問に思ってたんだが、一体何が『平均的』なんだ? 誰と比べて平均なんだこれは?」
「壱:それは僕も疑問に思ってましてん。こう言ってはなんやけど、古廻はんの力は向こうの世界で一般人より遥かに高いと感じますねん。ここ数日見ていてそれは実感出来たよって、それは間違いあらへん」
「そうなのか? 確かにジジイに拷問のような修業をさせられたから、剣術なんかは得意だが……それだけじゃないんだろう?」
「壱:はいな。原因はもう一つ、それは美こっちゃんでっせ」

 流は美琴を一撫ですると、納得したようにうなずく。そして右手から鍵鈴を出し壱へと見せる。

「それと、これだな?」
「壱:はいな、鍵鈴での強化もされてますねん。ですから何と比べて平均なのかが、よう分からんのです」
「だとすると一体誰とくらべて……」
「〆:それに『現在見れる』と言うくだりも気になりますね。はっきり申しますと、この手帳の内容は私達が知らない情報ばかりです。本来ならば数値で表示されるはずでしたが、こんな曖昧で意味が不明な表記にはなるはずがありませんでした」

 壱もそれに頷き続ける。

「壱:そうでっせ。僕も古廻はんが最初に健康手帳を呼び出した時に、質問に答えられない所があったのは、これが原因の一つですよって」
「お前達まで分からないなら、どうしようもないな。そう言えばこの手帳を触った事が無いな、浮いてるだけだし……」

 流はそう言うと、何気ない動作で手帳に触れた瞬間〝ゾロリ〟とする妖力が立ち込める。

「ん? キモチワルイ……何か変な感じがする……のか?」
「〆:……あ! 古廻様、忘れておりました。少しお疲れの様ですし、この後戦闘があるのでございましょう? それに万全でのぞんでいただけるように、因幡にお風呂の準備をさせていましたので、疲労回復と気力を補充してきてくださいまし」
「いや、そこまで疲れていないが……」
「壱:ああ……そうでんな。古廻はん、風呂場で因幡が耳をなが~くして待ってますよって、行ってあげてや。それにその包みの中身も渡すんでっしゃろ?」

 あまりに二人がすすめるのと、因幡へのお土産を早く渡したい事もあり、風呂場へと向かう事とする。

「そうか? じゃあ少し入ってリラックスしてくるか」
「〆:はい、その方がよろしいですよ。たぬ爺も喜びますからね。後、もう少し健康手帳を調べてみたいので、このまま置いてくださいましな。
「ん? それはいいけど、たぬ爺って信楽焼のデカイ狸風呂のあれか? 別にそっちは待ってなくていいんだけど……」
 
 そう言いながら流は手帳を触った手が気持ち悪いのか、手を数度振りながら風呂場へ開いた回廊に消えて行った。
 
 そして回廊が閉じた瞬間――店内の様子が激変する。壁は石牢のようになり、品は消え失せ、囲炉裏すら無くなっていた。
 その何もない空間の中心にある「健康手帳」に対し、火縄銃が縦横十段にずらりと整列し、標準を狙い澄ます。

「お前には何でもないような事かも知れんが、我らにとっては流様に対するお前の愚行は……敵対行為そのものだ」

 火縄銃群の中心部分に玉座のような物があり、そこには細身で燕尾服を粋に着崩し、大抵の淑女が惚れそうなチョイ悪風な顔付きに、無精だがヒゲを小奇麗に整えた顔立ちの四〇代程の男が居た。
 その男は脚組をしながら片肘を付き、対象を見下すように魂すら凍てつく眼光で睨みつけている。

 そして更に最悪なのが――。

「下郎……ここを、いえ。流様に対する狼藉と知っての事かえ? 返答次第によっては、未来永劫地獄すら生温い狂気の責苦を味わう事と知れッ!!!!!!!!」

 常人なら見ただけで「恐怖に擦り潰されて、体はおろか魂ごと滅ぶ」程の滅殺気を放ちながら、そこに不釣り合いな傾国の美女が居た。

 深紅の艶やかな絵踏衣装に身を包み、金髪より尚明るい長髪をなびかせ、切れ長の目は黄金色に輝き、瞳孔は縦に黒く割れている。
 頭部には大きな耳があり、背後には太く荒ぶる黄金色の尾が九本蠢いていた。

 絶対的な――終焉。

 それ即ち『死、そのものが顕現けんげん』した姿だった。


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