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第二章:偉大なる称号
054:決戦! デカイ奴!!!
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流は左の手の平を自分に向けて、数舜見てから思いを口に出す。
「いきなり助かったぞ因幡、お前のモフモフで体をコーティングしてなかったら、今頃骨折してても不思議じゃなかった……」
今回、酔狂な神々が解放した異世界へ持って行けるもの。
その三つの内の一つが、〆が念入りに流へ四阿温泉郷で施した「因幡の白兎の加護」であった。
効果は「ダメージの吸収」で耐久回数は五回だが、プとの戦闘からある程度予測した〆が、巨滅級程度の攻撃力ならば「大抵の攻撃は吸収すると確信」した優れものだった。
「やってくれたな巨滅兵。しかしこの世界の強敵は、腕が生えるのがデフォなのか?」
巨滅兵は鞭のようになった左腕をしならせ、流に向かって振り回す。変幻自在で襲いかかる左腕は柔らかいが、当たれば大怪我間違いなしの威力だった。
「剣より使い勝手良いからって、舐めるな巨滅兵! 三連斬!」
流は襲い掛かる触手のような左手を細切れにする――が、次の瞬間再生して二本になった。
「噂には聞いていたがァァまさかの増殖かー!? 蛮勇者、大~ピ・ン・チの予感がしてまいりました! そして私の財布も膨らむ予感が増大です! ヒャッフ~♪」
「あのクソレフェリー、巨滅兵に賭けてるのかよ。って言うか増えるのかよ! オイオイオイ! 冗談は存在だけにしてくれよな、どうするよコレ……巨滅兵作ったやつは絶対、紅白の傘がロゴの会社だろ!!」
巨滅兵は触手の自在さを生かし、頭上から左腕が襲い掛かると同時に、大剣が横からも迫る。
それをギリギリ払いのけながら、後ろへと逃れ一端距離を取る。
「またこのパターンかよ! クソ、次の札を切らせてもらう」
流はそう言うと、美琴を刃の背中側、峰より口にくわえてしゃがみ込み、靴の紐に両手を添えて宣言する。
「韋駄天、発動!!」
何とも締まらない宣言だが、〆が見たら「何をしているのですか、念じるだけで発動しますよ?」と突っ込まれそうだが、言わないと気がすまない。だって男の子だもの!
直後、靴紐が青く光りだす。
宣言を待っていたかのように、巨滅兵が流へ向かって大剣を真っ直ぐに振り下ろす。
観察眼で冷静に観察すると、幅は五十センチ、厚さは五センチ、長さは三メートル程で、最早鈍器と言っても良い重厚さを持っていた。
その鈍器のような大剣を、流は美琴を器用に当て受け流し地面へめり込ませた。そこへ触手が追い打ちをかけるように右から襲い掛かる。
タイミング的に完璧に捉えたはずだった……が、流はすでに触手へ向き直っており、その触手を切り刻みながら強烈に押し進む、そして――。
「ジジイ流薙払術! 巨木斬!!」
半円に弧を描く銀の斬撃が、切り刻まれた触手をなお駆け登り、巨滅兵の左肩付け根から斬り落とす。
流石に触手が生えた状態では肩から斬り落とすのは不可能だと思われたが、切り刻みながら進むスピードが今までとは違ってた。
韋駄天の発動――その効果は「韋駄天狗の髭」から作った靴紐で、脚力と足の筋力を八分限定で二倍に押し上げる効果がある。
本来は祖父直伝の、巨木をも一刀のもとに薙倒す荒業だったが、その足腰の強い押しと、押し込む速度が「肩の切り落とし」を可能にし、美琴の力が加わった事で奥義級にまで昇華していた。
「キ・タ・ゾーー!! またまたやってくれた蛮勇者! あの巨滅兵の片腕を肩からぶった斬ったああああああッ!!」
沸き上る観客席、それを煽る解説兼・レフェリーの男が更に会場を沸かせる。
「くぁぁ、反動がキッツイわ! 美琴と業、そしてこの脚力でここまで昇華するのかよッ」
すぐに斬りかかりたかったが、体がしばしの休息を欲している。
巨滅兵は肩から失った事で呻き声を上げる。が、最初程ではなく寧ろ力を溜め込んでいるようだった。
「まぁ~そうなりますわな……」
巨滅兵の肩の付け根から触手が五本生えてきており、それが巨滅兵と同等の長さにまで成長する。しかし――。
「で、狙い通りって訳ね。でもあれじゃあまり意味が無い……のか?」
流はプ戦で失敗した経験から、常に相手の「生命力」を確認するようにしていた。
そして今回、巨滅兵の生命力は二度の再生により著しい低下をしていたが、弱点の位置が変わっていた。
最初に腕を切り落とし、その後腰回りに集中していた弱点は、現在巨滅兵の眉間になっている。
「あれは届かないわな。クソ、もっと真面目に剣の修行をしとけば良かったか? ジジイ、ちょっとだけ見直したぞ。微妙にな」
まさか現代日本において、異世界で命を賭けて戦うなんて思うはずも無く、逆にこれまで祖父の理不尽さに怒りこそすれ、感謝などした事が無かったが、ここに来て世界最小のカエル、「パエドフリン・アマウンシス」程度の大きさで感謝をする。
やがて完治したのか巨滅兵はゆっくりと動き出し、流へ迫って来る。
「いきなり助かったぞ因幡、お前のモフモフで体をコーティングしてなかったら、今頃骨折してても不思議じゃなかった……」
今回、酔狂な神々が解放した異世界へ持って行けるもの。
その三つの内の一つが、〆が念入りに流へ四阿温泉郷で施した「因幡の白兎の加護」であった。
効果は「ダメージの吸収」で耐久回数は五回だが、プとの戦闘からある程度予測した〆が、巨滅級程度の攻撃力ならば「大抵の攻撃は吸収すると確信」した優れものだった。
「やってくれたな巨滅兵。しかしこの世界の強敵は、腕が生えるのがデフォなのか?」
巨滅兵は鞭のようになった左腕をしならせ、流に向かって振り回す。変幻自在で襲いかかる左腕は柔らかいが、当たれば大怪我間違いなしの威力だった。
「剣より使い勝手良いからって、舐めるな巨滅兵! 三連斬!」
流は襲い掛かる触手のような左手を細切れにする――が、次の瞬間再生して二本になった。
「噂には聞いていたがァァまさかの増殖かー!? 蛮勇者、大~ピ・ン・チの予感がしてまいりました! そして私の財布も膨らむ予感が増大です! ヒャッフ~♪」
「あのクソレフェリー、巨滅兵に賭けてるのかよ。って言うか増えるのかよ! オイオイオイ! 冗談は存在だけにしてくれよな、どうするよコレ……巨滅兵作ったやつは絶対、紅白の傘がロゴの会社だろ!!」
巨滅兵は触手の自在さを生かし、頭上から左腕が襲い掛かると同時に、大剣が横からも迫る。
それをギリギリ払いのけながら、後ろへと逃れ一端距離を取る。
「またこのパターンかよ! クソ、次の札を切らせてもらう」
流はそう言うと、美琴を刃の背中側、峰より口にくわえてしゃがみ込み、靴の紐に両手を添えて宣言する。
「韋駄天、発動!!」
何とも締まらない宣言だが、〆が見たら「何をしているのですか、念じるだけで発動しますよ?」と突っ込まれそうだが、言わないと気がすまない。だって男の子だもの!
直後、靴紐が青く光りだす。
宣言を待っていたかのように、巨滅兵が流へ向かって大剣を真っ直ぐに振り下ろす。
観察眼で冷静に観察すると、幅は五十センチ、厚さは五センチ、長さは三メートル程で、最早鈍器と言っても良い重厚さを持っていた。
その鈍器のような大剣を、流は美琴を器用に当て受け流し地面へめり込ませた。そこへ触手が追い打ちをかけるように右から襲い掛かる。
タイミング的に完璧に捉えたはずだった……が、流はすでに触手へ向き直っており、その触手を切り刻みながら強烈に押し進む、そして――。
「ジジイ流薙払術! 巨木斬!!」
半円に弧を描く銀の斬撃が、切り刻まれた触手をなお駆け登り、巨滅兵の左肩付け根から斬り落とす。
流石に触手が生えた状態では肩から斬り落とすのは不可能だと思われたが、切り刻みながら進むスピードが今までとは違ってた。
韋駄天の発動――その効果は「韋駄天狗の髭」から作った靴紐で、脚力と足の筋力を八分限定で二倍に押し上げる効果がある。
本来は祖父直伝の、巨木をも一刀のもとに薙倒す荒業だったが、その足腰の強い押しと、押し込む速度が「肩の切り落とし」を可能にし、美琴の力が加わった事で奥義級にまで昇華していた。
「キ・タ・ゾーー!! またまたやってくれた蛮勇者! あの巨滅兵の片腕を肩からぶった斬ったああああああッ!!」
沸き上る観客席、それを煽る解説兼・レフェリーの男が更に会場を沸かせる。
「くぁぁ、反動がキッツイわ! 美琴と業、そしてこの脚力でここまで昇華するのかよッ」
すぐに斬りかかりたかったが、体がしばしの休息を欲している。
巨滅兵は肩から失った事で呻き声を上げる。が、最初程ではなく寧ろ力を溜め込んでいるようだった。
「まぁ~そうなりますわな……」
巨滅兵の肩の付け根から触手が五本生えてきており、それが巨滅兵と同等の長さにまで成長する。しかし――。
「で、狙い通りって訳ね。でもあれじゃあまり意味が無い……のか?」
流はプ戦で失敗した経験から、常に相手の「生命力」を確認するようにしていた。
そして今回、巨滅兵の生命力は二度の再生により著しい低下をしていたが、弱点の位置が変わっていた。
最初に腕を切り落とし、その後腰回りに集中していた弱点は、現在巨滅兵の眉間になっている。
「あれは届かないわな。クソ、もっと真面目に剣の修行をしとけば良かったか? ジジイ、ちょっとだけ見直したぞ。微妙にな」
まさか現代日本において、異世界で命を賭けて戦うなんて思うはずも無く、逆にこれまで祖父の理不尽さに怒りこそすれ、感謝などした事が無かったが、ここに来て世界最小のカエル、「パエドフリン・アマウンシス」程度の大きさで感謝をする。
やがて完治したのか巨滅兵はゆっくりと動き出し、流へ迫って来る。
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