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第二章:偉大なる称号
055:決戦! デカイ奴!!!!
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「巨滅兵先輩余裕ッスね。残り……四分か」
腕時計から時間を確認し、韋駄天の残り時間が四分を切り始めた事で、更に気を引き締める。
(因幡の白兎の加護も後四回、韋駄天の効果も残り僅かで弱点は届かない。ならやる事は一つ!)
「届かねえなら、届くまで斬り伏せればいいだけだろッ!! 美琴、ちょっと待っててくれよーー!!」
流は韋駄天の助力で更に後ろへ飛びながら、美琴を途中の地面に突き刺す。
そして、クラウチングスタート擬きのような体勢から爆走するッ!!
正当な古流派がこの行為を見たら「馬鹿め!!」と言える剣の放置。しかし流は「名を捨てて実を取る」漢であり、勝つためなら剣士にあるまじき行為も、平気で行うリアリストであった。
その流が取った行動は、未熟な我が身では美琴を持ちながら爆走するにはバランスが悪い。つまり――。
「このトップスピードでーーー! 美琴ッ待たせた!!!!」
流は最高に速度が乗った所で美琴を回収し、そのまま巨滅兵へと滑り込むように右太もも目掛けて一閃!
巨滅兵も流のあまりのスピードに触手と剣のガードが間に合わず、容易く懐へ入られてしまい、太ももの大腿四頭筋を斬り割く。
流石に弱点じゃないからか、斬り落とす事は無理だった。しかしそれでも十分なダメージがあるらしく、巨滅兵は右膝から崩れ落ちる。
「つあ~何だ~?? 蛮勇者がとんでもない速さで走って来たと思ったら、巨滅兵が地に片膝をついてー。ん!? ッアアアア~! しかも大ダメージを右足に負ったあああ!! 巨滅兵大ピンチ! ついでに私の財布も大ピンチだあああ!! ヒィィィッ」
歓声と怒声が入り混じるカオスな声援が会場を満たしきる頃、流は次の行動に出た。
「あわよくば切り落とせるかと思ったが、やっぱり無理だったかッ! あれだけの速度を乗せた渾身の一撃だっつーのに。が、こっからが勝負! 結局最後は俺の女神様頼りか。手帳の小言確定だが……頼むぜ~あの長い触手を見極めろッ!!」
そう覚悟を決めると、流は〝アツイハート〟と〝コールドヘッド〟で「鑑定眼」を発動させた。
巨滅兵は右足の代わりに大剣で倒れないように体を支え、攻撃は触手で行って来る。
その内の一本を斬り飛ばすが、右足の治療に全力を注いでいるからか同じ場所から生え戻るだけで、これ以上の増殖はしなかった。
襲い来る触手をその場で流れるように捌き、そして斬り飛ばしながら、流はそのパターンを見極める。
(三・二・五・一・四……この順が多い。そしてもうすぐ右足も完治しやがる)
触手に番号を振り、その行動パターンを数度確認した流は「賭け」に出る。
「切り札は最後まで取っておくのが俺の流儀、使わせてもらうッ!!」
流はそう言うと、左手で腰のアイテムバッグから「試験管」を取り出す。
中身は炭酸のように泡立つ、メロンソーダーのような色をした物だった。
襲い来る触手を右手に持った美琴のみで打ち払い、試験管の蓋になっているコルクを口で外し吐き捨てる。
そしてその時が来た。右足の治療が完了した巨滅兵は、片膝を付いていた体勢から勢い良く立ち上がり、積年の恨みが形を成したかの如く、怒りを大剣のブレイドを「横にして」攻撃してくる。
つまり斬るのではなく、剣の腹で流れを叩き潰す! それを韋駄天ブーストされたバックステップでかわし、大剣を見る。
よほど力を込めたのか大剣は地面にめり込み、片手で引き抜くのに時間がかかりそうだった。
「BIGチャ~ンス!」
ちらりと流は腕時計を一瞥する。
「残り三十八秒、行けるか!?」
流は試験管を口にくわえる、そして――。
「なんだー!? 蛮勇者が後方へ飛んだと思ったら、今度は猛烈な勢いで走り出して巨滅兵の大剣を駆け上って行くぞおおお!!!!」
会場も驚きの声で埋め尽くされる。
大剣を駆け登る流。そこへ容赦なく襲いかかる触手群が、流を払わんと攻撃する。
その苛烈な攻撃は流を確実に捉え、ダメージを与えるかに見えたが、因幡の加護でそれを無視して突き進む!
(三・二・五・一! ここだ!)
大剣のブレイドを駆け抜け、ガードを超えた所で最後のナンバー『四』が、因幡の加護が消え失せた流へ襲いかかる。
これまで先端が丸かった触手だが、当たっても効果が無いと判断した巨滅兵は、『四』の先端を槍のように尖らせ、凶悪な先端を流に向かって放つ。
直撃寸前、流は巨滅兵の腕を駆け登りながら「間欠穿」を穿つ体勢に入る――が、最後の触手たる『四』が「これまで同様左太腿」に狙いを定め、死の先兵として流の足を貫いた!
会場にはレフェリーの絶叫が駆け巡り、観客の悲鳴のような歓声と、怒号が巻き起こる。
流は強烈な衝撃の後、得も言われぬ激痛に意識を失いかける。
が、しかしそこは「覚悟済み」であったために、なんとかギリギリで意識を保ち、美琴で刺さった触手を斬り飛ばす。
そしてくわえた試験管を一気に煽り上げ、「緑色の液体」を体内へ流し込む。
すると激痛は消え失せ、体内にあった異物たる触手を押し出すように排除して、傷口はあっと言う間に塞がった。
流が使用した最後の切り札は『神速回復薬』と言われるものだった。
効果は言わずもがな、破損した体内細胞と体力の即時回復と、異物排出である。
腕時計から時間を確認し、韋駄天の残り時間が四分を切り始めた事で、更に気を引き締める。
(因幡の白兎の加護も後四回、韋駄天の効果も残り僅かで弱点は届かない。ならやる事は一つ!)
「届かねえなら、届くまで斬り伏せればいいだけだろッ!! 美琴、ちょっと待っててくれよーー!!」
流は韋駄天の助力で更に後ろへ飛びながら、美琴を途中の地面に突き刺す。
そして、クラウチングスタート擬きのような体勢から爆走するッ!!
正当な古流派がこの行為を見たら「馬鹿め!!」と言える剣の放置。しかし流は「名を捨てて実を取る」漢であり、勝つためなら剣士にあるまじき行為も、平気で行うリアリストであった。
その流が取った行動は、未熟な我が身では美琴を持ちながら爆走するにはバランスが悪い。つまり――。
「このトップスピードでーーー! 美琴ッ待たせた!!!!」
流は最高に速度が乗った所で美琴を回収し、そのまま巨滅兵へと滑り込むように右太もも目掛けて一閃!
巨滅兵も流のあまりのスピードに触手と剣のガードが間に合わず、容易く懐へ入られてしまい、太ももの大腿四頭筋を斬り割く。
流石に弱点じゃないからか、斬り落とす事は無理だった。しかしそれでも十分なダメージがあるらしく、巨滅兵は右膝から崩れ落ちる。
「つあ~何だ~?? 蛮勇者がとんでもない速さで走って来たと思ったら、巨滅兵が地に片膝をついてー。ん!? ッアアアア~! しかも大ダメージを右足に負ったあああ!! 巨滅兵大ピンチ! ついでに私の財布も大ピンチだあああ!! ヒィィィッ」
歓声と怒声が入り混じるカオスな声援が会場を満たしきる頃、流は次の行動に出た。
「あわよくば切り落とせるかと思ったが、やっぱり無理だったかッ! あれだけの速度を乗せた渾身の一撃だっつーのに。が、こっからが勝負! 結局最後は俺の女神様頼りか。手帳の小言確定だが……頼むぜ~あの長い触手を見極めろッ!!」
そう覚悟を決めると、流は〝アツイハート〟と〝コールドヘッド〟で「鑑定眼」を発動させた。
巨滅兵は右足の代わりに大剣で倒れないように体を支え、攻撃は触手で行って来る。
その内の一本を斬り飛ばすが、右足の治療に全力を注いでいるからか同じ場所から生え戻るだけで、これ以上の増殖はしなかった。
襲い来る触手をその場で流れるように捌き、そして斬り飛ばしながら、流はそのパターンを見極める。
(三・二・五・一・四……この順が多い。そしてもうすぐ右足も完治しやがる)
触手に番号を振り、その行動パターンを数度確認した流は「賭け」に出る。
「切り札は最後まで取っておくのが俺の流儀、使わせてもらうッ!!」
流はそう言うと、左手で腰のアイテムバッグから「試験管」を取り出す。
中身は炭酸のように泡立つ、メロンソーダーのような色をした物だった。
襲い来る触手を右手に持った美琴のみで打ち払い、試験管の蓋になっているコルクを口で外し吐き捨てる。
そしてその時が来た。右足の治療が完了した巨滅兵は、片膝を付いていた体勢から勢い良く立ち上がり、積年の恨みが形を成したかの如く、怒りを大剣のブレイドを「横にして」攻撃してくる。
つまり斬るのではなく、剣の腹で流れを叩き潰す! それを韋駄天ブーストされたバックステップでかわし、大剣を見る。
よほど力を込めたのか大剣は地面にめり込み、片手で引き抜くのに時間がかかりそうだった。
「BIGチャ~ンス!」
ちらりと流は腕時計を一瞥する。
「残り三十八秒、行けるか!?」
流は試験管を口にくわえる、そして――。
「なんだー!? 蛮勇者が後方へ飛んだと思ったら、今度は猛烈な勢いで走り出して巨滅兵の大剣を駆け上って行くぞおおお!!!!」
会場も驚きの声で埋め尽くされる。
大剣を駆け登る流。そこへ容赦なく襲いかかる触手群が、流を払わんと攻撃する。
その苛烈な攻撃は流を確実に捉え、ダメージを与えるかに見えたが、因幡の加護でそれを無視して突き進む!
(三・二・五・一! ここだ!)
大剣のブレイドを駆け抜け、ガードを超えた所で最後のナンバー『四』が、因幡の加護が消え失せた流へ襲いかかる。
これまで先端が丸かった触手だが、当たっても効果が無いと判断した巨滅兵は、『四』の先端を槍のように尖らせ、凶悪な先端を流に向かって放つ。
直撃寸前、流は巨滅兵の腕を駆け登りながら「間欠穿」を穿つ体勢に入る――が、最後の触手たる『四』が「これまで同様左太腿」に狙いを定め、死の先兵として流の足を貫いた!
会場にはレフェリーの絶叫が駆け巡り、観客の悲鳴のような歓声と、怒号が巻き起こる。
流は強烈な衝撃の後、得も言われぬ激痛に意識を失いかける。
が、しかしそこは「覚悟済み」であったために、なんとかギリギリで意識を保ち、美琴で刺さった触手を斬り飛ばす。
そしてくわえた試験管を一気に煽り上げ、「緑色の液体」を体内へ流し込む。
すると激痛は消え失せ、体内にあった異物たる触手を押し出すように排除して、傷口はあっと言う間に塞がった。
流が使用した最後の切り札は『神速回復薬』と言われるものだった。
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