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第三章:滅ぼす者と、領域者との出会い
065:古廻流、大きな鏡を見て唸る
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「馬鹿なぁ、俺が貴様と同じ変態だと言うのか……」
「嘘だろう、俺がコイツと同じ変態だってのか……」
「へ、変態かどうかはさて置き、言動は……その、同じかと」
「そうですね、兄の意見にえっと……私も同じです」
申し訳なさそうに言う兄弟に、周りのギャラリーも同情的な視線を送る。
この世の終わりのような顔をした二人、それをいたたまれない表情で見守るギャラリー達。
と、そこへ黒い執事服の品の良い初老の男が割って入って来た。
「お……コホン。お館様探しましたぞ! 一人でこのような場所までおいでになってはいけませんと、あれほど申しましたのに!!」
「セヴァスか……。聞いてくれよセヴァス。俺はどうやら変態だったらしい……」
「はい、存じ上げております。そんな事より早く帰りますよ」
「え゛!! 知ってたの!? くッ、オイそこの貴様! 今日のところは勘弁してやる! 次に会ったら容赦はしないと覚悟するがいい!」
「何の勝負か存じませんが、お客様方がお待ちになっております。至急お戻りください」
そう言うとセヴァスは流に一礼した後、小柄だが身なりの良い、金髪緑目でロングヘアな美男子を拉致するように去っていった。
「お前と一緒にするな! 俺のは純粋な骨董愛だ!! お前などバカめだ、バカめと言ってやる!!」
連れ去られる漢と、吠える漢。
ギャラリーは思った。「ダメだこいつら!」と。
◇◇◇
流は野良犬に噛まれた気分で、お屋敷街へ重い足取りで向かう。
「まったく信じられないな、何だあの変質者は! まあ、あんな変態の事は忘れよう、思い出すだけで……」
ふと思いなおしてみる。何かこう自分と通じる所があるんじゃないか? と。
「イヤイヤイヤ、俺はあんな壺に口づけはしないぞ? 頬ずりはしたけ、ど……」
思い出すと自分と似たような所がある、そう思うと無性に可笑しくなる。
「くくッ、ぷッ。あっはははは! そうか、そうだったな……これが同属嫌悪ってやつか!! あの変態め、絶対に許せん!!」
なぜか同属嫌悪に昇華した同類への怒りが、何かの装置に伝わったのか、怒りが加速した流であった。
そうこうしていると、お屋敷街へさしかかる。
日は完全に落ち、辺りを夜の帳が優しく包む。道を照らす街灯は魔法の光なのか、科学の光と違いどこか幻想的ですらあった。
「ふぅ~やっと着いた。この町はかなりの大きさだから移動手段や、荷物の運び方も考えないとな。えっと鍵は……あ、そうだった。この屋敷は生体認証みたいなのがあるって言ってたな。門柱の所に……あった、コレか?」
屋敷の門柱にある天使像のような物に手をかざすと、意匠を凝らした門が静かに開き、庭園が息を吹き返したかのように輝きだす。
「現代マンションも真っ青なギミックだな……」
屋敷の正面玄関に到着すると、そこも勝手にドアが開く。さらに屋敷に魔具の灯りが、波紋が広がる様に全体に広がっていった。
「これ、凄いな~。さて、荷物は一端その部屋へまとめて置いてっと。宿屋に戻るのも面倒だから、報告も兼ねて異怪骨董やさんへ戻るかな」
流は「異界の間」と名付けた三階の部屋へと向かう、途中何度か霊的な何かを感じたが、その都度美琴が反応したと思うと霧散してしまうのだった。
「やっぱりアレなのか? 出る? 出ちゃうのコレ? やだ~幽霊屋敷じゃないですか~。まあ美琴さんを知った後で、今更幽霊と言われても(困惑)って感じだしな」
幽霊と一緒にされたのが不満だったのか、美琴が珍しくムっとしたような雰囲気を出す。
「あ、いや。ごめんごめん、別に美琴が幽霊って訳じゃなくてだな……ん? そう考えると、美琴って刀匠美琴……なのか? それとも他の魂? んんん~謎だな。何となくだが複数の存在を感じるし……」
そんな事を考えていたら異界の間へ着いたので、中へ入って鉾鈴を出す。
「幽霊屋敷か。こんな物件だから安くしてくれたんだろうけど、メリサの奴無理してないだうな? 戻ったらそっちも行ってみないとな」
そして鍵鈴を掲げて異超門を顕現させ、流はその中に消えて行った。
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「嘘だろう、俺がコイツと同じ変態だってのか……」
「へ、変態かどうかはさて置き、言動は……その、同じかと」
「そうですね、兄の意見にえっと……私も同じです」
申し訳なさそうに言う兄弟に、周りのギャラリーも同情的な視線を送る。
この世の終わりのような顔をした二人、それをいたたまれない表情で見守るギャラリー達。
と、そこへ黒い執事服の品の良い初老の男が割って入って来た。
「お……コホン。お館様探しましたぞ! 一人でこのような場所までおいでになってはいけませんと、あれほど申しましたのに!!」
「セヴァスか……。聞いてくれよセヴァス。俺はどうやら変態だったらしい……」
「はい、存じ上げております。そんな事より早く帰りますよ」
「え゛!! 知ってたの!? くッ、オイそこの貴様! 今日のところは勘弁してやる! 次に会ったら容赦はしないと覚悟するがいい!」
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そう言うとセヴァスは流に一礼した後、小柄だが身なりの良い、金髪緑目でロングヘアな美男子を拉致するように去っていった。
「お前と一緒にするな! 俺のは純粋な骨董愛だ!! お前などバカめだ、バカめと言ってやる!!」
連れ去られる漢と、吠える漢。
ギャラリーは思った。「ダメだこいつら!」と。
◇◇◇
流は野良犬に噛まれた気分で、お屋敷街へ重い足取りで向かう。
「まったく信じられないな、何だあの変質者は! まあ、あんな変態の事は忘れよう、思い出すだけで……」
ふと思いなおしてみる。何かこう自分と通じる所があるんじゃないか? と。
「イヤイヤイヤ、俺はあんな壺に口づけはしないぞ? 頬ずりはしたけ、ど……」
思い出すと自分と似たような所がある、そう思うと無性に可笑しくなる。
「くくッ、ぷッ。あっはははは! そうか、そうだったな……これが同属嫌悪ってやつか!! あの変態め、絶対に許せん!!」
なぜか同属嫌悪に昇華した同類への怒りが、何かの装置に伝わったのか、怒りが加速した流であった。
そうこうしていると、お屋敷街へさしかかる。
日は完全に落ち、辺りを夜の帳が優しく包む。道を照らす街灯は魔法の光なのか、科学の光と違いどこか幻想的ですらあった。
「ふぅ~やっと着いた。この町はかなりの大きさだから移動手段や、荷物の運び方も考えないとな。えっと鍵は……あ、そうだった。この屋敷は生体認証みたいなのがあるって言ってたな。門柱の所に……あった、コレか?」
屋敷の門柱にある天使像のような物に手をかざすと、意匠を凝らした門が静かに開き、庭園が息を吹き返したかのように輝きだす。
「現代マンションも真っ青なギミックだな……」
屋敷の正面玄関に到着すると、そこも勝手にドアが開く。さらに屋敷に魔具の灯りが、波紋が広がる様に全体に広がっていった。
「これ、凄いな~。さて、荷物は一端その部屋へまとめて置いてっと。宿屋に戻るのも面倒だから、報告も兼ねて異怪骨董やさんへ戻るかな」
流は「異界の間」と名付けた三階の部屋へと向かう、途中何度か霊的な何かを感じたが、その都度美琴が反応したと思うと霧散してしまうのだった。
「やっぱりアレなのか? 出る? 出ちゃうのコレ? やだ~幽霊屋敷じゃないですか~。まあ美琴さんを知った後で、今更幽霊と言われても(困惑)って感じだしな」
幽霊と一緒にされたのが不満だったのか、美琴が珍しくムっとしたような雰囲気を出す。
「あ、いや。ごめんごめん、別に美琴が幽霊って訳じゃなくてだな……ん? そう考えると、美琴って刀匠美琴……なのか? それとも他の魂? んんん~謎だな。何となくだが複数の存在を感じるし……」
そんな事を考えていたら異界の間へ着いたので、中へ入って鉾鈴を出す。
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