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第三章:滅ぼす者と、領域者との出会い
070:溺愛しすぎな狐さんと、うさぎさん
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「フム。何をしているのですか愚兄は……お二人とも、そろそろ流様を休ませてはいかがかな? 二人がそんなに揺すったりしたら安まらないからね」
「そ、それもそうでした。因幡、お布団の用意を」
「はい、分かったのです!」
因幡は布団の用意を手早くすませると、〆の膝枕で寝ている流を布団まで運ぶのだった。
やっと落ち着きを取り戻した〆と因幡、そして壱と参は、流を囲むようにして今後について話をする。
丁度そこへ〆が放った式神が帰って来た事で、落ち着いて話を先に進める。
「まずは取り乱してしまった事を謝罪します。そして今、ここに式神からの報告が来ました」
「壱:それであの憚り者がどこから湧いて来たって言うんや?」
「それなんですが……調べによると、憚り者がいた部屋の壁にこんな物が埋め込まれていたようです」
〆が袖から出した物は、黒く細長い薄い物だった。
「フ……ムゥ。これは!! まさか憚り者の一部か!?」
「ええ、そのようですね。何時の物か……等は考えるまでも無くあの時以前でしょう」
「壱:あんのクソ虫が!! まさかこんな仕掛けをしとったとはな」
「フム。姑息の上に周到を重ねる、あの憚り者にはうってつけの方法だったと言う訳か、実に腹ただしい」
全員が『憚り者』に憤慨している所へ因幡がお茶を持ってくる。
「あのぅ~皆さん、お茶でも飲んで落ち着いてくださいなのです」
「あらあら、そうでしたね。それより先程は気が動転していましたから、自然に受け止めていたけれど、因幡貴女……」
「壱:ほんま驚いたで、その姿を見るのも随分と久しぶりさかいな」
「フム。随分とまた……色々と大きくなったなぁ」
そう言われると無性に恥ずかしくなった因幡は、持っていたお盆で顔をかくしてしまう。
その顔は実に整っており、綺麗系と自分では言ってはいるが、どちらかと言えば可愛い系の顔立ちで、瞳は良く見れば分かる感じの薄いピンクのような赤色だった。
髪は少しピンクがかった白銀に輝き、その頭部からは短くも無く、長くも無いウサ耳が生えて、片方折れ垂れていた。
身長は百六十センチ程で、実に〝むっちり〟としているが、太った感じは全く感じない健康的な体つきをしている。
「そ、そんなに見ないで欲しいのです。とても恥ずかしいのです」
「そうですか、因幡は流様がとても大事な人になったのね」
「はいなのです! 何故か、お客人の事が気になって仕方ないのです」
「壱:そっか……。おまえにもまたいい季節が巡って来たのかもなぁ」
「フム。その気持ちを大切にするのですよ?」
「皆さんありがとうなのです。それじゃボクはお店の方を片付けて来るのです」
そう言うと因幡は襖を閉めて店へと向かうのを見届けると、壱が話し始める。
「壱:店内や屋敷にはアレの残骸はもうあらへんのやろな?」
「ええ、それは間違いなく」
「壱:ならええんや。さて今後なんやが報告した通り、あちらの世界に予想通り封印されとると思う情報が何個かあったんやが、その一つがダンジョンと呼ばれる所がどうもクサイと思うんやがな?」
「ダンジョンですか? 確かに先日の報告で聞きましたが……何故そこが怪しいと?」
「壱:直感なんやが、そこに守護者がおると思う。と言うのも、流様があっちで交流した人物からの情報で、そのダンジョンは走破出来ていないらしくてな。その原因となっとるのが『馬牛ずらの二匹』ちゅう話や」
その話に〆と参は息を呑む
「フム。まさかと思うが、牛頭と馬頭なのか?」
「可能性はあるでしょうね……むしろあの二人なら主の帰還を望み、封印を守っていると見て間違いないでしょう」
三人はじっと流れを見つめる。今だ意識は戻らず、深い睡眠状態にあるようだった。
「フム。こう言っては何だが、流様はあの業を中伝まで納められたとの事だが、未だに未熟。しかも『鍵鈴の印』はまだ発現されておられない。このままではいささか不安ではあるし、主としてまだ未熟」
「壱:あ、馬鹿や……」
壱がそう呟くが早いか、〆の殺気が密度の濃い塊となって壱と参へと放つ。
「フゥッ!? お、落ち着つくのだ、妹よ! わ、悪気があって言った訳じゃない、寧ろ心配をしてだな」
「壱:ちょーま!? 何で僕まで巻き込むん!? 何も言ってないやんか!!」
「いくら良い出来の兄とは言え、流れ様に対する暴言は許しませんよ? 愚兄は存在自体がすでに『やらかしている』ので問題ありません」
「壱:なんでやねん!!」
参は額の汗を拭いながら〆に苦言を呈す。
「ふぅ……妹よ、いささか過保護では無いのかな? 事実を認めなければ、それこそ流様の身が危うい」
「……分かっていますよ。それでは参は流様に付いて行って、あちらでのサポートをなさい。具体的には屋敷の防衛施設としての拠点化と、執事としてね」
「フム。ここで流様と憚り者が接触したと言う事は、やがて来ると思っているのだろう?」
「ええ、残念ながら……出来れば流様には、あちらで自由を満喫していただけたら良かったのですが、今日の事を思うとやはり難しいかと」
寂しそうにポツリとつぶやくと、そっと流の頭を撫でながら過去を思い出す。
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「そ、それもそうでした。因幡、お布団の用意を」
「はい、分かったのです!」
因幡は布団の用意を手早くすませると、〆の膝枕で寝ている流を布団まで運ぶのだった。
やっと落ち着きを取り戻した〆と因幡、そして壱と参は、流を囲むようにして今後について話をする。
丁度そこへ〆が放った式神が帰って来た事で、落ち着いて話を先に進める。
「まずは取り乱してしまった事を謝罪します。そして今、ここに式神からの報告が来ました」
「壱:それであの憚り者がどこから湧いて来たって言うんや?」
「それなんですが……調べによると、憚り者がいた部屋の壁にこんな物が埋め込まれていたようです」
〆が袖から出した物は、黒く細長い薄い物だった。
「フ……ムゥ。これは!! まさか憚り者の一部か!?」
「ええ、そのようですね。何時の物か……等は考えるまでも無くあの時以前でしょう」
「壱:あんのクソ虫が!! まさかこんな仕掛けをしとったとはな」
「フム。姑息の上に周到を重ねる、あの憚り者にはうってつけの方法だったと言う訳か、実に腹ただしい」
全員が『憚り者』に憤慨している所へ因幡がお茶を持ってくる。
「あのぅ~皆さん、お茶でも飲んで落ち着いてくださいなのです」
「あらあら、そうでしたね。それより先程は気が動転していましたから、自然に受け止めていたけれど、因幡貴女……」
「壱:ほんま驚いたで、その姿を見るのも随分と久しぶりさかいな」
「フム。随分とまた……色々と大きくなったなぁ」
そう言われると無性に恥ずかしくなった因幡は、持っていたお盆で顔をかくしてしまう。
その顔は実に整っており、綺麗系と自分では言ってはいるが、どちらかと言えば可愛い系の顔立ちで、瞳は良く見れば分かる感じの薄いピンクのような赤色だった。
髪は少しピンクがかった白銀に輝き、その頭部からは短くも無く、長くも無いウサ耳が生えて、片方折れ垂れていた。
身長は百六十センチ程で、実に〝むっちり〟としているが、太った感じは全く感じない健康的な体つきをしている。
「そ、そんなに見ないで欲しいのです。とても恥ずかしいのです」
「そうですか、因幡は流様がとても大事な人になったのね」
「はいなのです! 何故か、お客人の事が気になって仕方ないのです」
「壱:そっか……。おまえにもまたいい季節が巡って来たのかもなぁ」
「フム。その気持ちを大切にするのですよ?」
「皆さんありがとうなのです。それじゃボクはお店の方を片付けて来るのです」
そう言うと因幡は襖を閉めて店へと向かうのを見届けると、壱が話し始める。
「壱:店内や屋敷にはアレの残骸はもうあらへんのやろな?」
「ええ、それは間違いなく」
「壱:ならええんや。さて今後なんやが報告した通り、あちらの世界に予想通り封印されとると思う情報が何個かあったんやが、その一つがダンジョンと呼ばれる所がどうもクサイと思うんやがな?」
「ダンジョンですか? 確かに先日の報告で聞きましたが……何故そこが怪しいと?」
「壱:直感なんやが、そこに守護者がおると思う。と言うのも、流様があっちで交流した人物からの情報で、そのダンジョンは走破出来ていないらしくてな。その原因となっとるのが『馬牛ずらの二匹』ちゅう話や」
その話に〆と参は息を呑む
「フム。まさかと思うが、牛頭と馬頭なのか?」
「可能性はあるでしょうね……むしろあの二人なら主の帰還を望み、封印を守っていると見て間違いないでしょう」
三人はじっと流れを見つめる。今だ意識は戻らず、深い睡眠状態にあるようだった。
「フム。こう言っては何だが、流様はあの業を中伝まで納められたとの事だが、未だに未熟。しかも『鍵鈴の印』はまだ発現されておられない。このままではいささか不安ではあるし、主としてまだ未熟」
「壱:あ、馬鹿や……」
壱がそう呟くが早いか、〆の殺気が密度の濃い塊となって壱と参へと放つ。
「フゥッ!? お、落ち着つくのだ、妹よ! わ、悪気があって言った訳じゃない、寧ろ心配をしてだな」
「壱:ちょーま!? 何で僕まで巻き込むん!? 何も言ってないやんか!!」
「いくら良い出来の兄とは言え、流れ様に対する暴言は許しませんよ? 愚兄は存在自体がすでに『やらかしている』ので問題ありません」
「壱:なんでやねん!!」
参は額の汗を拭いながら〆に苦言を呈す。
「ふぅ……妹よ、いささか過保護では無いのかな? 事実を認めなければ、それこそ流様の身が危うい」
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「フム。ここで流様と憚り者が接触したと言う事は、やがて来ると思っているのだろう?」
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