日本最狂の妖刀で、誰も見た事がない異世界・骨董無双~狂気の娘を返品したいがもう遅い!!だから神が宿る骨董品達で、俺が世界を改変してやるッ!!

竹本蘭乃

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第三章:滅ぼす者と、領域者との出会い

073:その漢、雷蔵につき

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「そして今後じゃがな……おんしには…………修羅の道を歩んでもらわにゃならん……」

 そう言うと祖父は、また涙を流すのだった。

「ほんにすまん、一族をあの化け物から解放させるのが古廻の長としての務め。なれど、その本懐を孫に命ずる事になるとは、あの時は思わなんだ……正直、次の古廻の長は、おんしで決まりであった。だからこそあの地獄の修行を与えたのだが、まさか人形バケモノを討滅する当事者になってしまうとはのう……」

 あの豪胆な祖父が、涙を流し、ここまで申し訳なさそうにしている。そんな祖父を見て流は思った。

(ブッホッ~あのクソジジイが俺に頭さげてやんの! 人生最良のひ――あぎゃッ)

 そんな流に溶解した鉄より、なお熱い鉄拳が降って来る。

「こんの大馬鹿者があ!!!! おんしのような阿呆を孫に持ったと思うと、わしは情けないわ!!!!」
(ハハハ、爺さん。それでいいんじゃないのか? やっぱり爺さんはそうじゃないとな!!)
「おんし……ふん、未熟な孫に笑い飛ばされるとはのう。わしも老いたと言う事かの」
(まあ俺に任せとけよ! 先祖の無念もついでに晴らしてやるってばよ? それにな、あっちの世界は本当に最高なんだぜ? 友達も出来たし、見たことも無い色々な骨董に溢れているんだよ! それでな――)

 祖父――古廻雷蔵こまわりらいぞうは、孫の流が異世界の生活を楽しんでいるのを見て、またも涙腺が崩壊しそうになったが、そこは根性で耐えて見せた。
 そんな孫を見て雷蔵は思う「素直で真っ直ぐな漢に育ってくれて良かった」と。

((見とるか婆さん、流の奴は立派になりおったぞ……))

 そんな祖父と孫の語らいはしばし続く。やがてそれも終わりが強制的に訪れる。

(ん? 御爺様、何か変じゃないか?)
「うむ、おんしの心に施した霊力が切れたのじゃろう。もうすぐここも閉じられる」
(そっか……またしばらく会えないのか?)
「いや、わしも近いうちに異怪骨董やさんへ向かおう。色々準備もせねばなるまいしな」
(じゃあ今度は……)
「ああ、そっちで会おう」

 そう言うと雷蔵は霧の中へと消えていく。

「ああそうじゃった、流。コレを持って行け!!」

 雷蔵は三日月型の小さな品を流に投げる。

(おっと、これは何だ?)
「それは『鍵鈴けんれいの印』になる種だ。今はまだ効力が出ないが、お前の成長と共にそれは如実にょじつに現れるだろう」
(分かった、じゃあまた会おう爺さん!!)
「馬鹿者、御爺様と呼べと言うとろうに……」

 雷蔵が苦笑いをしながら消えると、不思議な空間は閉じていく。
 その空間が閉じると同時に、意識がふわりと浮き上がる感覚が体を覆う。

「……夢……?」
「古廻様!? お目覚めになられましたか!! 良かったぁ、本当によろしゅうございました」

 そう言うと〆は流に抱き着いて来る。
 〆のとても心地よい人肌の感触と、沈丁花じんちょうげの華がそこにあるかのような甘い香りで、流は未だに夢の中に居るのではないかと言う感覚になる。

 さらに拍車をかけるように「夢」が追い打ちをかける。

「お客じーん! おきたのです!? とても心配したのですよ~」

 〆と反対側に知らない娘が抱き着いて来る、うさみみを生やして。

「あ~やっぱりまだ夢の中なんだな。よし、もうひと眠りしよう……」
「壱:古廻はん、まちーな! ここは夢でも何でもないでっせ! 起きて~な!」

 せっかくの夢心地を壱のけったいな声で引き戻される。

「せっかく気持ちよく寝ようとしたのに、うるさいぞ壱!!」
「壱:うぅ何で僕だけ……」
「フム。愚兄はウルサイからですよ。お初にお目にかかります古廻様。わたくしは貴方の三番目の従者にして、愚兄の弟でもあります。名をシンと申します」

 そう言うと真っ白な執事服を着た壮年の男は、綺麗な角度でお辞儀をする。

「お、おう? こちらこそよろしくな。え~っとそれと……キミはダレ?」

 流の左側にひっしと抱き着いている娘はとても可愛らしい顔つきで、その〝むっちり〟とした豊満な二つの丘で流の腕をホールドしている。

 ボリューム満点な適度に豊満な体から伸びた、細く形の整った腕は健康な日本人らしい血色で、その先にはスラリとした美しい白魚のような指。
 目はうっすらと赤みを帯び、どちらかと言うと桜色の瞳をしている。
 髪は少々ピンクを混ぜたような、白く艶やかで光が反射しているのか、髪には綺麗な天使の輪が浮かんでおり、そしてその頭からウサ耳が生えていた。

「も、もしかしてキミはあれか? うさちゃんなのか?」
「はいなのです。ボクは因幡なのですよ」
「まぢかよ……本当に人になっちまったんだなぁ。もうモフモフには戻れないのか?」

 そう流が言うと、因幡は「うううん」と唸る。と、次の瞬間〝ぽんっ〟と言う音と共に、元のモコモコのウサギに戻る。

「あ、元に戻ったのです」
「やっぱり因幡がこの店で一番の不思議生物だな……どうなってるんだその体は?」
「さぁ? ボクも良く分かっていないのですよ。気が付いたら色々と出来るようになってたのです」

 流石神話より生きる神様の一柱だけあって、常人には理解不能なんだと流は思う事にする。
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