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第四章:凶賊と、人類最高の【ざまぁ】はこちらです
090:招かれざる者
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流は風呂で汗を流し三階へ戻ると、そこには大きなモニターのような物が正面に置かれている。
このモニターのような物は、こっちの世界で仕入れた絵を拡大表示する魔具を、参が自前の式神と術式を使い、モニターのように改造した物だった。
現在は屋敷の外を映しており、向かいの建物の影からこちらを伺う賊の姿がハッキリと見えるのがなんとも滑稽で笑える。
それを食事をしながらゆったりと、今後の計画書を見ながら鑑賞をする事とする。
「本日メインは、異世界産の舌平目に近い味の岩魚のムニエルと、その後は赤色鳥の燻製の良いのが手に入りましたので、そちらのソテーを合わせてお楽しみください」
一口食べると、流の目が〝クワッ〟と見開く。
「ふむ……シェフを呼んでくれたまえ」
メイドが厨房へ赴き、まもなくしてシェフが入室する。
「旦那様お呼びでしょうか?」
「実に……いい仕事だ。シェフの熱い拘りを感じるこのソース。そして燻製された香を素材に合う様に実によくマイルドに抑えつつ、肉本来の旨味が凝縮されたこの鶏肉を合わせたのは妙技とも言えよう。見事だ! 私専属のシェフに任命する」
「ハッ、ありがたき幸せ」
(なぁ、シ~ンちゃん。僕ら何時までこれに付き合わないかんの?)
(フム。飽きるまで、じゃないでしょうか……)
((…………))
元々流の専属シェフを、さらに専属認定した悪者ロールプレイに、壱と参がちょい引きながら見守っていると、賊に動きが出る。
どうやら五人で屋敷に侵入するようだった。
「フム。古廻様、お食事中失礼致します。賊に動きがあったようです」
「クックック、ついに来たか。モニターを回せ!」
(目の前に大きいのがあるんやけど……)
(……それは言わない約束かと)
流はおもむろに「リー〇ルのブラックシリーズ」のワイングラスに、異世界産のスパイシーな赤ワインを三分の一程を入れた物を片手に持って、一際豪華な黒い革張りの椅子へと座る。
無論膝の上には猫が……いなかったので、代わりのモフモフを乗せている所が抜かりが無い。
「あの~お客人? なぜボクを膝の上に乗せて、撫でながらワインを飲んでいるのです?」
見ると猫の代わりに、因幡が膝上サイズになっており、どこかの垂れてる「ぬいぐるみ」のような恰好で乗っかっていた。
「そこはニャ~、もしくはゴロゴロと喉を鳴らすんだぞ?」
「良く分からないけど、分ったのです。にゃ~」
ウサギなのに猫の声を出す因幡に、愕然と見守るメイド達。
(因幡……おまえっちゅう奴はウサギのプライドが無いんかい!?)
(フム。にゃ~ってあんた……)
そうこうしていると、賊は壁を乗り越え窓際に到着する。
仕草は素人丸出しだが、斥候として使い捨てならばこんなものかと思いながら、全員画面を見守る。
◇◇◇
「おい、窓の向こうにメイド達が荷物を運んでいるぞ……」
「あれは……マジかよ。透明なガラス? 製品を運んでいるぞ」
「それだけじゃねぇ、見ろよ。見た事もない綺麗な柄の大きな壺もある」
「待て、それにあれは……金か!? 全部金貨かあれは……」
メイドが二階へ運んでいた物は、賊から見たら財宝の類であった。
「今すぐ奪いてえ……」
「まてまて、今日は下見だけだ、が……」
そんな時だった、近くの窓が開け放たれて中の声が聞こえて来る。
「空気の入れ替えはこまめになさい。それでは貴重品は全て、二階と三階へ移動が終わりましたら報告を」
「はい、承知しましたセバス様。大量の金貨は如何しましょう?」
「そちらは旦那様が常にお持ちになるとの事でしたので、この都市で入手した魔具の鞄に入れておきなさい」
「承知しました」
魔具の鞄――説明するまでも無く、この鞄は見た目の数十倍は余裕で物が入る鞄である。
それは容量が小さくてもとても高額で取引される夢アイテムだった。
「聞いたか? 魔具の鞄まであるそうだぜ?」
「とんでもねぇ野郎だな、ますますぶっ殺したくなってきた」
「そう、はやるな。それにせっかくのお誘いだ」
偵察隊のまとめ役が親指で開いた窓を指す。
セバス達使用人は全員上階へと行ったのか、姿が見えない。
「誰もいない今がチャンスだろ? 少しばかり頂いて行くぞ。見張りに二人、後は付いて来い」
賊は窓を超えて屋敷に侵入をすると、奥の部屋が異様に明るいのを確認する。
侵入に成功した賊達が好奇心に駆られ近づくと、そこには溢れんばかりの金塊の山が三つあった。
「すっげぇ……」
「並みの金持ちってレベルじゃねーぞ……」
「お、お前ら正気に戻れ。まずは俺達の分で五本確保して、アジトに一本持って行くぞ。これを見ればキルトさんも信じるだろう」
偵察部隊は金のインゴッドを六本確保すると、暗闇に紛れて転げるように逃走するのだった。
それが自分達の最後の仕事とも知らずに、その目は欲に塗れ、館の主が無残に死ぬ未来を想像して心が躍る。
そんな「圧倒的に優位」な自分達が、これで最後の仕事だなどと思わずに……。
このモニターのような物は、こっちの世界で仕入れた絵を拡大表示する魔具を、参が自前の式神と術式を使い、モニターのように改造した物だった。
現在は屋敷の外を映しており、向かいの建物の影からこちらを伺う賊の姿がハッキリと見えるのがなんとも滑稽で笑える。
それを食事をしながらゆったりと、今後の計画書を見ながら鑑賞をする事とする。
「本日メインは、異世界産の舌平目に近い味の岩魚のムニエルと、その後は赤色鳥の燻製の良いのが手に入りましたので、そちらのソテーを合わせてお楽しみください」
一口食べると、流の目が〝クワッ〟と見開く。
「ふむ……シェフを呼んでくれたまえ」
メイドが厨房へ赴き、まもなくしてシェフが入室する。
「旦那様お呼びでしょうか?」
「実に……いい仕事だ。シェフの熱い拘りを感じるこのソース。そして燻製された香を素材に合う様に実によくマイルドに抑えつつ、肉本来の旨味が凝縮されたこの鶏肉を合わせたのは妙技とも言えよう。見事だ! 私専属のシェフに任命する」
「ハッ、ありがたき幸せ」
(なぁ、シ~ンちゃん。僕ら何時までこれに付き合わないかんの?)
(フム。飽きるまで、じゃないでしょうか……)
((…………))
元々流の専属シェフを、さらに専属認定した悪者ロールプレイに、壱と参がちょい引きながら見守っていると、賊に動きが出る。
どうやら五人で屋敷に侵入するようだった。
「フム。古廻様、お食事中失礼致します。賊に動きがあったようです」
「クックック、ついに来たか。モニターを回せ!」
(目の前に大きいのがあるんやけど……)
(……それは言わない約束かと)
流はおもむろに「リー〇ルのブラックシリーズ」のワイングラスに、異世界産のスパイシーな赤ワインを三分の一程を入れた物を片手に持って、一際豪華な黒い革張りの椅子へと座る。
無論膝の上には猫が……いなかったので、代わりのモフモフを乗せている所が抜かりが無い。
「あの~お客人? なぜボクを膝の上に乗せて、撫でながらワインを飲んでいるのです?」
見ると猫の代わりに、因幡が膝上サイズになっており、どこかの垂れてる「ぬいぐるみ」のような恰好で乗っかっていた。
「そこはニャ~、もしくはゴロゴロと喉を鳴らすんだぞ?」
「良く分からないけど、分ったのです。にゃ~」
ウサギなのに猫の声を出す因幡に、愕然と見守るメイド達。
(因幡……おまえっちゅう奴はウサギのプライドが無いんかい!?)
(フム。にゃ~ってあんた……)
そうこうしていると、賊は壁を乗り越え窓際に到着する。
仕草は素人丸出しだが、斥候として使い捨てならばこんなものかと思いながら、全員画面を見守る。
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「おい、窓の向こうにメイド達が荷物を運んでいるぞ……」
「あれは……マジかよ。透明なガラス? 製品を運んでいるぞ」
「それだけじゃねぇ、見ろよ。見た事もない綺麗な柄の大きな壺もある」
「待て、それにあれは……金か!? 全部金貨かあれは……」
メイドが二階へ運んでいた物は、賊から見たら財宝の類であった。
「今すぐ奪いてえ……」
「まてまて、今日は下見だけだ、が……」
そんな時だった、近くの窓が開け放たれて中の声が聞こえて来る。
「空気の入れ替えはこまめになさい。それでは貴重品は全て、二階と三階へ移動が終わりましたら報告を」
「はい、承知しましたセバス様。大量の金貨は如何しましょう?」
「そちらは旦那様が常にお持ちになるとの事でしたので、この都市で入手した魔具の鞄に入れておきなさい」
「承知しました」
魔具の鞄――説明するまでも無く、この鞄は見た目の数十倍は余裕で物が入る鞄である。
それは容量が小さくてもとても高額で取引される夢アイテムだった。
「聞いたか? 魔具の鞄まであるそうだぜ?」
「とんでもねぇ野郎だな、ますますぶっ殺したくなってきた」
「そう、はやるな。それにせっかくのお誘いだ」
偵察隊のまとめ役が親指で開いた窓を指す。
セバス達使用人は全員上階へと行ったのか、姿が見えない。
「誰もいない今がチャンスだろ? 少しばかり頂いて行くぞ。見張りに二人、後は付いて来い」
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偵察部隊は金のインゴッドを六本確保すると、暗闇に紛れて転げるように逃走するのだった。
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