日本最狂の妖刀で、誰も見た事がない異世界・骨董無双~狂気の娘を返品したいがもう遅い!!だから神が宿る骨董品達で、俺が世界を改変してやるッ!!

竹本蘭乃

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第四章:凶賊と、人類最高の【ざまぁ】はこちらです

091:大悪党は夜を堪能する

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「エクセレ~ンテ!」
「にゃ~」

 そう流は言うと因幡を一撫でし、グラスを「ガーゴイルの彫刻が天板を持つ」デザインの、ワインテーブルに置く。
 そしてよく通る乾いた音で、大きく三回拍手するのだった。

「参、壱。良くやってくれた。クックック……。これであの『偽物』が奴らのアジトにたどり着くだろう。その後、偽装金塊はどうなる?」
「フム。属性が悪そのものですので、盗人に相応しい精神洗脳汚染の後、この街にあるであろう複数の拠点へと向かわせます」
「壱:相変わらずお前はえげつないのぅ。それで拠点を……って訳かい」
「随分と――お楽しみのようですね。因幡がいないので探してみれば、まさかの異世界へ行っていたとは……」
「ゴロゴロ」

 そう声が後ろからする。振り向くと〝むにょ〟っとした感覚に襲われる。

(出おったで! あの傾国の女狐が!! 古廻はんどう出るんや!?)
(こ……これは。フム。古廻様の大ピンチでは!?)

「もう! こんな楽しい事を私を置き去りにしてするなんてズルいです、私も仲間に入れてくださいましな♪」

 そう言いながら〆は、流の頭へ正面から抱き着く。

「フガガガガ」
「にゃ~」
「あ! これは失礼をしました」
「お、お前は何度同じ事すれば気が済むんだ? まったく……」

(ええええ!? 何でや! 僕らだったら真っ二つにされてるで、ほんま!)
(フム。本当ですね……コマ切れにされる未来しか見えませんな……)

 二人が理不尽に嘆いていると、更なる理不尽が襲い掛かる。

「時にそこの二人。因幡を連れ去った件は重いですよ? 後でOHANASIしましょうね~?」

 そう言うと〆は実にいい笑顔でニコリと笑うのだった。

((あ、死んだ…………))

 笑みが深くなるほど、その危険性が格段に上がる事を知っている二人は、涙目で固まるのだった。

「さて、落ちもついたのでそろそろ本題だ。参の式神は奴らを追っているな?」
「フム。それは抜かりなく。金塊型の式神が追っています」
「結構! 壱、ダミーの偽装は?」
「壱:はいな、僕の能力でそれは完了しています」
「よし! では冒険者・商業ギルドへの手配も終わってるな?」
「フム。先程メイドが手紙を届けたと報告がありました」

 準備が整ったとばかりに、流は因幡を抱いて立ち上がる。

「全てのカードが出揃った。明日より……凶賊を蹂躙する!」
「にゃ~」
「壱:古廻はん、カッコええ! 完璧や!!」
「フム。様式美ここに極まれり……ですな!!」

 それを見ていた〆が、ぽつりと一言。

「えっと……これは何をしているのでしょう?」
「「「悪役ロールプレイ」」」

 それを聞いた〆はガクリと肩を落とし、美琴も〆と同じ気持ちであった。

「はぁ~。因幡まで連れて行ったから何事かと思ったのですが、問題無くとりあえずは安心しました。それで今回は何を?」

 ジト目の〆に、今回の一連の作戦内容を流は説明する。どうやらその話にお怒りらしく、賊と言うより流への無礼が許せなかったようだ。

「なるほど、それは許せませんね。しかも以前、古廻様が襲われたと言うあの蛮族みたいなのと、同じ賊と言うではありませんか。これは私もお手伝いしないとですね♪」
「いや、そんな可愛く言われてもなぁ……お前は町を滅ぼす気か?」
「失礼な、ちゃんとその辺りは『わきまえています』からご安心を!」

 自信満々に言い切る娘に、三人はジト目で穴の空くほど見つめる。

「な、なんですか!? 私だって頑張れば手加減くらい出来ますとも! たぶん……」
「まぁ〆だけのけ者ってのも可哀そうだしな。よかったら手伝ってくれよ?」
「はい! それはもう喜んで。大好きでございます古廻様!」
「んじゃ、明日に備えて――乾杯するか~」
「壱:寝るんやないんでっか!?」
「馬鹿野郎、夜は始まったばかりだぞ!」

 悪役ロールに飽きた流はそのまま宴会モードに突入する。
 そんな楽しそうな流を見た膝の上のモフモフは「にゃ~」と一鳴きすると、そのまま眠りについたのだった……。


 ◇◇◇


 翌朝ギルドへ到着すると、今日も朝から威勢のいい冒険者達で溢れていた。
 ちなみに雑魚ーズは珍しく仕事に出かけているようで、不在だったのが少し寂しい。
 そんな喧騒のギルドを流は迷わずエルシアの元へと行くと、予定された「挨拶」で声をかける。

「よ、エルシア。今日は何か面白い依頼・・・・・は無いか?」
「おはようございます、ナガレさん。えーっとですね……あ、そうそう。この後貼りだそうと思ってたんですが、町の西側にある『トラフ草原』でトラフタイガーの討伐なんてありますが、どうでしょうか?」

 流は如何にもウーンと考える素振りをし、気配察知で周りの動向を探る。
 すると一定数の好意的じゃない感覚が、流の背中へと突き刺さるのを感じた。

「場所が分からないんだよな、地図とかあるかい?」
「じゃあ俺達が案内してやる」

 声のする方を見ると、そこには実力テストで一緒だった「ドランゴンスレーヤー」の三人がいた。
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