日本最狂の妖刀で、誰も見た事がない異世界・骨董無双~狂気の娘を返品したいがもう遅い!!だから神が宿る骨董品達で、俺が世界を改変してやるッ!!

竹本蘭乃

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第四章:凶賊と、人類最高の【ざまぁ】はこちらです

092:親切なカワードさん

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「お前は!! …………誰だっけ?」
「テメエ! 一緒に実力テストを受けたヤツの顔も覚えてねーのかよ!」
「え? あ~、あのたまたま勝った人ね」
「……チッ、まあそれでいい。丁度俺達もその近くに用があってな。その場所は知っているから案内してやるよ」

 そうカワードが言うと、魔法使いのレイナが申し訳なさそうに挨拶をしてくる。
 流が異世界で初めてみた魔法使いであり、その印象はとても鮮明に記憶されていた。

「ナガレさん、ごめんなさいね。うちのカワードが礼儀知らずで」
「なに、気にしてないさ。それより案内をしてくれるんだって? いいのか、お前達も忙しいのに」
「ええ。カワードが何を思ったのか、今日はここでしばらく休憩してから、ゆっくりと探し物に行こう。なんて言ってるからそれは大丈夫みたい。そもそも近くに用って言うのは、先日カワードが私達とは別の人達と狩をしたらしくてね、その時魔物と戦った時に落とした腕輪があるらしいんだけど、それを探しに行くのよ」
 
 カワードが自分の失敗をバラされて面白くない顔をすると、姉のリリアンが妹の続きを話す。

「まあそんな訳で、アタシ達も仕方なく付き合う訳さ」
「なんだぁ~、その言い方は? 嫌々そうじゃないかリリアン」
「……すまない。そういう訳では無いんだがな」
「チッ、ああそうかい。で、ナガレ。俺達はそんな訳だから、ついでに案内してやるよ」

 流はカワードの様子を見てから少し考える。どうやら彼は何か心配事があるのか、落ち着きがないように見える。
 しかしカワードが「どうするんだ?」と急かすので、その話に乗る事にする。

「じゃあ悪いけど、案内よろしく頼むよ」
「フン、早く決めればいいんだよ。で、どうする、今から行くか?」
「そうだな……。出来れば明日の方が都合がいいんだが?」
「そうかい、なら明日朝の九つ時に、西門で会おう」
「了解した。なら三人さん、明日はよろしくな」

 カワードは一瞬嫌そうな顔をするが、すぐに頷いて歩いて行く。数歩進むと思い出したように立ち止まり、姉妹に指示を出す。

「あ~そうだった。どうせ明日まで暇だし、今日は自由時間にして休もうぜ。たまにはこういう日もいいだろう」
「あ、またカワードったら! そんな事勝手に決めて!」
「じゃあそういう訳だ、夜になったら宿屋で落ち合おう」

 そう言うとカワードは急いでいるのか、足早にギルドから去っていく。

「はぁ……何であんな奴と組んでるのよ、お姉ちゃん?」
「すまない、あいつには大きな借りがあってな……」
「それは聞いたけどさぁ、もう本当に嫌な奴! 早く借りを返して別れましょうよ」
「そう……だな……」

 姉妹は流がいる事も忘れたように、カワードへの不満を愚痴る。
 何となくこの姉妹が気になっていた流は、姉妹へ話しかけてみる事にした。

「なあ、あんたら。先日も何か変な感じのパーティーだと思ったけど、やっぱりそうだったのか。良かったら相談に乗るぞ?」

 突然の申し出に困惑する二人。その申し出た相手の存在、流の事を思い出し、その力にハッと思い至る。

「お姉ちゃん、私はナガレさんに相談すべきだと思う。このままだと、あのバカに何されるか分かんないよ」
「いやしかし……ナガレも迷惑だろう? いきなりそんな事を言われても」
「だから、それを含めた上で聞いてるんだよ。俺の事は気にしないで話してみないか? 力になれるようなら強力するぞ?」

 少し思案をしてからこう考える。異国の人間になら話しても良いかもしれない……と。そんな風に考えたリリアンはこう続ける。

「小耳に挟んだのだが、ナガレはこの国の人間じゃないって言うのは本当か?」
「そんな事まで広まっているのか? まったく『インターネットもSNS』も無いのに凄いこって。ああ、それは正しい。だからこの国の事はさっぱり分かっていないも同然だな」

 身なりは珍しいが、容姿はこの国でもたまに見かける事がある顔立ちと、黒髪で少し珍しい程のものだ。
 だが意味の分からない言葉があった。それだけで流がこの国の人間じゃないと、簡単に信じられてしまうほどリリアンは馬鹿ではない。
 しかし何故なぜか流から漏れ出る雰囲気は、この国の人間じゃないと感じた。そして何より巨滅の英雄になった瞬間を目撃し、そんな流にリリアンは憧れを感じていたからかもしれない。

 だから――。

「頼む、ナガレ聞いてくれないか? そしてレイナ。お前にもちゃんと話して無かった真実がある。二人とも聞いてくれ。実は――」
「おっと、ここは人の目も多い。ジェニファーちゃんの店に行こう。あそこなら問題無いからな」

 リリアンの話を遮り、流はジェニファーの店を親指で指し示す。
 その指し示した先を見ると、変態紳士が妖艶なウインクしていた……。
 あの距離でも攻撃力があるのだと、内心ゲッソリとしながらも、流は品の良いバーカウンターの前まで来ると店主へ挨拶する。

「よ、ジェニファーちゃん。ちょっと奥の席借りたいんだけどいいかい?」
「あはん♪ いらっしゃいボーイ。モチロンボーイに閉ざす門は、あたしの心も体も無くてよん?」
「出来れば閉じて欲しい門もあるんだが……じゃあ悪いけど借りるよ。適当に飲み物も頼む」
「了解よん♪」

 ジェニファーはよく訓練・・された従業員に指示を出すと、本人はカウンターの中へと入る。
 そしてグラスをキュキュっと磨くのだった。
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