日本最狂の妖刀で、誰も見た事がない異世界・骨董無双~狂気の娘を返品したいがもう遅い!!だから神が宿る骨董品達で、俺が世界を改変してやるッ!!

竹本蘭乃

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第四章:凶賊と、人類最高の【ざまぁ】はこちらです

093:リリアンの秘め事

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「それでどうしてカワードあのバカと一緒にいるんだ?」
「ああ……私達の故郷の村はこの町からそれなりに近くてな、カワードを含めて私達三人はそこの出身だ。そこでつい先日の事だ、私の……不注意から……」
「お姉ちゃん……」

 リリアンは涙を流しながらその先を言い淀む。
 その涙を持っていたハンカチで拭うと、リリアンは決意ある表情で話す。

「すまなかった。その私の不注意から、最高の親友を失う事となってしまったのだ。だが、まだその親友はきっと生きている……と思う。ただ、女性としては死んでるかもしれないが、命はきっとまだあるだろう」
「おい。まさかそれって、盗賊や魔物に拉致られたって事か?」

 姉妹は苦虫を無理やり噛み潰したような、苦悶の表情でゆっくりと頷く。

「ああそうだ。だから私達は冒険者になった。もしその親友が『殺してくれ』と私達に言うならば……そうしてやろうと思う」
「聞いた話では、そうなった娘達は正気じゃない事が多いらしいからな。まあそれは分かる、が。でもそれがなぜカワードと繋がりが?」

 その問いにより一層強い視線で流れを見ると、リリアンは話を続ける。

「私の誕生日のプレゼントを調達するために、親友は『神隠しの森』へと入ったらしい。そこをゴブリンに襲われたのを見たのが、カワードだと言う訳だ」

 流はリリアンの目をしっかりと見ながら、無言で二回頷く。

「そしてその親友が森に入る前に、彼女は私と他愛も無い事を冗談で話していたんだ。それは――」

 ◇◇◇

 時は少し遡る。ここは、とある村の湖の畔で、周りには「神隠しの大森林」と、大地から突き出た「巨大な一枚岩」が見える場所だった。
 そんな風光明媚な場所で少女が二人で水遊びをしながら、何気ない談笑をしている時の事だった。


「ねぇ、リリアン。そろそろお誕生日が近いんでしょ?」
「よく覚えているな、カレリナは」
「ふふふ……。リリアンの事はね、何でも知ってますよ~」
「それは私もだよ……それで、キミは何をプレゼントしてくれるんだい?」
「もう! リリアンはとてもステキだから、もう決めているんだよね~」

 そう言うとカレリナは、白い百合の花が咲くような笑顔を見せる。

「それは楽しみだな。でも少し教えてくれないか? 一体どんな物なんだい?」
「う~ん、どうしようかなぁ。じゃあヒント! リリアンが昔から欲しがってた物で~す! さぁ何かな?」

 リリアンは過去の記憶を遡って考えてみる。そして思い出すと、右手の人差し指を立てて答え合わせをする。

「あ! もしかして『妖精の息吹』かい?」
「あったり♪ 実はね、先日森へキノコを取りに行った時なんだけど、妖精を見かけたの! だからその辺りにまだいるとしたら、妖精の息吹が見つかるかもしれないね」
「ははは、それは良いな。それではカレリナには是非とも、妖精の息吹を献上してもらおうかな? 無理だと思うけど」
「あ~、酷っどい! 絶対に見つけて見せるんだから!」

 お互いの顔を見合わせる。それがおかしくて二人は笑い合ったのだった――。

 ◇◇◇

「そこに、あの、カワードがッ!!」

 リリアンは拳を強く握りしめ、握った手のひらに爪が食い込み血が滲む。

「まあ落ち着け、ほら丁度良くドリンクも来たようだ」

 動作が機敏でよく訓練された店員は、いぶし銀のトレイに明るい青色のドリンクを持ってくる。
 見ると柑橘系らしい明るい緑色の果実が刺さっている、甘い香りがほのかに漂う心地よい物だった。

「お待たせしました。アルザの実より絞ったドリンクです。オーナーからの伝言で『気持ちが落ち着くわよん』との事です」

 仕草も完璧なよく訓練された店員が流に説明すると、足音も静かにカウンターへと去っていった。
 リリアンは受け取ったドリンクを一口飲むと、怒りの表情も少し和らぐ。

「ふぅ……すまなかった、少し興奮したようだ」
「気にするな。それにしても変態だが良い仕事をする、流石はジェニファーちゃんだな。おっと、それでカワードがどうした?」

 流はテーブルにあった植物繊維から作られたような、使い捨てナプキンをリリアンに渡し、手の傷に当てるように促す。
 リリアンはそれを受け取り、無言で頷くとその先を話し始める。

「奴は私達から見たら、丁度死角になっている近くの岩場で釣りをしてたらしく、私達の話を盗み聞いていたらしい。実際は後を付けて来てたんだろうと思う」
「あいつなんでお姉ちゃん達にそんな事を?」
「それはカワードはカレリナに惚れていたからだ。そしてそれが叶わないと、以前告白して失敗して分かっているはずだった……だが、奴は執念深くカレリナを追回した。カレリナが失踪した森へ行った時も、こっそりと後を付いて行ったのだろう」
「そんな事が……って、まさかお姉ちゃん。その事でカワードに何かされたの!?」
「ああ、カレリナが森へ『私へのプレゼント』を、私に言われて探しに行ったのは聞いたと言われてな。そして――」

 リリアンはあの日の悪夢を、目に怒りをたたえながら噛みしめるように話し始める。
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