日本最狂の妖刀で、誰も見た事がない異世界・骨董無双~狂気の娘を返品したいがもう遅い!!だから神が宿る骨董品達で、俺が世界を改変してやるッ!!

竹本蘭乃

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第四章:凶賊と、人類最高の【ざまぁ】はこちらです

096:屋敷への初めてのお客

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 やがて幽霊屋敷に到着すると、馬車はそのまま奥へと進んでいく。

「マジかよ……さっき言ってた話は本当の事だったのか? まさか本当に幽霊屋敷を住処にするとはなぁ……」
「おい、もう幽霊はいないぞ? 体感で千以上いたと思うが、悪霊のほとんどはあの世に届けたからな」
「お前とお友達になれて、俺は幸せだよ……」

 呆然と屋敷を見上げるファンを見ていると、ふと流は気になる事を聞いてみる。

「なあファン。『幽霊』と『ゴースト』何が違う?」
「ああん? 同じ言葉だろ。文字数まで同じだ。違いなんて何も無いだろう?」

(やっぱりな、異界言語理解仕事しすぎ)

「いや、外国とここではどう違うのか気になっただけだ、気にしないでくれ」
「? そうかい。じゃあ荷物はどうする?」
「ああそれは……」

 すると玄関から使用人達が出て来て、流に出迎えの挨拶をする。

「「「お帰りなさいませ、旦那様。ようこそファン様、歓迎致します」」」
「おおう!? これは一体いつの間に揃えたんだ??」
「ははは、驚いたろ? 俺も驚いている……。お前達、馬車の荷物を部屋へ運んでくれ」
「承知いたしました」
「まぁ、使用人達を用意したのはこの男なんだがな」

 屋敷に入ると、王都でも見ないような立派な仕立てをした、見慣れない純白の執事服に身を包んだ男が出迎えていた。

「お帰りなさいませ、古廻様。そしてファン様ですな、御噂はかねがね」
「コイツはこの屋敷の執事長をしているシンって言うんだ、よろしくな」
「あ、ああ。こちらこそよろしく……です」

 あまりの紳士然とした執事の振る舞いに、呆気にとられるファンだったが、そこは商人。すぐに態度を立て直し対応する。

「こちらこそ、何時もナガレさんには世話になってます。それで荷物はこのままここに?」
「はい、そのままで結構です。明日になったらファン様に運搬して頂きたく思いますが、問題はありませんでしょうか?」
「もちろん問題はありません、では『道中打ち合わせした通り』と言う事で」
「まあそんな訳だ。ファン、明日はよろしくな」
「任せろ! この『とんでも荷物』で、あのクズ共に一泡吹かせてやれると思うと楽しみだな」
「全くだ。お前今日はうちに泊まってけよ。少しは歓迎してやるぜ?」
「ハッ、どこが少しなんだかな? じゃあお言葉に甘えて世話になってやる」
「そうこなくちゃな! お前達、今日はファン様のお泊りだ! 『ここで』出来るおもてなしをしてくれ」
「承知致しました」

 参は流の言葉を聞くと、目配せだけで指示を出す。
 するとそれだけで全てを理解したのか、使用人達は動き出す。

「……なぁナガレ。お前の使用人達は何者なんだ? 道中での魔法? での打ち合わせも、この対応といい……あ、いやすまない。今更無粋な質問だったな」

 ファンは流の腰で暇そうにしている美琴を見ると、その質問がいかに馬鹿らしいかと改めて思う。

「正直言うと、な。俺も分からないんだよ。ファンからすれば何を言っているんだ? と思うかも知れないけどな……いつの間にかこうなってた」
「そう言う物かもしれないぞ。お伽噺にこんなのがある……『そこに至るか、元々至ってたのか』ってのだ。勿論、もっと長い話だが、掻い摘むと意味が分からないが、こんな感じだ」

 今の流ならその意味は分かる。何処にでもいるし、何処にもいない。そんな台詞を言った猫君がいたが、今ならそれが実感出来る。何せここは異世界なのだから。

「なあファン。俺も最近学んだんだが……別の世界があるとしたら信じるか?」

 廊下を歩き、貴賓室きひんしつへと向かいながら流はファンに問う。
 調度品はまだ配置の途中だが、その見事な作りを見ながら歩くファンは不思議そうに答える。

「ん? 当たり前だろう。この国はその別の世界の凄い奴に救われたって話だ」
「そ、そう言う話っすか……何か魔法も普通に使えるのが納得した」

 〆がここに来る前に言っていた「固定観念」と言う、ある意味呪いが、いかに自分の世界を狭くしているのかと実感する。
 そんな事を考えながら歩くうちに目的の部屋へと到着すると、メイドにウエルカムドリンクを用意させファンと別れる。

「さてと、しばらくここで寛いでいてくれ。俺は明日の用意をしてくる。じゃあ飯の時にな」
「おう! じゃあまた後でな」

 ファンと別れた後、異界骨董屋やさんから運び込んだ荷物と、今日村から持って来た荷物を地下に運び込んだついでにアリスの元へ流はいた。

「ナガレ! あたくしを放っておいて、何処へ行ってたのじゃ?」
「ぬ、羽娘。生きてたのか」
「馬鹿者め! あたくしは不滅だ!! それはそうとその箱はなあに?」
「これは明日使う道具が入っている。まあ気にするな」
「……分かった。小さき物にも魂は宿る。程ほどにな」
「ハハハ、良く分かるな。了解した。それとここはこの屋敷で一番堅牢な場所だ。お前は今は動けないが、見張りはしっかり頼むぞ?」
「任せておくがよい。もし何かあれば大声で叫んでやるのだ」
「早く出れるといいな、まぁしばらく不便だろうが我慢してくれ」
「気にするでない。この中は不思議と心地良くてな、腹も減らんし不便は何も無いのじゃ」
「そう言う物か? 出来るだけ早く解放してやるから、しばらく我慢しろよ」
「ううん、気にしないで。迷惑をかけてごめんね?」
「なんだよ、素で話すと可愛いな」
「バッ!? 何を言っておるのじゃ!」
「はっはっは、冗談だよ。じゃあそろそろ行くわ」
「う、うむ。気を付けてな」

 気丈に振る舞っているが、やはり辛そうだなと思う。そんなアリスを早く出してやらないとと思いながら、メイド達が荷物を解き始めるのを見て後の事を頼むのだった。
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