日本最狂の妖刀で、誰も見た事がない異世界・骨董無双~狂気の娘を返品したいがもう遅い!!だから神が宿る骨董品達で、俺が世界を改変してやるッ!!

竹本蘭乃

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第四章:凶賊と、人類最高の【ざまぁ】はこちらです

097:新たな道具達と、五老の審査

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「じゃあ頼んだぞ、丁重にな? それとアリスの事もよろしく頼む。村の荷物は見えない様に開封してくれ。その後はここに置くように」
「承知しました」

 アリスを一瞥してから、そのまま流れは三階へと向かう。
 自室に入ると流れは椅子に座り、あの漢を呼ぶ。

「壱、いるか?」
「壱:はいな! 古廻はんの壱、只今参上でっせ!」
「呼んでおいてなんだが……その、帰ってくれないか?」
「壱:なんでやねん!!」
「すまん、鬱陶しくなった」
「壱:酷いお人やでぇ……で、御用は何でっか?」

 流は懐からジェニファーの店で、参が繋ぎに送って来た短冊を見せる。

「先日のサブマスの話は聞いていたと思うが、明日は相当数に囲まれるらしい。数の暴力に対抗するには、俺の武力が足りなすぎる。妙案を示せ」

 壱はしばらく考えると、ある事を思い出したようだ。

「壱:あ! そうや。あの愚かな妹の道具に、威力は低いけれど、連撃する道具があったはずでんがな。それを使こうてはどないですか?」
「ほほう、じゃあそれを〆の所へ借りに行こう」
「壱:はいな」
「あ、ついでに愚か者呼ばわりしていたと報告もしとくか……」
「壱:やめてーな! 僕また真っ二つにされてしまうですやん!! 不死鳥言うても、精神的に辛いんやで!?」

 壱と心の交流をしつつ、異超門を超えていく。
 すると何時もはすぐに駆け付ける娘の姿がそこに無かった。

「〆~帰ったぞ~……あれ? いつもすっ飛んで来るのにな?」
「壱:ほんまでんな~まぁ、所詮は愚妹。兄に勝てる妹などおらへ『んのや』『んのや』」

 壱が最後まで言い切る前に壱の体が左右に半分に割れ、その双方から声が響いたかと思うと〝パッタリ〟と割れ倒れる。

「〆:も、申し訳ございません。ちょっと湯浴みをしていたもので……」
「風呂だったのか。それは悪い事をしたな」
「〆:いえ、何時いかなる時も、古廻様の僕たる私にあるまじき行為に恥じる入る所存です」

 〆を見ると今日はピンクの狐の折紙だった。

「湯上りだからピンクなのか?」
「〆:えっと、裸なので恥ずかしいから……か、と……?」
「そう、か……」
「〆:はぃ……」

「壱:カ~ッペッ! 嫌やなぁ~。何そのラブコメ展開は!? 今頃読者様は『ラブコメ爆発しろ』って言ってまんがな。七割強で、確実に! 大体そんな紙きれ見て誰も何とも思わんわい!」

 復活した壱が吐き捨てるように言う。自分もその紙きれだと言う事を置いといて。それにしてもタフな精神を持った漢だなと、流は別の意味で感心する。

「〆:べ、別に私は古廻様の僕であって、そんなんじゃないんですからね!?」
「壱:ふっ……我が妹ながら可愛い所もあるんやな。正に怪奇現象や!」
「〆:……壁に貼りつけますよ?」

 赤い紙を青く染めながら、流れの後ろに隠れる壱。

「〆:それで今日はどうされたのですか?」
「ああ、実は明日な――」

 流れは詳細な明日の事を説明する。

「〆:なるほど。では明日は屋敷にも攻めて来ますね。
「ほぼ間違いなくな。屋敷の方は参とお前も来るんだろうから、間違っても落ちる事は無い。俺の方は数の暴力で来られると流石に一人ではキツイ。何か良い物があったら貸しておくれよ~〆えも~ん」

 〆は考え込むように可愛らしい声を出すと、器用に前足を〝ぽん〟と合わせる。

「〆:それならこちらをお使いください。夢見姫『連撃の腕輪』と『山伏やまぶし下駄げた』をお持ちなさい。
「ハイ、カシコマリ」
 
 天井から声がすると、すぐに二つの箱が上から紫の組紐に吊るされて降りて来る。
 〆が箱を開けると、中から腕輪と下駄が勝手に出て来る。
 その様子に一瞬驚くも、付喪神が憑りついていると思い出し落ち着いて品を見る。

 腕輪は黒を基調とした金属製の物に、虎の形をした白い金属のような物が付いていた。
 下駄は鼻緒が唐草模様で変わっている以外は、一見普通の桐製の下駄だった。しかし通常は二つあるはずだが、何故か底に付いている歯と呼ばれる下底を支える部分が一つで、とても普通に歩ける状態では無いと思える形状だ。

「これは何なんだ?」
「〆:これはですね、『手数が倍になる』腕輪と、山伏のように『悪路でも身軽に動ける』下駄でございます」
「腕輪は壱から聞いていたから分かるが、下駄は……指痛くなりそう。って言うか、下駄の歯が一本って天狗かよ!」
「〆:うふふ、大丈夫でございますよ。痛くもなりませんし、転倒する事もございません。現在お持ちの韋駄天狗の髭と比べると効果が低い代わりに、体に負担も少なく、制限時間はございません。効果としましては『通常の1.5倍』の速さで動けます。連撃の腕輪に関しましては、使用後に『増やした数×一分の冷却期間』を置いてから、再使用が可能となります」

 なるほどと頷く。二つのアイテムを見ると流には少し大きいようだった。

「これ大きくないか?」
「〆:こちらも心配はいりません。試しに腕輪を装備してみてください」

 流は箱から出すと、右手に連撃の腕輪をはめてみる。すると、驚いたことに腕輪のサイズが流の腕にピッタリと縮んだ。

「おお~凄い! 取る時は……お、スルっと外れる」
「〆:下駄もお試しくださいまし」

 下駄も箱から出して履いてみると、こちらもピッタリのサイズになる。

「毎度驚くけれど、今回も驚いた……どうなってるんだこれ」
「〆:うふふ。憑いている付喪神が合わせてくれるんですよ」
「なるほどな~今回は頼むよ二人……? いや二柱様」

 流が挨拶すると、憑いている付喪神が話しだす。

『狐にこき使われるのもまた善きかな。若き者よ、連撃の力、存分に使うが良い』
『あんな髭と違ってオレのは気楽に使ってくれ。見た目もいいだろ?』

 まさか挨拶を返されるとは思っておらず、少し驚く流。

「お、おう? 頑張って使ってみるよ」
「〆:お前達、古廻様が困惑なさっています。あまり話しかけて、惑わすのではありませんよ?」

『うむ、承知』
『分かってますって姉さん』

「ま、そう硬くならずに気楽にいこうぜ? じゃあ俺はそろそろ戻るから、明日は頼むぞ」
「〆:はい、お任せくださいまし。では明日お会いしましょう」

 流れは異界へ渡る障子戸を開けようとしたその時だった。
 店内に響く不気味な声が木霊する。

『否』『否』『否』『可』『否』

「〆:『五老』!! 韋駄天狗の髭ですか……容認出来ませんか……五老などと増長した愚物共の長めが……どうしてくれようか!?」

『我らを脅しても無駄だ、こればかりは例えお前でもな』
『然り然り。悲恋美琴を置いて行け、さすれば強力しよう』
『アッハハハハ。腕輪を置いていくなら考えてもいいわよ?』
『み、みんなそう言うのは良くないよ』
『持って行きたくば、我らをもっと楽しませるがよい』


 制限があるのは分かってはいたが、持ち出し拒否に流も困惑するのだった。
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